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2024.05.11.
不動産登記【詐害信託の抹消について】
明らかな詐害信託を、和解の上、相手方と協力して抹消登記を行った件について
去年と一昨年で2回、いずれも破産管財人の弁護士さんからご相談を受けて手続きを行いました。
ケースとしては、破産者(破産会社)Aが信託及び所有権移転により不動産をB名義にした上で、AC間で信託受益権売買を行い、委託者をA→Cに変更登記、受益者をA→Cに変更登記が申請されているというまぁまぁ悪質なケースでした
さらに、委託者兼受益者をCに変更した後で、Dを債権者とする抵当権の設定もされていました。
それも該当物件はかなり高額の不動産なので、まともに所有権移転したら不動産取得税や登録免許税もかなりの額。
もちろん破産事件なので、できる限り余計な支払いは避けたいところです。
さて、どうしたらAの名義に戻した上で任意売却ができるか…。
全ての登記を錯誤抹消で抹消すれば良かったのですが、A→Bへの所有権移転の抹消には抵当権者Dの承諾書が必要です。当たり前に承諾してもらえるはずがありません
そこで、①委託者変更登記抹消、②受益者変更登記抹消、③信託終了による所有権移転(合意解除による)を行いました。
信託開始から信託終了まで一貫して委託者及び受益者が同じである場合には、信託終了による所有権移転登記をしても、
不動産取得税や登録免許税は移転については非課税です。(地方税法第73条の7の4項、登録免許税法第7条1項)
*登録免許税は信託目録の抹消費用だけ1物件につき1000円がかかります。
①②の登記については信託目録の変更ですから、抵当権者Dは利害関係人にあたらず、よって、抵当権者Dの同意は必要ありません。③の登記についても抵当権者Dの同意は必要ありません。
①②に使用した登記原因証明情報はオリジナルを作成しておりますので、気になる方は同業者さんでも遠慮なく個別にお問い合わせをいただければ、情報提供はさせていただきます。
抵当権者Dには最後の売却のときにのみ抵当権者抹消に協力してもらえれば良いので、この方法であればうまく解決できました。
本件は相手方と和解が成立したため、共同申請で登記を行い解決に至ったケースですが、
判決や和解調書で登記を行う場合は、同じスキームであったとしても、請求の主旨や和解条項を事前に申請先の法務局に相談し、よく検討する必要があると思います。
ちなみにこの詐害信託、堂々とやっている司法書士事務所があるみたいなので、今後も破産管財人の先生が頭を悩ますケースが増えるかもしれませんね
<みさき司法書士事務所>
2024.05.11.
不動産登記【国内連絡先がない場合の上申書】
こんにちは
今年もあっという間に5月に入ってしまいましたね。
ブログをさぼっていましたが、今日は時間ができたので連投します。
今年の4月から外国人が日本で不動産を取得する場合、国内連絡先(知人の住所氏名等)も登記事項となりました。
よって、登記申請時に国内連絡先情報を提供する必要があるのですが、この国内連絡先情報には「国内連絡先となる者の承諾書及び印鑑証明書」を添付しなければならなくなりました。
(詳しくは法務省のHPへ)
いやいや。自分が不動産の所有者でもないのに、登記事項に自分の住所氏名の掲載を承諾してくれる人とかおらんやろ
しかも印鑑証明書まで必要だなんて…私だったら絶対嫌だ管理料もらっててもできれば厄介ごとは避けたい
そんなときは、「国内連絡先となる者がいない旨の上申書」を添付することで、国内連絡先はないということで登記できます。
しかし、その上申書もどう書いたら良いのやら…。
以前から国内連絡先は登記事項では無かったものの、不動産取得税の納付書や固定資産税の納付書は海外には郵送してくれないので、税務署や市町村への納税管理人の届出は義務付けられていました。ですから、本当に誰も日本における連絡先がいないというのもあり得ない話です。
よほどの理由がないと認められないのかなぁと思って申請先の法務局に相談の電話を入れてみましたら、
「日本に親族や知人がいたとしても、登記事項に住所氏名が記載されるのは抵抗があったり、印鑑証明書の提出までは依頼できないということもありますので…。
その旨書いていただいたらそれで結構ですよ」と言われました
えそんな簡単な理由でいいのと驚きました。
しかも、その上申書は認印の押印で良いらしく、ハードルは全く高くありません。
この制度、いきなり形骸化してますね
国内連絡先情報を提供するより上申書書く方が簡単という…。
これなら普通に考えて、上申書添付して国内連絡先は「なし」で登記しますよね
その方が手続きが簡単ですもの
<みさき司法書士事務所>
2023.11.11.
不動産登記【本人確認情報の作成と添付書類】
こんにちは
気が付けば今年もあと2か月程となりました。早い!
不動産登記の申請の際に、権利証(登記識別情報)を紛失・失念されているときは、
事前通知又は本人確認情報作成の方法によります。(法人が事前通知を利用する場合)
今年は本人確認情報を作る機会が多かったなぁ…と振り返りつつ、
色んな小ネタがありましたので、備忘録を兼ねてここに少し書いておこうと思います。
①運転免許証とは
本人確認情報には、資格者代理人が申請人が登記名義人であることを確認する際に提示を受けるべき書面は、
不動産登記規則72条2項に記載があります。
1号書類に定めがあるものは「顔写真付き身分証明書」とよく言われているものです。
具体的には、
「運転免許証」、「個人番号カード」、「パスポート(氏名・生年月日の記載があるものに限る)」、「在留カード」、「特別永住者証明書」、「運転経歴証明書」です。
ある取引で、本人確認のため、顔写真付き身分証明書の提示を求めたところ、「小型船舶操縦免許証」を提示され、
「国土交通省発行の運転免許証だからこれでいけるでしょ?銀行とかいつもこれでいけてるよ。」と言われました
しかし、条文をよく見ると、運転免許証とは、「道路交通法92条1項に規定する運転免許証をいう」ときちんと書かれておりますので、
これは使えないということがわかりました。
官公庁発行の運転免許証と言っても、何でもいいわけではないのです
迷ったときは、条文をよく読むことはとても大事です。
②顔写真のない本人確認書類(2号書類)
さて、顔写真付き身分証明書がない場合によく聞く、「顔写真のない本人確認書類2種類の提示」の話です。
いわゆる2号書類というもので、具体的には、次の通りです。このうち2つを提示です。
「国民健康保険」、「健康保険」、「船員保険」、「後期高齢者医療被保険者証」、「介護保険の被保険者証」、「健康保険日雇特例被保険者手帳」、「国家公務員共済組合員証」、「地方公務員共済組合員証」、「私立学校教職員共済制度の加入者証」、「基礎年金番号通知書」、「児童扶養手当証書」、「特別児童扶養手当証書」、「母子健康手帳」、「身体障害者手帳」、「精神障碍者保健福祉手帳」、「療育手帳」、「戦傷病者手帳」です。(いずれも住所・氏名・生年月日の記載があることが必要です。)
いつの間にやら「年金手帳」は含まれなくなったのですね
2022年4月に年金手帳が廃止されたそうで、今の若い子は年金手帳を交付されていないのだそうです
(自分も年とったな…)
過去に発行された年金手帳も、2号書類には含まないようですので、要注意ですね。
そして、よく業者さんが勘違いされているのは、「マイナンバー通知カード」も2号書類だと思われているケースです。
今年あったのは、権利書は紛失したけど「マイナンバーカード(1号書類)あるから大丈夫です!」とおっしゃっていた売主様が決済当日に持ってこられたのが、
「マイナンバー通知カード」… 他には何も1号書類及び2号書類を持ち歩いておらず…。 さすがにこの時は決済流れました…
業者さん、事前に一応確認しといてください
それ以降、「マイナンバーカード」持ってますという方には、通知カードのことじゃないかをちゃんと確認するようにしています
③ 1号書類がない!2号書類はあるけど1枚しか用意できない!という何にもない人の場合
いやいや、そんな人おらんやろ…と思っていても実際にはいらっしゃいます
「決済まで時間的に余裕があるならマイナンバーカード作っといてぇ~」と思いつつも、そういう人には次のように対応します。
不動産登記規則72条2項3号では
「前号に掲げる書類のうちいずれか一以上及び官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、
当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載がるもののうちいずれか一以上の提示を求める方法」と書かれています。
一般的には「住民票」「戸籍の附票」「印鑑証明書」「国家資格の合格証書」などが考えられると思いますが、
印鑑証明書は登記義務者としてそもそも添付するものなので、ここでは使えず、選択肢から除外されます。
今年私が経験したケースでは、「相続による所有権移転」と「不動産の売買による所有権移転」を連件で同時に行うパターン。
もともと持っておられた持分について、権利証を紛失されており、本人確認情報の作成が必要だったのですが、
相続登記で戸籍の附票が必要で添付していたため、連件で出すなら戸籍の附票も選択肢から除外され、最終的に「住民票」で本人確認をしました
ただ、住民票というのは登記官からするとやはりその人が本人であることの担保としては弱いようで、
住民票を添付する場合は、その住民票上の住所地へ行って、本人から住民票の提示を受け(←職務上請求は使わない。)、
ご自宅において本人確認をしたという事実があって初めて本人確認情報となりえます。
自宅の表札も写真に撮って、本人確認情報に添付しました
その他、私は、「世帯全員の住民票」を取得してもらい、その他のご家族の本人確認書類(1号又は2号書面)の提示を受けた上で、
申請人が自分の家族であり、本人に間違いないということを聴取し、本人確認情報に記載するようにしています。
これは自分を守るためでもありますからね~
以上が本人確認情報作成にまつわる今年のネタでした。
<みさき司法書士事務所>
2022.03.22.
不動産登記【信託目録の登記】
信託による所有権移転及び信託の登記を申請した際に、引っかかったことです
不動産登記法97条では、信託の登記の登記事項として、
信託目録に次の事項を登記する必要があるとされています。
1.委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
2.受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
3.信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
4.受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
5.受益証券発行信託であるときは、その旨
6.受益者の定めのない信託であるときは、その旨
7.公益信託であるときは、その旨
8.信託の目的
9.信託財産の管理方法
10.信託の終了の事由
11.その他の信託の条項
このうち、家族間で行う家族信託の場合には、1,2,8,9,10,11あたりが登記されることが多いと思います
司法書士が登記の際に頭を悩ませるのは、11ではないでしょうか
11には内容に特に制限はないため、信託契約書の中から、「これは大事そうだから登記して公示しておいた方がいいかなぁ~」と思われる内容をPICK UPして、登記することになります。
例えば、「原契約の公正証書の特定」「受益権の処分禁止に関する事項」「信託の変更に関する事項」「委託者の地位の相続」「受託者の任務の終了」「清算受託者及び清算事務」「残余財産の帰属権利者」などです。
ここで問題となるのが、契約内容の秘匿性についてです。
家族信託の場合、信託契約そのものが遺言とほぼ同じ役割をもって作成されることが多いため、
契約書の中には委託者が亡くなった場合などの残余財産の帰属先として、ある特定の人物の住所氏名生年月日を記載していることも多いのですが、それをそのまま登記してしまっては、遺言丸見えの状態になってしまいます・・・。
じゃあどうしたらいいのか・・・というところで、「残余財産の帰属先は・・・・原契約書記載の通りとする」というようにぼかしておくことが多いのですが、先日たまたま登記をする前に申請先の法務局に事前照会をかけてみたところ、
「これでは公示する意味がなくなってしまうので、ちゃんと詳細に書いてもらわないと困る」というようなことを言われました
でも、詳細を書きすぎると、それも困る・・・
そこで、事前照会の内容は無視してそのまま申請を出してみて、
どうしてもその部位が指摘されるようであれば、そもそも、その他の信託の条項は任意記載なので、
補正で削ってしまおう(事前に預かっておいた別verの登記原因証明情報と差し替えよう)という作戦をたてて申請を行いました
結果、担当したのが別の登記官だったのか、補正もなく「原契約書記載の通りとする」で登記が完了しました
<みさき司法書士事務所>
2022.01.13.
不動産登記【遺産分割協議書に委任代理人が押印して登記申請を行う場合】
明けましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
長年業務をしていると、新たな発見も徐々に減っているのですが、何か有益で面白いネタが見つかり次第、細々とブログは続けていきたいと思います
さて、先日、遺産分割の協議及び調印を委任代理人の弁護士さんが行った遺産分割協議書を添付して登記の申請を行いました。
事前に先例を調べたところ、
「遺産分割の協議を委任代理人に行わせ、その協議書を添付して登記の申請があった場合、
遺産分割協議書に代理権限を証する書面の他、署名押印した代理人の印鑑証明書を添付していれば受理して差し支えない。」
(昭和33年7月9日民事甲第1379号)
という先例がありました。
相続人から弁護士さんへの代理権限を証する書面(委任状)はどうすれば良いのか・・・・と悩みました。
そもそも、遺産分割協議に関する委任なのか、遺産分割協議書への調印に関する委任なのかも先例からは不透明です。
(書き方的に、遺産分割協議に関する委任とも捉えられる気がしますが・・・。)
そこで、無難に、
「私は、今般、上記の者に対し、被相続人○○(●●年●月●日生、死亡時本籍:~~~~)の遺産相続に関し、相続人との間で別紙の通りの遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に調印することを委任します。」と書いて、別紙に調印前の遺産分割協議書を合綴した委任状を作成しました
両方委任事項に入れて、さらに調印予定の遺産分割協議書を合綴しておけば文句のつけようがないだろうと
気を付けたいところは、代理人となった弁護士さんには個人の実印での調印と、個人の印鑑証明書の提出をお願いしないといけないところです。
弁護士会発行の職印証明書では、官公所発行の印鑑証明書とは言えないので、登記には使用できません
通常その時点でほとんどの先生は嫌煙されると思うのですが、今回はどうしても代理人として調印する必要があったという事案でしたので
(委任状に記載の代理人欄にも個人の自宅住所を書いていただく必要があります。)
特に法務局に事前の照会などはしませんでしたが、普通に登記が完了しましたので、ひと安心です。
<みさき司法書士事務所>
2021.12.02.
不動産登記【買戻し期間の満了日】
久しぶりの買戻し特約の抹消
最近では年に1,2件見かけるくらいなので、期間満了日がいつになるのかの計算が、毎回悩みます
備忘録としてブログに残しておこう・・・。
例①
買戻し期間が 平成10年10月1日から10年間 となっている場合
⇒満了日は 平成20年10月2日満了
例②
買戻し期間が 平成20年10月1日まで となっている場合
⇒満了日は 平成20年10月2日満了
いずれの場合でも翌日の0時をもって満了ということになります
ブログにまで書いたので、さすがに次は忘れないように思います
<みさき司法書士事務所>
2021.01.22.
不動産登記【所有権抹消の登記原因】
遅ればせながら、明けましておめでとうございます
今年もよりスキル&知識UPを目指して精進していく次第です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします
さて、今日のタイトルである所有権抹消登記ですが、これは現在の所有権登記を抹消し、前所有者の名義にするという登記です。
(前所有者まで登記が戻ってしまうと困る場合や、抵当権などが設定されている場合には真正な登記名義の回復を利用します。)
所有権抹消登記の登記原因といえば「錯誤」や「合意解除」、「解除」などが挙げられますが、
この度「所有権移転無効」を原因として抹消登記の手続きを行いました。
(「質疑応答6205」登記研究423号126頁)
「所有権移転無効」と「錯誤」の使い分けは一体何か・・・
文献によりますと「錯誤」は抹消されるべき登記が登記手続きの当初から不適法である場合(原始的理由に基づく場合)に原因となり、「所有権移転無効」は実体上の理由に基づく場合、つまり、所有権移転登記の登記原因が当初から無効または不成立であったような場合(売買契約が無効であるような場合)に原因とするようです。
(登記研究817・38頁)
解釈が難しいですね。
<みさき司法書士事務所>
2020.04.28.
不動産登記【未成年者からの委任】
最近、未成年者(といっても大学生くらい)から委任を受けて登記の申請を行うことがありました
小さなお子さんである場合には、法定代理人である親権者からの委任を受けて登記の申請を行うのが通常ですが、
19歳くらいの場合、どうしたら良いのか・・・・?
(なお、印鑑登録は16歳以上であればできます。)
この点につき次のような先例があります。
意思能力ある未成年者が不動産の贈与を受けた場合は、登記権利者として、未成年者自身が、(若しくは親権者が代理して)司法書士にその登記申請手続きを委任することができる【登研425.125】
どうやら、意思能力(10歳前後で備わるとされています。)がある未成年者が登記権利者となる場合には未成年者から委任を受けて登記の申請ができそうな感じです。
しかしながら、委任契約の成立を考えた場合に、やはり行為能力のない未成年者との契約には親権者の同意が必要ですし、
未成年者単独で登記の委任を受けることはできないであろうと考え、
私の事務所では親権者から委任状(実印+印鑑証明書)をもらって登記の申請を行うことといたしました。
(もちろん、未成年者からの委任状と親権者からの同意書でも良いかと思います。)
<みさき司法書士事務所>
2020.02.20.
不動産登記【法定相続登記後に遺産分割協議があった場合】
こんにちは
昨年の話になりますが、少し珍しい登記をしました
該当不動産は債権者により、(差し押さえのために)債権者代位でABC名義に法定相続登記がされており、その後差押は抹消されたものの、法定相続人ABCの共有状態で放置され、さらにBについては数次相続が発生して、Bの相続人はDEFであるという物件でした。
「今日現在の相続人全員で遺産分割を行い、Aの単独名義に変更したい」というご相談をお受けして、「年月日遺産分割を原因とする持分全部移転登記」を行いました。
その際、数次相続が発生しているBについて、DEFへの法定相続登記が必要か?と検討したのですが、「遺産分割の効力は相続発生時に遡る」ということを根拠に不要であると判断し、ACDEFの5名で遺産分割を行い、その遺産分割協議書を登記原因証明情報として添付して「B持分全部移転」「C持分全部移転」の登記申請を行いました。
「B持分全部移転」の登記は相続人DEF全員が登記義務者となって申請を行いました。
特に法務局からの補正指示などもなく登記が完了しましたので、またひとつ良い経験になったと思います
<みさき司法書士事務所>
2019.08.25.
不動産登記【売買契約に基づく手付金返還請求権の抵当権】
久しぶりの更新となりました
事務所は毎日賑やかです
さて、今年の春先に、「売買契約に基づく手付金返還請求権」を被担保債権として抵当権設定登記ができないかというご相談をお請けし、登記をさせていただきました
そのような登記ができるという先例があることは文献で読んで知っておりましたが、「契約から決済までの間の僅かな期間でわざわざ担保を取るなんて、いったいどのような局面で!?」と長年疑問に思っていました。
今回の取引不動産の価格が相当な高額であり、手付金だけで○億円さらに、契約後、引き渡しまでの間に分筆合筆や開発許可の申請があったりなど、半年以上の期間を要するような事案でした。
それは確かに手付金の保全措置が欲しいところですと妙に納得しました。
というわけで、売買契約書を確認の上、抵当権設定契約書及び登記原因証明情報を作成し、登記を行いました。
気合を入れて結構ボリュームのある登記原因証明情報を作成して法務局に事前照会をかけたのですが、
法務局から添削された結果、下記の通りとってもシンプルな登記原因証明情報に
登記の目的 抵当権設定
原因 令和○年○月○日売買契約に基づく手付金返還債権同日設定
抵当権の内容 債権額 金●●円
利息 無利息
登記原因となる事実又は法律行為
(1)被担保債権
甲は乙との間で、令和○年〇月○日、後記不動産に関して不動産の売買契約を締結し、甲は同日手付金として金●●●円を乙に差し入れ、乙はこれを受領した。
(2)抵当権の設定
乙は、甲のとの間で、令和○年○月○日、(1)記載の売買契約が解除された場合に発生する手付金返還債権を被担保債権とする抵当権を工期記載の不動産上に設定する旨を約した。
なお、抵当権設定は仮登記でもいいんじゃない?と友人司法書士からコメントをもらったのですが、
確かに仮登記なら登録免許税が安いのですが、実際に抵当権を実行するべき局面になった際に、
本登記に債務者の協力が得られないケースもあるため、担保を取るという主旨なのであれば本登記をしておくべきだと考え、お金はかかったものの、本登記を行いました。
もちろん、ケースによっては仮登記をするということも選択肢としてはアリだと思います。
<みさき司法書士事務所>
2019.04.08.
不動産登記【根抵当権の元本確定と登記原因証明情報】
2月3月が忙しく、なかなかブログの更新ができませんでした
4月に入り、少し落ち着いたので、久しぶりの更新です
先日、根抵当権者からの元本確定請求による根抵当権の元本確定登記を申請しました。
根抵当権の元本確定事由は様々あるのですが、今回は「根抵当権者からの請求」による確定です。
根抵当権者からの元本確定請求による元本確定の登記は単独申請でも行うことができるのですが、
単独申請による場合には、根抵当権設定者宛に内容証明郵便(配達証明付)で通知書を送付した上で、
申請書に登記原因証明情報として添付する必要があります。
今回、緊急のご依頼でしたので、内容証明郵便を送っている時間もなく、
また、債務者兼設定者の協力が得られるという状況でしたので、報告形式の登記原因証明情報を作成し、
権利者義務者共同申請で登記の申請を行いました
その内容は次の通り。
1.平成●年●月●日、根抵当権者乙は、設定者甲に対し、後記不動産に設定された根抵当権の担保すべき元本の確定を請求する意思表示をし、同日、甲はこれを受領した。
2.よって、平成●年●月●日、1記載の本件根抵当権の担保すべき元本が確定した。
甲乙それぞれから捺印(認印)をいただきました。
とてもシンプルなものでしたが、問題なく登記も完了しました
<みさき司法書士事務所>
2018.08.20.
不動産登記【二重国籍と相続登記】
ここ1週間ほど朝の気温が低くとても快適ですね
さて、先日弁護士さんからこんな相談を受けました。
「米国在住の元日本人が、米国の国籍取得後、まだ日本の国籍離脱届を出していない状態(つまり、二重国籍状態)で、
日本にある不動産を相続した場合、相続登記の際に遺産分割協議書などに添付するサイン証明書はどうすればよいでしょうか?二重国籍である旨を上申書に記載の上、米国の公証人のサイン証明書をもらうべきでしょうか?
ちなみに、依頼者は国籍を日本にもまだ置いておきたいそうですので、今後も国籍離脱届を提出する予定はありません。」
先例がないので、とても微妙な質問です
日本人が多国籍を取得した場合、自らの意思で国籍離脱届を提出しないことには、
国籍は日本にも残ったままになります。
国籍が日本にあるということは、まだ戸籍も残っていますし、
しれっと米国にある日本の領事館に行って、日本人であるものとして各種証明書を発行してもらえそうな気もします
敢えて違法な二重国籍である状態を自ら上申書で明らかにした上で、法務局に書類を提出したところで、
法務局はその申請を受け付けてくれるのか・・・・・
とはいえ、相談を受けた司法書士としてはそんなことも言えないので、
「国籍離脱届を出したうえで、米国の公証人にサイン証明をしてもらってください。」と言うしかありません。
国をまたいだ手続きは、どうしてもどこかで不具合がありますね。
<みさき司法書士事務所>
2018.08.09.
不動産登記【登録免許税の銀行窓口での納付方法】
近々ドキドキ高額不動産取引を行うことになりました
所有権移転、抵当権設定と合わせると、その登録免許税も数千万・・・
通常は不動産取引立会時に司法書士が登録免許税を依頼者からお預かりし、
郵便局や法務局の印紙売り場で収入印紙を買って登記申請書に貼り付けの上、
法務局に提出するのですが、今回はお預かりする額も高額・・・・
若い女の子(もう女の子って年でもありませんが・・。)が預かって持ち歩くには恐ろしすぎます
そこで、今回は登録免許税を銀行窓口で納付し、納付書の控えを申請書に貼り付けの上、
法務局に提出する方法をとることにしました。
少し面倒なのですが、その方が安全ですので
その方法は下記の通り。
①申請先の法務局を管轄する税務署宛の納付書を、最寄りの税務署で作成してもらう。
*全国どこの税務署でも、窓口で依頼したら納付書を準備してくれるそうです。
②納付書を使って金融機関の窓口で納付する。
*全国どこの金融機関でも納付できます。
③納付書の控えを申請書に貼り付けて、登記の申請を行う。
以上です。
事前の準備が大変ですが、思ったよりも簡単でした
<みさき司法書士事務所>
2018.06.19.
不動産【死因贈与の仮登記の本登記】
先日、死因贈与の仮登記(始期付所有権移転仮登記)の本登記を行いました
ただ、申請書や登記原因証明情報の記載方法についてはどの本でもネット情報でも拾うことができず・・・。
自己流で申請を行ったので、登記完了まではどきどきでした
無事に登記が完了いたしましたので、備忘録としてこちらに記載しておきます。
【死因贈与の仮登記の本登記申請書】
登記の目的 所有権移転(〇番仮登記の本登記)
原因 平成〇年〇月〇日贈与 *原因日付は死亡日です。原因は死因贈与ではなく贈与です。
権利者 受贈者
義務者 遺贈者の相続人全員又は執行者
添付書類 登記原因証明情報・相続関係を証する書面・権利書・印鑑証明書・住所証明情報・代理権限証明情報
登録免許税 10/1000
【登記原因証明情報】
(1)乙は、甲に対し、平成☆年☆月☆日、本件不動産について、乙の死亡の時を始期と定める贈与契約を締結した。
(2)甲及び乙は、平成●年●月●日、上記内容について所有権移転仮登記を申請することに同意し、所有権移転仮登記を経由した(平成●年●月●日○○法務局受付○○号)
(3)平成〇年〇月〇日、乙は死亡した。
(4)よって、同日、乙から甲に本件不動産の所有権が移転した。
*死因贈与契約にかかる契約書が残っているようであれば、その契約書、死亡記載のわかる戸籍、相続人全員の承諾書をもって登記原因証明情報となるのですが、残っていない場合には、上記のような報告形式の登記原因証明情報を作成する必要があります。
*上記登記原因証明情報は一例です。
相続人全員から登記の協力が得られない場合には、遺言の場合のような執行者を家庭裁判所で選任し、
執行者を登記義務者として登記の申請を行うこととなります。
今回は受遺者と相続人全員が親戚同士ということもあり、快く協力していただき、無事に登記ができました。
<みさき司法書士事務所>
2018.03.26.
不動産登記【更正登記の抹消?と真正な登記名義の回復】
先日、更正登記の抹消ができないか?というご相談を受けました
いったんA名義で登記された不動産を、知人のアドバイス(?)により便宜上ABCDの共有として更正登記をしたが、
所有権の実態はAだけなので、Aの名義に正したい。
というご相談です
当初、付記1番でされている更正登記を抹消できないか?と相談を受けたのですが、
更正登記は「遡及して最初から正しい登記がされていた」ことになる登記ですから、
付記登記だけを抹消することはできず、抹消するとしたら所有権そのものを抹消することになってしまいます。
いったん更正登記がされたものを再更正を入れることができるという先例もあるようですが、
更正登記には、前所有者の協力が必要となるため、ご依頼を受けた物件は30年以上前に購入した不動産ですので、
前所有者の協力を今さら得ることもできなさそうです・・・
そこで、最後の手段として「真正な登記名義の回復」を行いました。
真正な登記名義の回復は、万能な移転登記である一方で、その登記原因証明情報の作成には、毎回頭を悩ませます・・・。
なぜなら、「売買」や「贈与」などのように、決まりきった定型があるわけではないからです。
特に本件に関しては、所有権を偽装していたという経緯があるため、堂々と登記原因を書くわけにもいかず、大変悩みました。
登記原因証明情報の概要としては、
1.昭和〇年〇月〇日、甲は××から本件不動産を購入し、所有権を取得した(昭和〇年〇月〇日第○○○号登記済)。
2.しかし、甲は後になって乙らと共有名義にすることで節税効果があるものを思い、甲及び乙らの共有名義にするべく、錯誤を原因とする更正登記を行い、共有であるかのように仮装した(平成●年●月●日第●●●号登記済)。
3.上記更正登記は無効な登記原因により所有権が更正されたものである。
4.よって、乙らは甲に対し、真正な登記名義の回復の回復を原因としてAを除く共有者全員持分全部移転登記を申請する。
という内容になりました
仮装したという言い回しがなんとも絶妙・・・。
法務局から何か指摘があったら嫌だな・・・と思いましたが、無事に登記の申請ができ、ほっとしました。
1月にも同様のブログを更新しましたが、全くの別事件ですので、案外このような事案は多いのかもしれませんね・・・。
<みさき司法書士事務所>
2018.01.19.
不動産登記【所有権の錯誤抹消の登記原因】
先日いただいたご相談事案で、少し頭を悩ませたものがありました
ご相談の内容は、
「AさんとBさんの通謀虚偽表示により、AさんからBさんへの名義に変更している不動産をAさん名義に戻したい」というものでした。
このような場合、錯誤を原因として所有権移転登記を抹消するのが最善策だと思うのですが、
そもそも、登記原因証明情報にはなんて書けば良いのか・・・?悩みました。
「通謀虚偽表示だった」と堂々と書けば、「公正証書原本不実記載罪」と言われてしまう可能性もあるのではと思ったのですが、思い切って申請先の法務局に相談をしました
すると、意外にも法務局は前回の登記については特にお咎めなく、出てきた書面さえ正に作成されたものであれば登記を通してくれるようで、すんなりと解決しました。
(ちなみに公正証書原本不実記載罪の時効は5年だそうです。)
その結果、私の作成した登記原因証明情報のだいたいの概要は次の通りです。
1.甲は、乙に対し、平成☆年☆月☆日売買を原因として所有権を移転した。
2.しかし、上記所有権移転登記は甲及び乙の通謀虚偽表示によるものであり、無効な登記原因により所有権が移転されたものである。
3.よって、本件不動産の所有権移転登記を錯誤により抹消する。
これで、OKでした。
案外簡単なんだ・・・・という感想だけが私の記憶に残りました
<みさき司法書士事務所>
2018.01.09.
不動産登記【申請意思の撤回による取下げ】
先日不動産の登記申請を入れたところ、その日の夕方に依頼者様から、「待った」がかかりました。
「事情があってもう少し後の日付に申請日をずらしたいので、申請中の登記をいったん取り下げて欲しい。」と言われたのです
登記は申請中~完了前であれば、取り下げることが可能です。
ただし、取り下げる事態に発展するということは滅多とないことですので、
実は、申請した登記を取下げるというのは初めてでした
(取下げに慣れているのもある意味ダメなんですけど・・・。)
法務局に確認したところ、登記の取下げは、補正のための取下げであれば、申請時にいただく委任状の代理権の範囲内で取下げができるのですが、「申請意思の撤回」の場合には、登記義務者&権利者の双方から、申請意思の撤回による取下げのための委任状を別途もらいなおす必要があるとのこと
依頼者様に説明したところ、「そんなに大変なら、取下げなくて大丈夫です!」とおっしゃっていただき、結局取下げは行わずにそのまま申請を進めることになりました。
そんなに取下げが大変なことだとは私も知らず、驚きました
<みさき司法書士事務所>
2017.11.01.
不動産登記【相続分の譲渡、売買、贈与と登記】
最近相続分の譲渡による相続登記を行いました。
相続分の譲渡は、実はとても気を付けなければならない遺産分割の手法です
【相続人間で相続分の譲渡を行う場合】
①相続登記未了の場合
相続人間での相続分の譲渡契約書や遺産分割協議書を添付すれば、「年月日相続」を原因とした所有権移転登記が可能です。
②既に法定相続分での相続登記を行っている場合
相続分の譲渡契約書を添付して、譲受人名義への持分移転登記をすることができます。
ただし、この場合には、登記の目的は「年月日相続分の贈与」又は「年月日相続分の売買」のいずれかとなりますので、登記原因に求められる法律行為の実態を明らかにするためにも、譲渡契約書の中で「有償」か「無償」かを明らかにしておく必要があります。
(単に、「譲渡する」と記載しているだけの契約書では登記に差し支えます。)
【第三者に対して相続分の譲渡を行い、当該第三者を含めた遺産分割を行う場合】
相続分の譲渡と遺産分割という2つの法律行為による物権変動を1つの登記原因で登記することは中間省略登記を認めることとなり、することはできません(「質疑応答」登研744号125頁)。
この場合にはいったん法定相続登記を経た後に、譲受人である第三者に「相続分の贈与(売買)」を原因とする持分移転登記を行い、そこから更に遺産分割を原因とした持分移転登記を行う必要があります(登研753号186頁)。
弁護士さんが作成した相続分の譲渡契約書でも、ときどき登記には使用できないものが見受けられます。
上記の他にもいろいろなケースがあると思いますが、よく考えて譲渡契約書を作成しなければ登記ができなくて困るなんてこともあるかもしれません。。。
<みさき司法書士事務所>
2017.09.01.
不動産登記【遺産分割の代償として不動産を贈与】
最近は朝晩がだいぶ涼しくなって過ごしやすくなってきましたね
タイトルそのままになりますが、先日遺産分割の代償として、不動産を贈与する登記を行いました。
「相続人○○は■■を取得する代償として、相続人△△に対し、金★★を支払う」という遺産分割(代償分割といいます。)はよくあるパターンなのですが、現金の代わりに相続人名義の不動産を他の相続人に現物給付する場合、所有権移転のための登記原因は一体どうなるんだろう・・・と調べてみたところ、ちゃんと先例がありました。
登記原因は「年月日遺産分割による贈与」となり、
登記原因日付は遺産分割協議の日(贈与&受諾した日)になるようです。
(登記研究528-184)
ただし、譲渡所得税がかかる場合があるため、慎重に行わなければならないですね。
<みさき司法書士事務所>
2017.07.29.
不動産登記【破産会社の過去の利益相反取引の追認決議】
最近、破産管財人の弁護士さんからご相談をお請けした、少し困った事案がありました
破産会社が、20年以上前に代表取締役から購入した代表取締役個人所有の不動産につき、(登録免許税がもったいないから)未登記のまま法人の資産として計上していたところ、この度破産することとなったため、管財物件として売却する前提として、今から法人名義に変更したいというものです。
通常、会社と代表者との間で売買を行う場合には、「株主総会」又は「取締役会」において承認決議を要し、不動産登記の申請時にも議事録を添付する必要があります
□そんな20年以上前の利益相反取引を今、追認決議するということがあり得るのか!?
□破産会社に追認決議をするための権限が残っているのか?!
(平成21年4月17日最高裁判決では、「破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等」については、破産後も破産者たる会社が自ら行えると判断しています。)
という2つの疑問がありましたが、
法務局に事前照会の上、現在の日付で作成した取締役会議事録(役員全員の印鑑証明書付き)を添付して登記申請を行ったところ、問題なく登記することができました
滅多にない事案だとは思いますが、また1つ経験値が上がりました
<みさき司法書士事務所>
2017.06.14.
不動産登記【民法932条但書の価額弁済】
お久しぶりです!
HPの管理会社を引継ぎしていた関係で、この1か月ほど、更新ができずにおりました
無事に引継ぎができたため、今後も引き続きブログを書いていきたいと思います
先日、大阪法務局堺支局にて「民法932条但書の価額弁済」を原因とした所有権移転登記を行いました。
なかなか珍しい登記だったのですが、下記の通りの登記原因の記載で問題なく完了しました。
備忘録のため、こちらに記載しておきます。
登記の目的 「A,B持分全部移転」
登記原因 平成〇年〇月〇日民法932条但書の価額弁済
登記の原因となる事実又は法律行為
(1)平成☆年☆月☆日、Xは死亡した。
(2)平成△年△月△日、Xの相続人であるA,B,Cは大阪家庭裁判所堺支部に相続の限定承認の申述をし、受理され、相続財産管理人としてAが選任された。
(3)相続財産管理人Aは、民法927条の公告及び知れている債権者への各別催告を行った。
(4)本件不動産につき、大阪家庭裁判所堺支部において鑑定人が選任され、本件不動産の鑑定評価額は金□□万□□□□円に決定した。
(5)平成〇年〇月〇日、限定承認者Cから、被相続人X相続財産管理人Aに対し、先買権の行使として民法932条但書の価額弁済金□□万□□□□円が支払われた。
(6)よって、法定相続登記を経由して、平成〇年〇月〇日、民法932条但書の価額弁済を原因としてA、B持分はCに移転した。
実際の実務の流れとしては、限定承認後に鑑定人の選任申立を行い、不動産については選任された不動産鑑定士さんに鑑定してもらいました(鑑定士さんは上申書で候補者の推薦ができましたので、私の知人を選任してもらいました。)。
今回は取得価額よりも安い金額での売却だったため、譲渡所得税はかからないということで税理士さんのお墨付きもいただき、安心して手続しましたが、譲渡所得税がかかる場合は要注意です。
ちなみに、限定承認を行うと、財産は法定相続人での共有状態となるため、法定相続登記の省略は避けられません。
<みさき司法書士事務所>
2017.05.08.
不動産登記【韓国・家族関係証明書】
GWが終わってしまいましたね
GWは新潟に遊びに行ってきました
6年くらい前にお仕事で行って以来ですよく晴れてて楽しかったです
また行きたいな~~~
さて、そういえば先月は初めて大阪の韓国総領事館で家族関係証明書を取得しました
家族関係証明書とは、日本で言うところの「戸籍」のようなものです。
ご依頼を受けた不動産の相続登記をしていたところ、被相続人(日本人)と養子縁組をしている養子の国籍が韓国だったんです
家族関係証明書は、職務上請求をすることができないため、その養子さん本人から委任状をもらって、代理人として取得請求をすることになります。
(本人又は配偶者、直系尊属・卑属から委任状がもらえない場合、兄弟からの交付申請が認められていないため、証明書を取得できず、登記が進まないという問題点もあるようです。)
証明書は下記のとおり5種類あります。
□基本証明書
□家族関係証明書
□婚姻関係証明書
□入養関係証明書
□親養子入養関係証明書
今回は登記に必要だと思って、基本証明書と入養関係証明書を取得しました
ところが、入養関係証明書には、養子縁組の事実の記載がありませんでした
おそらく、日本でだけ届出して、本国への届出は忘れていたんでしょうね。
一瞬パニックになりましたが、日本の戸籍には間違いなく養子縁組の事実の記載があるため、下手に入養関係証明書を添付して藪蛇になっても嫌だと思い、基本証明書のみを添付して登記申請を行ったところ、普通に登記が完了しました。
ちなみに、全部ハングルで書かれているため、翻訳は領事館の近くにある翻訳屋さんで1通1000円で翻訳してもらいましたなんて便利な
<みさき司法書士事務所>
2017.04.06.
不動産登記【三井不動産、阪神電気鉄道の買戻権抹消】
最近、珍しい買戻権の抹消を行いました
何が珍しかったといいますと、買戻権が三井不動産㈱と阪神電気鉄道㈱の共有だったということです。
共有状態も珍しいですが、住宅供給公社以外の買戻権というのも珍しいです。
さらに、三井不動産㈱は買戻期間満了後に会社分割によって、買戻し権の抹消に関する業務を三井不動産レジデンシャル㈱に分割していました。
抵当権等と同じように、買戻し期間満了後(消滅後)に権利の異動があった場合には、権利を承継したことがわかる資料を添付して、買戻し権の移転は省略して抹消できます。
権利を承継したことがわかる資料は、
会社分割があったことのわかる登記簿謄本(閉鎖謄本)と、事業を分割したことがわかる証明書です。
今回は、登記義務者の方で謄本の他、「変更証明書」を用意してくださいましたので、これを利用しました。
というわけで、変更証明書(法人の実印&印鑑証明書付)、三井不動産レジデンシャル㈱と阪神電気鉄道㈱からの登記原因証明情報、委任状並びに印鑑証明書、権利者の委任状を添付して抹消登記申請を行いました
阪神間のとあるマンションなのですが、同じような物件に今後また出くわすことがあるものなのでしょうか
<みさき司法書士事務所>
2017.03.12.
不動産登記【不在者財産管理人と遺産分割】
半年以上前に他県の同期の司法書士さんから依頼を受けて共同で進めていた事案がやっと終了しました
相続人の1人が行方不明で、その方について不在者財産管理人を選任し、遺産分割を行うというものです。
もともとは同期の司法書士さんが受けた相続登記のご依頼ですが、不在者が近畿地方にお住まいだったこともあり、私が最後の住所地に行って現地調査を行い、不在者の不在者財産管理人となって遺産分割協議に参加しました
一般的に手続の流れは次の通りです
1.不在であることの調査
↓
2.不在者財産管理人選任申立
↓
3.不在者財産管理人の選任
↓
4.権限外行為の許可申立
↓
5.遺産分割&登記
↓
6.財産の管理継続(又は家庭裁判所への終了報告)
↓
(7.選任処分の取り消し)
遺産分割の際は不在者が不利になるような遺産分割はできないため、最低限法定相続分相当を不在者に対して金銭で支払うような内容(代償分割)になっていなければ、権限外行為の許可は下りないかと思います
この際、代償金は「不在者が帰来したときに引き渡す」ような協議内容にしておくことで、不在者財産管理人は遺産分割終了後に管理するべき財産はありませんから、終了報告を行えばすぐに選任処分を取り消ししてもらうことができます。
(代償金の額面にもよるかもしれませんが・・・。そのボーダーラインは私にもわかりません。)
(管理する財産がある場合は、不在者が出てくるか、死亡が判明して相続が開始するか、管理する財産が無くなる時まで管理を続ける必要があります。)
なお、選任処分の取り消しは報告により職権で行われるものですから、家庭裁判所の一般的な申立の際に要するような収入印紙などは必要なく、返信用切手だけ入れておけば足りるようです。
<みさき司法書士事務所>
2017.02.04.
不動産登記【外国人登録原票の写しの郵送請求】
平成24年に新たな在留管理制度が導入されたことに伴って、外国人登録制度は廃止され、それまで市区町村で保管されていた外国人登録原票は、法務省で保管されることになりました。
平成24年の改正後は各市町村で日本人と同じように住民票を取得できます。
ただし、過去の住所移転の履歴は、法改正後に異動があったものしか記録されていません。
そのため、外国人が不動産の住所変更の登記を行う場合などで、平成24年の法改正前の住所に沿革をつけなければならないときは、法務省に対し、閉鎖された外国人登録原票の写しを開示請求しなければなりません。
ただし、やっかいな点は、請求権者は「本人又は法定代理人に限る」という点です。
職務上請求もできないため、本人に協力していただく必要があります。
しかし、その本人にも制度をよく理解していただけず、説明が難しいため、とても困ります。
( 裁判や相続などに関連して請求する場合は、利害関係人からの請求でも開示されないため、弁護士さんに依頼して弁護士法23条による照会を利用しないといけません。この時点で司法書士だと依頼をお受けできないことになります )
先日、不動産登記に利用するため、本人請求によって郵送請求をしたのですが、その際「何かあった場合の連絡先」として司法書士事務所の連絡先を書いておくことで、申請内容の確認は本人ではなく、司法書士事務所に連絡してもらえることがわかりました。
また、請求用紙も必ずしも本人の署名や捺印は求めていないようです。
開示された外国人登録原票の写しの返送先は本人の住民票上の住所地になりますので、完全な代理をすることは無理ですが、実質的な代理請求(?)が暗に認められているようです
<みさき司法書士事務所>
2017.01.16.
不動産登記【権利証紛失で住所の沿革もつかない場合】
登記簿上の住所から現住所への住所変更の登記も行う必要がある場合に、昔取得された不動産の場合、住民票を取得しても、戸籍の附票を取得しても、住所の沿革がつかないような場合があります。
そんな時には、通常は住所変更登記の申請書に、「申請者本人に間違いありません」という上申書を添付することで登記を通してもらうのですが、その際の原則の取り扱い(大阪のローカルルールかもしれませんが。)は次の通りになっています。
第一に、
登記名義人からの上申書(実印で捺印し、印鑑証明書を添付)+不動産の権利証
権利証が紛失してしまって存在しない場合は、
第二に、
登記名義人からの上申書(実印で捺印し、印鑑証明書を添付)+固定資産税の納税通知書+固定資産税の領収書
納税通知書もない場合は、
第三に、
登記名義人からの上申書(実印で捺印し、印鑑証明書を添付)+成人2名による保証書(実印で捺印し、印鑑証明書を添付)
*類似するケースとして相続の場合はコチラ
保証人2名は家族でも他人でも、誰でも良いので、依頼を受けた司法書士が保証人になることもできるのですが、やはりできれば保証人をたてずに登記の申請を行いたいところです。
最近、ご依頼を受けたケースでは、住所に沿革がつかず、権利証紛失、納税通知書紛失という状態でした。
上申書やその添付書類そのものは、登記申請書の法定添付書面ではないので、もう少し柔軟に対応してもらえないものかと思い、上申書に次のような書面を添付して間接的に沿革を証明することで登記申請を試してみたところ、無事に登記が完了しました。
【上申書の添付書類】
□住所に沿革がつかないことの証明書類(住民票、除票、戸籍の附票)
□印鑑証明書
□名寄帳(←本物件以外にも不動産を所有されていたので。)
□納税証明書
□他の物件の登記簿謄本(←その他の不動産については住所の沿革がついたため)
□登記簿上の住所の不在住証明書
「他に所有している物件の方は、住所に沿革がつくでしょ?だから本人に間違いありませんよ。」ということを上申書に記載しました。
法務局も結構柔軟に対応してくれるんだなぁと、一安心でした。
柔軟な対応が大事!と改めて思いました。
<みさき司法書士事務所>
2016.11.30.
不動産登記【金融機関作成の根抵当権設定契約書の罠】
なんだかすごいタイトルですが、最近引っかかった罠がありました。
とある金融機関(信用金庫)の用意した根抵当権設定契約書(&登記原因証明情報)を利用して、土地・建物への共同根抵当権設定の登記申請をしたところ、「’共同担保として’という文言が入っていないこのままだと、共同担保にできません。」と、法務局から補正の連絡が入りました(しかも捨印が押されていなかった・・・・。)
土地と建物を共同担保にできないと何が困るかというと、根抵当権の各種登記事項変更手続きを行う際や、根抵当権を実行して競売にかけるときに、共同担保であれば(原則として)1つの手続で済むところ、別々の担保であれば手続きが担保の数だけ必要になってしまうんです
金融機関から「使ってください」と渡された定型の書類、よ~く文言まで確認しなかったのは私の責任でもありますが、「いつもこの金融機関の担保設定するとき、他の司法書士さん達はどうしてるんやろう・・・?」と疑問に思いました
しかも捨印があれば簡単に訂正できたところ、捨印がなかったが故に、もう一度登記義務者に印鑑をもらいなおすことになり、すごく苦労しました。
「金融機関の作った書類は絶対間違いない」という考えは捨てなければならない、と思いました
<みさき司法書士事務所>
2016.10.18.
不動産登記【和解契約による所有権移転登記】
民法では、「和解」は契約の一類型として定められており、これも1つの契約ということになります。
したがって、不動産の所有権を譲渡することが和解契約の内容になっているのであれば、
当然、和解契約を原因とした所有権移転登記もすることができます
では、和解契約による所有権移転登記の登記原因証明情報はどのように記載すれば良いのか。
案外シンプルです。
(1)和解契約
甲及び乙は、平成○年○月○日、甲が乙名義の本件不動産を取得する旨の和解契約を締結した。
(2)所有権移転の移転
よって、本件不動産の所有権は、同日乙から甲へ移転した。
実際にはオリジナルの和解条項に沿うように多少のアレンジはしないといけませんが、
基礎はこれだけ書かれていれば、物権変動の事実の記載としては足ります。
ややこしい事実関係の中での所有権移転であれば、
無理やり登記原因を考えるのではなくて、
いっそのこと全部和解契約で名義変更してしまえばいいんじゃないの!?と思いました
なお、これによる課税関係ですが、「和解」の内容が加害者からの慰謝料その他損害賠償金の性質を兼ねているのであれば、一時所得としては非課税になると思いますが(所法9、51、73、所令30、94、所基通9-19、9-23)、そうでなければ所得税の他、不動産取得税と、義務者側の譲渡所得税は避けられないのではないかと思われます。
税理士さんに要相談ですね。
<みさき司法書士事務所>
2016.07.26.
不動産登記【真正な登記名義の回復とよく似た登記・民法646条2項による移転】
真正な登記名義の回復(詳細はコチラ)と類似する登記に、「民法646条2項による移転」という登記があります
これは、AがBに対して、B名義で法律行為を委任し、委任事務が終了したときに、A名義に所有権を移転する例が挙げられます。いわゆる名義貸しをして不動産を取得した場合に、名義を本当の所有者に戻すってやつですね
よくある例が、
①Aでは資金不足で銀行融資が受けられないため、B名義で不動産を購入し、Bを債務者として銀行から融資を受けた。Aの資金でB名義の債務を全額弁済したため、委任を終了させ、BからAに所有権の登記名義を変更したい。
②A名義では農地を購入できないため、農家であるB名義で農地を購入してもらった。その後、Aが要件を満たしたため、委任を終了させ、BからAに所有権の登記名義を変更したい。
などです。
大阪でも南部では農地の取得でよくある話です。
登記原因証明情報に記載する事項はいたってシンプルです。
1.委任契約に基づき、受任者が申請に係る不動産の所有権を取得して登記を経由している事実
2.所有権が受任者から委任者に移転する旨の合意が成立した事実(条件成就の場合はその事実)
3.所有権が移転した事実
の記載があればOKですなぜ委任したかなどの背景事情までは書く必要はありません。
真正な登記名義の回復とよく似た登記ですが、登記原因は明らかに異なりますので、
正しく使いこなしたいところですね
<みさき司法書士事務所>
2016.06.15.
不動産登記【国土調査による合筆と権利証について】
最近、国土調査によって合筆されている土地の所有権登記をしました。
「合併による所有権登記」とあるため、あ、合筆後の権利証が必要だな~と思ってふと右上を見ると、
「国土調査による成果」と書いてあります。
それって、通常の合筆と同様に権利証が発行されるんだろうか…と思って調べました。
通常、合筆して新たに土地の登記簿が作成された場合、新しく権利証(登記識別情報)が発行されるため、合筆後の当該土地の権利証は新しく発行されたものになります。
ところが、国土調査によって合筆された土地の場合、権利証が新たに発行されることはないため、所有権を取得した際に発行された権利証が権利証として有効に使用できるようです。
表題部にはいろんな登記事由があるんですね。面白いな~と思いました
<みさき司法書士事務所>
2016.02.16.
不動産登記【年月日和解を原因とする所有権移転】
2月前半は、いつも参加している勉強会での講師を担当させていただいたり、
会社設立の定款認証のため、岡山県に出張したり、
全国青年司法書士協議会の会議で茨城県に行ったりと、バタバタしていてあわただしかったです。
つくば国際会議場、初めて行きましたが、整然とされた地域で、とにかくクリーンな作りになっていました。
毎回仕事や会議でいろんな場所に行くので、
全国的に地理感覚がちょっとずつわかるようになってきました。
旅行好きの私にとっては、例え仕事であっても、出張は楽しいです
さて、今日の本題ですが、「年月日和解」を原因とする和解調書による所有権移転登記についてです
所有権の移転の原因は、いくつかあります。
主に考えられる代表例は、「相続」「売買」「贈与」「遺贈」「代物弁済」などでしょう。
原因(取引行為)なく、誰かに所有権が移転することはありません。
したがって、相続以外で所有権が移転するためには、何らかの取引行為があることが必要です。
ところが、こんな先例があります。
登記原因及びその日付が記載されていない和解調書による登記原因及びその日付は、「年月日和解」とする。
(登記研究第451号125頁)
和解調書から登記原因が不明な場合だなんて、そんなこと起こりうるのかと不思議で仕方がありませんでした。
が、最近、現実にあり得る話であるということがわかりました
例えば…です。
単純な、売買契約に基づく所有権移転請求訴訟であれば、A→Bへ売買を原因として移転する。
ということがわかるでしょう。
しかし、裁判になっているような複雑な当事者の権利関係において、当事者間で登記理由関係なく、えいやっ!で所有権を移転させてしまうような場合があります。
次の例を見てみましょう
①BCは亡Aから甲土地の所有権を生前に各2分の1ずつ贈与された。
②亡Aの相続人はBCDEであり、DEが「生前贈与は亡Aの入院中で意識不明状態時に行われたものであり、無効だ」と主張し、遺産の確認訴訟をおこした。
③訴訟の中で他の相続財産についても遺産分割が行われ、いろいろと揉めた末、甲土地の所有権はBが単独所有することに決まり、C持分をB持分に移転することで、和解できた。
上記の例でいくと、判決なら判決理由が載るので、もしかしたら判決文の中から登記原因が明らかとなるかもしれませんが、和解調書で、「C持分⇒B持分へ」としか書いていなかった場合、登記原因がわからない状況です。
亡Aの遺産分割ついでに処分されている財産ですので、本当だったら「遺産分割」に当たりそうですが、これは亡A名義の不動産ではありませんので、「遺産分割」とはなりません。
「共有物分割」なのか、「贈与」なのか、和解金を支払っている場合はお金の性質によっては「売買」もありえるわけです。
また、そもそも、裁判の中でどういう認定がされたのかがわかりませんが、亡AからBCへの所有権移転自体が無効であったとすれば、この所有権移転登記を抹消した上で、亡Aの相続登記を行うべきかもしれません。
というような理屈を全部すっとばして、「C持分⇒B持分へ」と和解調書では書いているわけです
このように、登記原因が不明あるいはいくつも推定できるが、登記原因がいまいちよくわからない場合、
「年月日和解」をもって登記することができるとしたのがこの先例です
裁判所と法務局がタテ割りなのが一番の原因なのでしょうか
<みさき司法書士事務所>
2016.01.29.
不動産登記【採石権の抹消】
山林などの登記簿謄本を取ると、よくわからない権利がついていることがときどきあります
最近見かけたよくわからない権利は採石権でした。
そして、その採石権抹消のご依頼を受けました。
受験時代、教科書で1度見かけたことがあるだけの権利
登記簿からわかる情報(登記事項)は、
原因、存続期間(最長が20年)、採石権の内容、採石料、支払期、採石権者です。
ぱっと見たところ、存続期間は既に満了している様子
抹消するにあたり、法務局と相談の上、登記原因証明情報は下記の通りとなりました。
登記原因及び日付「平成○年○月○日存続期間満了」
(1)採石権設定契約及び登記
採石権者●●と★★は、昭和○年○月○日、採石権設定契約を締結し、昭和○年○月○日受付番号○○番で本件不動産にその旨の登記がされた。
(2)存続期間の満了
本件採石権の存続期間は20年であるところ、存続期間の延長をしなかったため、平成○年○月○日の到来をもって存続期間が満了した。
案外シンプルです。
登記官もあまり見たことがなかったようで、戸惑っておられました
採石権は、昔開発が進んだ地域で、採石会社、生コン会社が
その地域の所有者の土地上に設定していることがよくあったようです。
しかし、開発が終わり、採石が行われなくなった後に権利を抹消し忘れたまま放置というのが結構あるみたいです。
またいつかお目にかかることがあるのでしょうかね。
見たことのない担保や権利に遭遇すると、ドキっとしますね
<みさき司法書士事務所>
2015.09.26.
不動産登記【養育費等を被担保債権とした抵当権設定】
離婚に伴って発生する給付債権等を担保するため、
債務者や保証人の所有する不動産に抵当権を設定することができます。
給付債権等には何が含まれるかというと、
一般的には①養育費、②慰謝料、③立替金(配偶者の婚姻前の債務の返済を立て替えたなど。)が考えられます
ありそうでなかったこの抵当権設定登記ですが、この度依頼を受けて登記を行いました。
立替金に関しては、そのままでは金額や返済等が確定できないため、
債務承認契約を行い、3つの債権をまとめて、
【(あ)年月日養育費債権(い)年月日慰謝料債権(う)年月日債務承認契約年月日設定】という登記原因としました。
この抵当権設定を行うにあたり、次の疑問について検討しています。
(私が勝手に疑問に思っただけかもしれませんが。)
1.将来に渡り発生する養育費の総額を被担保債権とした抵当権の設定が可能か。
⇒可能(最判昭33.5.9)。
「年月日養育費債権・慰謝料債権の年月日設定」との登記原因で登記できる(登記研究355号)。
2.養育費の債権者は、子ではなく母親なのか。母親として抵当権を設定し、母親に相続が発生した場合、母親の相続人として新しい配偶者や異父兄弟がいた場合、その者も養育費債権を相続することにはならないか。
⇒養育費は性質上、子供のための費用ですが、離婚給付契約と考えれば、やはり母親が債権者となりそうです。
(ただし、子供は子供で法定の扶養される権利がありますので、契約がなくても養育費の債権者にはなれます。)
今回は契約によって、母親が債権者となっているので、母親を抵当権者とした抵当権で問題ないということです
後者の問題については扶養義務も相続することを考えれば、養育費債権も相続するのは当然と考えてよいのかなと思い、処理しました。
3.債務承認契約を原因とした抵当権の設定は可能か。
⇒当該債務承認契約が単に残存の債務を承認し、その弁済方法を定めたものではなく、新たな債権契約と認められる場合は、受理される。(昭58.7.6民三3810号)
などです。
なお、全ての契約(抵当権設定契約含む)は公正証書により一括して行いました。
普段は住宅ローン等を被担保債権とした抵当権の設定が多いため、
被担保債権が特殊な抵当権設定の依頼があると、頭を使いますね。
<みさき司法書士事務所>
2015.09.07.
不動産登記【(根)抵当権の支店の変更】
最近、根抵当権の追加担保設定をする際に、
既登記の根抵当権に登記されていた銀行の取扱店(支店)が合併等で店舗が変わっていたため、追加設定の前提として、既存の根抵当権の取扱店も変更しなければならないのかと疑問に思い、調べてみたところ、次のようなことがわかりました
原則として、
根抵当権の表示変更があった後に、当該根抵当権について他の不動産を「追加担保」とする登記の申請をするときは、前提として根抵当権者の表示変更の登記を省略することはできません。
(⇔抵当権の場合は変更登記を省略しても受理されます。(登記研究547・146,560・136))
ただし、
根抵当権者の「取扱店の表示」が既登記根抵当権のそれと異なる場合でも受理される。
(登記研究377・141,382・82,383・93)
さらに、取扱店の登記は、変更・更正(遺漏の場合も含む)・抹消が可能なようでした。
(登記研究352・101,385・80,595・135)
結局、全ての共同担保根抵当権の表示が同じでないと気持ち悪いということで、
取扱店を変更した上で、追加設定登記を行いました。
古い抵当権や根抵当権の抹消をすることはあっても、
表示の変更をいれることは滅多にありませんので、
こんなこともできるんだ~と勉強になりました
<みさき司法書士事務所>
2015.08.26.
不動産登記【地役権の抹消の際の登記識別情報】
最近、リピーターさんが増えてきました
何年も事務所をやっていると、以前お世話になった方から、急に連絡が入り、
「あのときの○○です!」と別の案件のご依頼をいただくことが多くなりました。
厚い信頼を寄せていただいていることを、大変嬉しく思います
さて、最近、地役権の抹消の際に必要となる書類を確認しておりましたところ、
(地役権の抹消って滅多にない登記ですよね…)
登記義務者が提出するべき登記識別情報について、新たな発見がありました。
地役権は人のためではなく、土地のための権利ですから、要役地の所有者は登記事項となりません。
そのため、地役権設定の登記の際には登記識別情報は通知されません。
したがって、地役権の変更・更正・抹消の際に登記義務者(地役権者)が添付する登記識別情報は、
地役権者が要役地の所有権を取得したときの登記識別情報を添付することになるようです。
かなりのイレギュラーですね…。
<みさき司法書士事務所>
2015.07.27.
不動産登記【様々な担保の形式】
こんにちは。
久しぶりの更新となってしまいました
25日は天神祭の奉納花火が打ち上げられ、西天満界隈もたくさんの人で賑わっていました。
昔から大阪に住んでいたこともあり、天神祭といえば、子供の頃から楽しみだった花火大会なのですが、
近く過ぎて最近はめっきり行かなくなってしまいました。
(大阪人が通天閣に行かないのと同じ感覚ですね)
去年も結局花火は見に行かずに夏が終わってしまったので、今年は花火大会に行きたいです。
さて、最近受けた相談の中で感じたことを綴りたいと思います。
【A社にお金を貸す代わりに不動産を担保にとる】場合、どのような担保設定の形式が良いか?
①抵当権
②代物弁済予約を原因とした所有権移転仮登記(仮登記担保)
③譲渡担保を原因とした所有権移転
④質権
どれでしょう?
いずれも、担保としてのメリットとデメリットがありますので、
どの担保を設定するのが一番有益かを考えなければなりません。
以下に上記①から④の特徴を挙げたいと思います。
①抵当権
債務者又は第三者が占有を移さずして、債権者が他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることのできる担保権です。住宅ローンなどによく見られます。
メリット⇒占有は移さないので、担保に入れている間も債務者はその不動産を自由に使用収益することができる。
デメリット⇒債務不履行が発生した場合、換価は競売によることとなるため、換価に時間も費用もかかる。
②代物弁済予約を原因とした所有権移転仮登記(仮登記担保)
「債務不履行があるときは、債権者に、債務者又は第三者に属する所有権の移転をすること」を目的とした代物弁済予約契約に基づいて仮登記をなし、実際に不履行があった際には本登記を行って、債権者が所有権を取得するという担保方法です。
メリット⇒本登記をするまでの所有権はあくまで債務者又は第三者に帰属しているため、③と異なり、所有者ならではの負担がない。①と同じく、担保に入れている間も債務者はその不動産を自由に使用収益することができる。
デメリット⇒そもそも債務者が本登記に協力しない場合には、本登記ができない。この場合、所有権移転本登記を求めた訴訟を別に行う必要があります。
③譲渡担保を原因とした所有権移転
担保の目的たる権利(所有権)を設定者が債権者に移転し、債務が弁済されると設定者に復帰するが、債務不履行が生ずると、権利は確定的に債権者に帰属するという形式をとる担保方法です。
メリット⇒債務不履行が生じた場合、即座に売却して売却代金で債権に充当することができる。
デメリット⇒所有権が完全に債権者に移転するため、物件管理や固定資産税の負担をする必要が出てくる。
④質権
債権者がその債権の担保として、債務者又は第三者の不動産を占有し、かつその不動産につき他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることができる担保権です。
メリット⇒所有権は債務者のまま、占有が債権者に移転するため、債権者は不動産を使用収益することができ、かつ③と異なり所有者ならではの負担がない。
デメリット⇒債務不履行が発生した場合、換価は競売によることとなるため、換価に時間も費用もかかる。
いずれの方法をとるのが一番有益かは、状況によって異なりますので、
悩む場合は専門家にご相談ください。
<みさき司法書士事務所>
2015.04.07.
不動産登記【QRコード付き登記識別情報】
最近、法務局で発行される登記識別情報通知に、QRコードが追加されました。
従来の登記識別情報通知は、シールの下に
12文字のアルファベットと数字を組み合わせたパスワードが書かれていましたが、
今回は、そのパスワードの横にQRコードが追加されました。
とはいえ、新しく発行された登記識別情報通知を使って
すぐに登記することはないだろうとタカをくくっていましたら、なんとさっそくご依頼が…
オンラインで登記申請する際に、機械でQRコードを読み込まないといけないとばかり思い込んでおり、
いざ登記申請となった際、どうやって読み込みするの~?!
読みとる機械買わないといけないの?…と思って調べたら(調べるの遅っ!)、
QRコードを読み取ると、入力が自動になるから早いですよっていうだけで、
手打ちで入力しても全く問題ないみたいでした
短縮できた時間は約1分…。
QRコードを追加した意味あんまりないじゃないかと思ったものの、
一度に100件とか申請するような場合には便利といえば便利かもしれませんね。
うちの事務所は女性しかいないので、電子機器の設定が伴うような改正がされると
機械オンチで設定ができないのではらはらします。。。。。
<みさき司法書士事務所>
2015.01.19.
不動産登記【軽量鉄骨造の建物の住宅用家屋証明減税について】
最近、軽量鉄骨造の中古建物の売買の登記をしたのですが、
住宅用家屋証明書を取得する際、ちょっと悩んだことがあったので、調べてみました。
住宅用家屋証明とは、個人が新築または取得した住宅用家屋で、登記申請の際に登録免許税が減税される要件に当てはまる場合に、市役所で交付される減税証明書です。
これを添付すれば、建物の登録免許税の税率が、
新築保存登記なら4/1000⇒1.5/1000に。
既存建物の所有権移転登記なら20/1000⇒3/1000に。
住宅取得資金の抵当権設定が4/1000⇒1/1000に。
かなり税金が安くなります。
各市役所で交付されますが、基本的には土地家屋調査士さんや司法書士が代理で取得するため、
依頼者の方本人が取りに行くことというのはあまりないのではないかと思います。
そして、今回ふと思ったことは、中古の不動産の取得における、住宅用家屋証明書の交付要件のうち、
(交付要件の詳細は、建物の所在する地の市役所で確認してください。)
「建築日から20年以内であること。ただし、鉄筋コンクリート造等である場合は25年以内であること。」
の部分における、鉄筋コンクリート等の、等の部分です。
「等」には、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造が含まれています。
そして、今回登記した建物は、「軽量鉄骨造」でした。
一応鉄骨造だから25年なのか?と思っておりましたが、実は軽量鉄骨造はこれらに含まれず、
木造等に準じて、建築から20年以内でないといけないみたいです。
細かい点ですが、減税されるかされないかでは税金に大きな違いが出てきますので、
とても大切なことです。
<みさき司法書士事務所>
2014.11.11.
不動産登記【海外在住日本人の住所変更登記】
最近は海外で活躍される日本人が増えたため、不動産登記が大変です。
なぜかというと、海外に住所のある日本人が不動産登記の当事者となる場合には、
日本でいう印鑑証明書や住民票に代わる書類を、現地の領事館で取得してもらう必要があり、
また、国によって形式が異なるため、事前の法務局との打ち合わせが大変煩雑だからです。
最近、海外に住んでいる日本人が所有する不動産を売却するにあたり、
登記簿上の住所(海外)から、さらに引っ越ししており、現在の住所(これも海外)に変更する必要があったので、
住所の移転の沿革をつけるための在留証明書(移転の記載があるもの)を、
現地の領事館で取得してきてもらったところ、
住所の移転の日が●年●月までしか書かれていないのです…。
これはアメリカのケースですが、
アメリカでは住民票という概念がなく、住所の移転の証明は、
領事館に、その住所に届いた公的機関からの郵便物を持っていき、
その一番古い日付をもって住所を定めた日とするそうです。
あまりに適当すぎるので驚きました。
そのため、住所変更登記の申請書には、平成●年●月日不詳と記載することになります。
日本の不動産登記制度がいかに精度が高いものであっても、
その添付書類となる公的証明書があてにならない証明書だったら、
場合によっては不実の登記になる可能性もあるので、意味がないですよね。
<みさき司法書士事務所>
2014.10.06.
不動産登記【珍しい地目/堤塘の評価】
今日、珍しい地目の土地を発見しました
「堤塘(ていとう)」という地目です。
堤塘って何!?と思って、ネットで検索しましたら(便利な世の中ですねホント。)、
堤防、どて、等だそうです。
現地を見たわけではありませんが、実際にどんな土地になっているのか気になります。
固定資産評価証明書の評価は0円なので、
近傍宅地の評価の0.3を乗じたものが、その土地の評価です。
司法書士の仕事は日々新しいことの発見で、本当に楽しいです。
日々レベルアップしているんだろうなぁ
<みさき司法書士事務所>
2014.09.19.
不動産登記【根抵当権:電子記録債権の登記】
最近、銀行や信用金庫の根抵当権設定登記をする際、
根抵当権の債権の範囲に手形債権、小切手債権と並んで、
「電子記録債権」というのを見かけるようになりました。
電子記録債権とは、手形・指名債権(売掛債権など)の問題点を克服した新たな金銭債権です。
(2008年12月電子記録債権法施行)
盗難や紛失のリスク回避や、二重債権譲渡のリスクの解決方法として、
企業が保有する手形や売掛債権を電子化して、ネット上で取引できるようにしたもので、
法律の施行は6年前ですが、最近になってようやく実務での運用が増えてきたみたいです。
ネット社会ですねぇ…。
そのうち、手形や小切手なんかなくなるのかも?
<みさき司法書士事務所>
2014.09.12.
不動産登記【抵当権の抹消】
つい最近、相続登記のご依頼を受けて不動産の登記簿謄本を取得したところ、
相続人の方が誰も知らない抵当権が抹消されていないままで残っていました。
不動産を購入したときの日と同じ日付で設定されている抵当権ですので、
おそらく住宅ローンを借りたときのものだとは思うのですが、
既に返済も終わっており、返済後に金融機関から受領したはずの抹消書類も手元にないことがわかりました。
通常、住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消のための書類をもらえます。
皆様この書類を使って自分で法務局に申請しに行くか、
あるいは司法書士に依頼して抵当権を抹消されています。
この抹消の手続きをその当時していなかったのでしょう…。
既に抵当権者である保証会社は会社が閉鎖されており、
窓口となっていた金融機関は合併を繰り返して別の銀行となっておりました。
抵当権者である法人がなくなっていると、抹消するための手続きがとても大変なんです。
また、抵当権者が会社として存在していたとしても、金融機関から預かった
抵当権抹消のための書類を紛失してしまっていた場合、手続きが煩雑になってしまいます。
(一部は金融機関で再発行してもらえますが、一部は再発行ができませんので代わりの手続きが必要になります。)
住宅ローンを完済されたら、抵当権の抹消はお早めになさってください。
<みさき司法書士事務所>
2014.08.20.
不動産登記【住居表示の変更証明書】
ときどき、引っ越ししていないのに、「役所の都合で住所が変わってました」
ということがあります(住居表示の実施といいます。)。
不動産登記簿には、所有者の「住所」と「氏名」が記載されているのですが、
この役所の勝手な住所表示の変更によって、「住所」が変わってしまった場合でも、
登記簿上の住所の表記を現在の住所にするためには、
自分で変更の登記申請をする必要があります。
(登記にかかる登録免許税は非課税です。)
通常、住所変更の登記を申請する場合には、
住所に変更があった旨の証明書を添付しなければなりません。
この証明書は、変更の理由が引っ越しである場合には、
前住所からの沿革のわかる住民票を添付することになるのですが、
住居表示の場合には、住居表示があったことの証明書を添付しなければなりません。
この住居表示があったことの証明書は、
市役所の市民課で無料で発行してもらえます。
とくに申請書のひな形はありませんが(窓口まで行けば置いてあるようです。)、
私は次のような申請書を作って、役所に提出しています。
○○市役所 市民課 御中
下記の通り、住居表示があったことの証明書を1通交付願います。
記
①該当者の氏名
②旧住所
③新住所
④提出先
以上
大阪市北区西天満5丁目14番7号和光ビル8階
みさき司法書士事務所
司法書士 三輪 紗季子 ㊞
郵送の場合は返信用封筒を1通同封しておけば、返信してくれます。
代理人が申請する場合でも委任状等は必要なく、誰でも取得することができます。
詳しくは各市役所等の窓口に問い合わせれば、
親切に教えてもらえますよ。
<みさき司法書士事務所>
2014.08.15.
不動産登記【法人が事前通知を利用する場合】
事前通知というのは、登記義務者が権利証を失くした場合に、
義務者の登記簿上の住所地に、本人限定受け取り郵便にて、
「次のような登記申請がありましたが、間違っておりませんか?
間違っていなければ、実印で捺印して法務局に返送してくださいね~。」
というような通知が届く制度です。
この事前通知を省略するためには、司法書士が作成した
本人確認情報(本人確認した旨を記載して、司法書士が職印で捺印します。)を添付する必要があります。
不動産売買や、金融機関の抵当権の設定などの場合には、
義務者が事前通知に返信しないと、登記ができないというリスクを負うことになりますので、
ほぼ100%、司法書士が本人確認情報を作ることによって、事前通知を省略しています。
ただ、この本人確認情報を作成すると、どこの事務所でも高いんですよね~。
それは仕方がありません。
司法書士だって、初めてお会いする人が本人に間違いない旨を記載して、
職印で捺印するんですから、かなりのリスクを負うことになります。
もし、その人が本人でなかったら??と思うとゾッとしますね
なりすましの可能性も0ではないため、司法書士は責任が重大なのです。
権利証を失くさないでもらえたら一番良いんですけどね
みさき司法書士事務所では、依頼者のコストをできる限り下げるため、
権利証を紛失された方には、前述の通り、売買や抵当権設定でない限り、
事前通知制度の利用をお勧めしております
前置きが長くなりましたが、
義務者が法人の場合にはどこに事前通知が送付されるのか?
法人の場合は、事前に申し出ることによって
本店所在地ではなく、代表者の住所地に事前通知を送付してもらうことが可能です。
(具体的には、申請書に「代表者の住所地に送ってください」と記載しておきます。)
大きな会社の社長さんであれば、常に会社の本店に出勤しているわけではありませんので、
自宅に送付してもらえるのはありがたいですね。
<みさき司法書士事務所>
2014.07.03.
不動産登記【土地の名義が逆になっている!?】
最近、こんなことがありました。
建物を所有しているお隣さん同士の、建物の下の土地の名義が、
テレコになっている!!!!!???という事件
どうやら戦前に、地主さんから土地を譲り受けた際に、登記が間違ったようです。
当時の司法書士が誤ったのか、法務局が誤ったのか、
今となってはまったくもってわかりません
本来なら誤った登記なので、抹消した上で、再度前所有者の協力を得て
登記しなおす必要があるのですが、その間に相続登記も入っていますし、
何十年も前の地主さんなんて、見つかるわけがありません
そこで、名義を変更する方法として、他には
①真正な登記名義の回復
②時効取得
③交換
のいずれかを選択する余地がありそうです
どの方法で名義を変更することもできるのですが、
やり方次第で税金の課税が異なります。
①~③のいずれを採っても、不動産取得税は課税されるらしいのですが、
①②は贈与税、③は譲渡所得税が課税される可能性があります。
①の場合の贈与税は、状況を説明し、場合によっては課税されないこともあるらしいので、
管轄の税務署に要相談です。
③の譲渡所得税は、所得税法58条の等価交換の場合の例外を用いれば、
きわめて少ない課税で済ませることができそうです。
そこで、今のところ①か③の手法で手続きを行うことを検討しています。
これほどややこしい案件になると、土地家屋調査士さん、税理士さんとの協力して
問題解決にあたる必要があります。
弊事務所では、常に依頼者の方の利益を考えて手続きを採択し、
ご説明してご納得いただいた上で、手続きを行っております。
<みさき司法書士事務所>
2014.06.27.
不動産登記【印影の微妙な違い】
今日は不動産取引の立会いでした。
いつも通りスムーズに取引が行われていたのですが、
売主様にご捺印いただいた書類をよ~く見ると、
印鑑証明書の印影と、押していただいた印影が微妙に違っています
法務局で申請が通らないかもしれないな~と思いながら、
「すみません、印鑑をよく見せていただけませんか?」と印鑑を見てみると…。
印鑑の凹凸の隙間に、朱肉の肉が詰まってしまっていたのが原因で、
印影が微妙に違ったようです。
どうしよう…。
「印鑑こするやつ(?)誰か持ってませんか?」とその場にいた人に聞きましたが、
銀行ではなかったので、どこにもありませんでした。
ところが、ある男性が、「つまようじならあります!」と何故か財布の中からつまようじが…(笑)
衝撃的で面白かったのですが、つまようじのおかげで、詰まった肉をほじくって、
なんとか綺麗に押印をいただくことができました。
つまようじ、ありがたかったです。
印鑑は、使うたびに綺麗に朱肉を落として保管しなければ、
長い間使っていると印影が変わってしまうこともあるのですね
自分も気を付けようと思いました。
<みさき司法書士事務所>
2014.06.09.
不動産登記【財産分与による不動産の名義変更】
離婚による財産分与を原因として、不動産の名義変更をすることができます
多くの方は離婚をきっかけに、苗字が変わったり、引っ越ししたりしますので、
登記簿上の氏名住所と現在の氏名住所に相違があります。
登記申請の際に登記義務者は印鑑証明書を添付するのですが、
この印鑑証明書の住所と、登記簿上の住所が異なるようであれば、
住所(氏名)変更の登記をする必要があります。
したがって、財産分与を原因として不動産の名義変更をする場合、
住所(氏名)変更の登記と、所有権移転の登記の2件を申請することが多いです
司法書士は本人確認義務がありますので、
登記申請を行う当事者(元夫さん・元妻さん)とお会いして
書類にそれぞれご捺印をいただく必要があるのですが、
当事者全員に同席していただく必要はありません。
別々の日に、私が別々に書類にご捺印をいただきに伺います。
(だって、私が逆の立場でしたら、できるだけ顔を合わせたくないですもんね)
登記申請にあたってご用意いただきたい書類は、
■戸籍謄本(離婚により苗字が変わった方の分)
■住民票(元夫・元妻それぞれの分)
■固定資産評価証明書(又は納税通知書)
□権利を譲渡する方の印鑑証明書
★不動産の権利証
です。
■の書類はご依頼をいただければ、私の方で取得することもできます。
★は万が一紛失して見つからない場合でも、問題ありません。
できるだけご依頼者様のお手間が省けるよう、工夫して仕事をさせていただきます。
よっぽどの遠方でない限りは交通費や日当、追加費用等はいただいておりませんので、
安心してご依頼くださいませ。
費用についてはコチラ
<みさき司法書士事務所>
2014.06.05.
不動産登記【差押と抵当権、仮登記等の優劣】
最近驚くことがありました。
代物弁済予約による所有権移転請求権仮登記を申請し、登記が完了したため、
謄本を取得しようとしたところ、事件中となっていて、登記簿の閲覧ができません。
事件中…登記申請中は、当該物件(又は法人)の登記簿はロックがかかって見れないのです。
どうしたものかと思っていたところ、3日経って登記簿の閲覧ができたときに確認すると、
私の申請した直後に市からの差押の登記が入っているではないですか
(つまり、私の申請した登記が完了した直後に差押の登記申請が連続して入ったわけですね。)
まさか差押が入ると思っていなかったのですが、
私の登記申請するタイミングがあと少し遅かったら…
仮登記が差押の登記に遅れてしまうことになります。
血の気が引いてしまいますね
登記は「対抗要件」とよく言いますが、身に染みて感じる事件でした。
万が一、差押より後に所有権に関する登記が入っていた場合、
その差押による強制競売で不動産が落札されてしまうと、
差押に遅れる権利は全て消滅し、落札者がキレイな状態で所有権を取得します。
不動産を購入する場合、決済当日に登記情報を閲覧してみたら差押の登記が入ってました!
なんてことも、可能性は0%ではないのです。
申請直前の登記情報閲覧はとても大切ですね。
<みさき司法書士事務所>
2014.04.11.
不動産登記【代物弁済の登記と税金】
最近、次のような事案の登記の相談がありました
「Aさんの土地建物にAさんを債務者とする抵当権が設定されています。
抵当権の被担保債権は、実際にはAの息子であるBが返済していました。
BさんはA名義の不動産を、自分の名義にしたいけれど、どうしたらいいか?」
という相談です。
不動産の名義を変更するには、なんらかの物権変動の事由が必要です
「相続」だったり、「売買」だったり、「贈与」だったり…ですね。
AからBへの「贈与」とすると、Bに贈与税がかかってしまいます
(親子なので、相続時精算課税制度を利用する方法もありましたが、
過去に既にめいっぱい制度を利用しているので、今回は使えないとのこと。)
AからBへの「売買」とすると、実際にお金の流れがない以上は司法書士も登記ができませんし、
後から税務署に贈与と認定されてしまうとやっかいです
そこで、前述の事情があるのであれば、「代物弁済」で登記してはどうか?
という話になりました。
代物弁済というのは、「お金を借りた返済として、お金に代えて、物で返済する」という意味です。
ですから、今回であればAがBに立替金の返済として不動産で返済するということになります。
Bさんも被担保債権の返済は、贈与のつもりではなく、
立て替えて払っていたとの認識だったようですので、
代物弁済で登記して問題がなさそうです。
ところで、代物弁済で登記したときに、税務面では何か課税されるの!?と
税の専門家でない私にとっては大変不安でした
そこで調べてみましたら、なんと、今回の場合はAに譲渡所得税が課税される恐れがあるとのこと
税金のことを知らずに不動産の名義を動かすと恐ろしいことになりますね
代物弁済の登記についてはコチラ
<みさき司法書士事務所>
2014.02.28.
不動産登記【コンビニ発行の住民票・印鑑証明書】
最近は住基カードを持っていれば、
コンビニでも住民票や印鑑証明書が取得できるようになってきましたね。
今日たまたま不動産屋さんから、
「コンビニで取った住民票や印鑑証明書って登記に使えますよね?」
とご質問をいただいたのですが、答えは「YES」です
ただし、透かし処理があまいため、出された書類が原本なのかカラーコピーなのかを見分けるのが一苦労です。専用の機械にかけないとわからないです。
便利になったのはいいですが、この確認作業をきっちりと行う必要があるので、
司法書士の立場としては決して便利とは言えませんね
<みさき司法書士事務所>
2014.01.24.
不動産登記【売却許可証明書?】
破産管財人が、破産者の不動産を売却する際に、
所有権移転登記申請書には「裁判所の許可書」を添付する必要があります。
ところが、破産管財人の先生からお預かりしたものは「許可証明書」…。
「許可します!」というものではなく、「許可があったことを証明します。」というもの。
許可書とは別に発行される書類です。
今までに2回、破産管財人からの売却の登記を行ったことがありますが、
許可証明書というものを初めて見ましたので、大丈夫だろうと思いつつも、
念のため申請予定の法務局に確認したところ、
「そんなん見たことない!特別な理由がないのなら許可書を添付してください!」と、
登記官がちょっと怒り気味…
先生に確認したところ、『大阪地方裁判所・大阪弁護士会発行の
「破産管財手続のの運用と書式」の本に記載されているひな形ですし、
これでここ10年くらいやってますので、恐らくその登記官がご存知ないだけかと…
許可書には売買価格や決定の理由なども載りますし、
債権者に公開したくないという場合もありますので…。』と言われました。
そうなんだ…と思い、登記官にそのまま伝えてもまだ納得いただけない様子で、
「ここ1年以内に当庁で申請した事件があれば、それを確認しますので教えてください。」と…。
(まだいうか!?笑)
結局登記官と格闘の末、決定証明書で登記ができますということになりました。
登記に裁判所が絡む場合は、事務の連携が取れていないため、本当にややこしいです。
<みさき司法書士事務所>
2013.12.17.
不動産登記【相続放棄と相続登記】
相続の登記をする際に、相続人の中に相続放棄をしている者がいる場合は、
「相続放棄申述受理証明書」を添付する必要があります。
この証明書なのですが、
相続放棄の申述が受理された際に家庭裁判所から発行される
「相続放棄申述受理通知書」なる書面と勘違いされている方が多いです。
通知書はあくまで裁判所からの「終わりましたよ~」というお知らせのようなものであって、
「証明書」ではありません。
「相続放棄申述受理証明書」は、別途、事件を扱った家庭裁判所に
証明申請書(150円の収入印紙が必要)を提出して、発行してもらう必要があります。
証明書は登記の申請以外にも、例えば被相続人の債権者がいる場合に、
「証明書を出してくれ!」と言われる場合もあります。
余談ですが、私の事務所では、相続放棄の依頼を受けた際は、通知書をもらって終わりではなく、
一応「証明書」も取得した上で、依頼者の方にお渡しするようにしております。。。
そして、この証明書は利害関係を証明して、利害関係人からも取得できますので、
相続放棄した本人からの協力が得られない場合でも、差し支えありません。
自分で取得できないという方は遠慮なくご相談くださいね
<みさき司法書士事務所>
2013.12.13.
不動産登記【判決の確定証明書・執行文の要否】
最近、遺産分割審判書に基づいた相続登記を行いました
遺産分割調停の場合は通常の「遺産分割」なので異議申立期間もなく、確定証明書が不要ですが、
審判の場合は2週間の異議申立期間があるため、
相続登記を申請する際に、「審判が確定しましたよ」という証明書の添付が必要になります。
ここで、自分の備忘録のため、判決等の確定証明書や執行文の要否について書き留めておこうと思います。
<確定証明書や執行文の要否>
□確定判決正本 ⇒ 確定証明書&執行文
□仮執行宣言付判決正本 ⇒ 執行文
□調停調書正本 ⇒ 特に不要。
□審判書正本 ⇒ 確定証明書
<みさき司法書士事務所>
2013.11.08.
不動産登記【弁護士からの復代理委任状の有効性】
よく、弁護士さんから、
「弁護士宛の登記委任状を依頼者からもらって、
弁護士から司法書士宛の復代理委任状を添付すれば、
法務局は申請を受け付けてくれますか?」
と質問されることがあります。
「はい。できます」
少なくとも大阪の法務局においては過去に取り扱ってもらえました。
弁護士さんも登記の代理権はありますからね。
商業登記についてはやったことがありませんが、不動産登記ができるなら、
商業登記も可能だと思います。
とはいえ、
法務局により、見解が異なる場合もありますので、事前にご確認いただいた方が賢明です。
<みさき司法書士事務所>
2013.10.01.
不動産登記【不動産取引緊急時の対応】
司法書士は不動産取引に立ち会うことが多いのですが、
取引当日のトラブルは結構たくさん起こります
「権利証を失くした。」「印鑑証明書を取ってもらったら、引っ越しして住所が変わっていた。」
なんてことはよくあることです。
先日、「引っ越しのバタバタで実印を失くした。」というのがありました
「見つからないのであれば、どんな認印でもいいので、実印登録しなおして、印鑑証明書を取り直してきてください。」
と指示したものの、「認印…1つもないんです。。。。。」と言われました。
しかし、珍しい苗字のため、100均で入手することは不可能。困った
調べまくったところ、ドン○ホーテにて、自動販売機のような印鑑を作る機械があることが判明。
これなら、文字と字体を選んでどんな印鑑でもその場で作ってくれるとのこと
無事、認印を入手し、印鑑登録を終え、印鑑証明書を取得してもらって、取引を流さずに済みました。
大変勉強になりました
今後は同様のトラブルが発生した場合でも焦ることなく対応することができそうです
トラブルがないに越したことはないんですけどね
<みさき司法書士事務所>
2013.09.10.
不動産登記【不在住証明とは?】
ときどき法務局から、「不在住証明書」を出してください!と言われることがあります。
不在住証明とは、
市役所が、ある住所にある人物が住んでいないことを証明するものです。
市役所のHPで戸籍や住民票と並べて、請求書のひな形をUPしてくれている市もありますが、
多くの場合は居酒屋の裏メニュー的な感じで言わないと出てきません(笑)
が、請求すれば市役所は出してくれます。
どうしてそんなものが必要かと言いますと、
不動産登記は大変厳格で、住所と氏名とを照合して、
登記簿上の人物と今回申請している人(相続登記であれば被相続人)が同一人物であることに間違いないと
登記官が書面審査で確認できなければ、申請を通してもらえません。
例えば、
登記簿上、所有者が
大阪市北区西天満5丁目14番7号和光ビルA階 甲山太郎
と登記されているところ、甲山太郎さんが大阪市北区西天満5丁目14番7号和光ビルB階に引っ越しして、
住民票上の住所が移転している場合、登記簿上の住所と現在の住所に沿革をつけるために、
戸籍の附票などを添付する必要があります。
ところが、保管期限の経過等で戸籍の附票をとっても、過去の住所まで遡ることができなかった場合、
登記簿上の人物と、今回登記を申請しようとしている人物(被相続人)が同一人物であるかどうか証明できません。
そこで、せめて、登記簿上の人物が実在しないという証明書を市役所でもらってきて、
消極的に証明をしようとするのです。
固定資産の課税明細書が今でも自宅に届いてるんだから、同一人物に決まってるやん!
なんていう言い分が通用しないのが法務局なんですよ。
<みさき司法書士事務所>
2013.08.26.
不動産登記【権利証を紛失した場合】
権利証を紛失した場合、どうなるか?とよくご質問を受けることがあります。
前にも書きましたが、もう一度書きます!
権利証を紛失すると、不動産を売却したり贈与できなくなるのでは?
と思っていらっしゃる方が多いのですが、そんなことはありません
以下のいずれかのパターンで売却・贈与が可能です。
①事前通知制度を利用する。
②司法書士作成の本人確認情報を添付する。
(本人確認情報は司法書士がその職権において作成することのできる書類で、
司法書士以外は作成できません。)
*詳しくはコチラ
事前通知制度のデメリットとして、所有権移転の登記の申請をした後に、
登記義務者の元へ法務局から通知がいきますので、
義務者が通知を受け取って、法務局に返送してくれなければ、登記が完了しないのです。
つまり、最悪の場合、売買代金を持ち逃げされる可能性だってあるのです。
この点、司法書士が作成した②の本人確認情報を添付することで、
事前通知制度を省略して権利の移転の登記を行うことができますので、
事前通知制度の利用が権利の確実な移転には安心です
というわけで、権利証を紛失しても、登記はできますので心配は要りません。
一番気を付けなければならないのは、
無くした権利証を誰かが手に入れ、勝手に不動産に担保を付けてお金を借りたり、
不動産を売却したりすることです。
実際には銀行も司法書士もきちんと本人確認はしているので、
他人が権利証をもって来てもまず手続きは行いませんが、万が一ということもあります。
紛失された際には、管轄の法務局に届け出ておくことも可能ですので、
犯罪に巻き込まれることのないよう、ご注意ください。
事前通知制度に関連するみさきブログはコチラ
<みさき司法書士事務所>
2013.07.05.
不動産登記【遺産分割調停での登記】
遺産分割調停で不動産を遺産分割する場合に、権利を取得する者が単独で登記申請をするためには、
調停調書にどのように記載すればよいのでしょうか。
次の2つの場合があります。
①不動産の名義は被相続人の名義のまま(相続の登記未了)
例:「Aは甲不動産を相続する。」など
*書籍等には「取得する」という文言で書かれていることが多いようですが、
法務局からは「相続する」の方がBetterと言われました。
まぁ別に登記できればどっちでも良いのですが
普通の遺産分割協議書と同じような感じです。
②不動産の名義が被相続人名義から共同相続人の法定相続分に応じた名義に変更されている(共同相続登記既済)
例:「1.Aは甲不動産を相続する。2.相手方B及びCは,それぞれ申立人Aに対し,甲不動産の持分各●分の1につき、本日付遺産分割を原因とする持分全部移転登記手続きをする。」
*不動産登記法第63条1項で定める給付判決に準ずるものでなければなりません。
ちなみに、実際の遺産分割調停では、上記例でいうところの甲不動産をAが取得する代わりに、
他の共同相続人に金員を支払っている場合があります(代償分割と言います。)。
このような場合に、調書の文言として「引き換えに…支払う」と入れてしまうと、
反対給付の履行を証明しないと単独申請できなくなってしまうため、「代償として…支払う」とする必要があるようです。
ややこしい。
<みさき司法書士事務所>
2013.06.27.
不動産登記【オンライン申請】
専門学校の授業も後半にさしかかり、
そろそろ前期試験の試験問題を作らないといけない時期がやってまいりました。
本業の合間に問題作り…つらい
今日は贈与の登記の権利者さん、義務者さんに事務所にお越しいただき、
贈与契約を交わした後に、登記書類にご捺印をいただいて、
その場でオンライン申請を入れました。
オンライン申請、遠くの法務局の場合は、申請書を持っていかなくて済むのでとっても便利
夕方の取引だったので、17時までに申請を入れようと思い、
徒歩5分の法務局の管轄物権でしたが今日に限ってオンラインで申請しました。
オンライン申請便利なんですけど、PDFで添付した登記原因証明情報に補正ができないため、
ちょっとでも書類に誤りがあると取下げになります。
なので、絶対に誤りがあってはいけない登記(いや、基本全部誤りがあってはいけないんですけど)、
主に不動産の売買、抵当権設定などは99%書面申請です。
また、金融機関の抵当権を設定する際に「受領書ください」とよく言われるんですが、
法務局の登記官の捺印のある受領書はでてこないので(オンラインの申請受付書は出ます。)、
金融機関からの融資がある取引の場合には使えないことが多いんです。
これもオンライン申請を使わない理由のひとつです。
うちはものすごく遠方の物件の取引の場合や、相続登記、贈与登記、商業登記の場合に
オンライン申請を使うことが多いですかね~。恐らくどこの事務所でもそうだと思いますが
オンライン申請、全然根付かない制度ですよね。
<みさき司法書士事務所>
2013.06.12.
不動産登記【合筆後の根抵当権抹消時の登記識別情報】
おそらく同業者にしかわからない内容になっているので、難しいと思った方、申し訳ありません。
最近、こんな事例がありました。
1.ABCDEの土地を業者さんが購入し、全ての土地に根抵当権を設定しました。
2.ABDEの土地をCに合筆しました。
3.合筆後のCの土地をXYZに一部ずつ分筆しました。
4.残ったCを公衆用道路として利用するため、
Cの土地の上についた根抵当権だけを抹消することになりました。
さて、登記識別情報はどれを使えばよいでしょう???
普通に考えたら、合筆しているので、ABCDEの全ての登記識別情報を添付する必要が
ありそうな感じもするんですが、調べてみたらこんなQ&Aを発見しました。
【合筆前の土地に(根)抵当権設定等の登記がされている場合、合筆登記の後、
当該(根)抵当権権者が登記義務者として登記申請をする場合に、
合筆登記後に存続する土地に関して提供する登記識別情報】
(平成19年月版日司連Q&A、愛知速報454号)
Q:上記において、合筆前の土地に(根)抵当権設定等の登記がされている場合、合筆登記の後、当該(根)抵当権者が登記義務者として登記申請をする際には、合筆登記後に存続する土地に関する当該(根)抵当権の登記識別情報を提供すればよいと考えるがどうか。
A:意見の通り。
コメント:(根)抵当権等の登記がされている土地の合筆登記は、合筆前の土地に設定された(根)抵当権等の受付番号が同一の場合には、合筆登記後に存続する土地に関する当該(根)抵当権の登記識別情報が提供されれば本人確認が十分であると考えられる。また、設定登記がされた際に登記済証が交付されている場合は、当該合筆にかかる土地全てについて1通の登記済証のみ存在するので、合筆後に提供するものも同じ登記済証である。
てなわけで、今回はCの登記識別情報のみを添付して抹消登記申請を行いました。
金融機関から預かる際には、念のためすべての土地の登記識別情報を預かるのが良いと思いますが
法務局によっては全部必要って言われる可能性もあるので。
あ~登記ってホント、職人芸ですよね。
<みさき司法書士事務所>
2013.05.27.
不動産登記【本人限定受取郵便を利用した本人確認】
最近、本人限定受取郵便を利用した本人確認を行いました。
多くの場合はどんなに遠くても面談にて本人確認を行っているのですが、
今回は一度以前にもご家族と取引があったという経緯もあり、
本人限定受取郵便を利用して行うことにしました。
本人限定受取郵便を利用するのは初めてだったので、
どんなもんかと郵便局のHPで調べたんですが、
どうやら3種類あるようですね
中でも、「特定事項伝達型」と呼ばれる形式が一番厳重で、
『「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に規定する本人確認レベル』
だそうですので、ぜひともこれを利用したかったんですが、
郵便局に聞いてみたら、窓口担当者もよくわかっておらず、
なんとか上の人につないでもらって聞いた事実は、
「超大手の金融機関しか利用してませんよ。
事前登録制で、御社でバーコードの作成も行ってもらう必要があります。」とのこと。
バーコードの作成?それは無理です
というわけで、「特例型」と呼ばれる、次に厳しいレベルの本人限定受取郵便で発送しました。
でも、司法書士の行う本人確認だって、
『「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に規定する本人確認レベル』の本人確認が
求められている以上、「特定事項伝達型」でやるべきなのではないかと思います。
もう少し利用者側に利用しやすくしてくれればいいのにな。
<みさき司法書士事務所>
2013.04.30.
不動産登記【登記名義人の本店の住所変更】
登記名義人の住所又は本店に異動があった場合、所有権移転の登記の前提として、
同時又は事前に所有権登記名義人住所変更の登記を申請する必要があります。
法人の本店が移転している場合には、登記原因は「●年●月●日本店移転」と記載するのですが…、
今日不動産取引で売主側の司法書士が作ってきた書類を見ると、
「本店移転」ではなく、「本店変更」となっているではないですか。。。。
間違ってる??と思い、恐る恐る売主側代理人の司法書士さんに聞いてみると、
「なんか最近法務局の記載方法が変わったみたいなんです。ほら。」と言って、
法務省が一般向けにHPで公表している記載例を見せてくださいました。
そこには「本店変更」との記載が…あれれ?いつの間に変わったの!?
事務所に帰って調べてみると、う~ん確かに。(コチラを参照ください。)
多少の表記の違いでしたら、登記申請自体に問題はないと思うのですが、
自分の知らないところで記載例が変わっていたことに驚きました。
自分にとっては当たり前の簡単な登記でも、確認行為は大切ですね
<みさき司法書士事務所>
2013.04.23.
不動産登記【任意売却物件の取引】
任意売却(借金返済のため、やむを得ず売却すること)物件の取引の際に気を付けないといけないことは、
債権者からの「差押え」の有無です。
差押の入っている不動産をそのまま売却するわけにはいかないので、
取引当日までに差押を取り下げてもらうように債権者と話をつけておく必要があります。
(これは不動産屋さんが行ってくれます。)
債権者は、決済当日に売買代金の中から一部の返済を受けたのを確認した後に、
差押の抹消書類を司法書士に渡してくれます。
そこで、司法書士が同日中に登記申請と、差押の抹消に走ることになります
ここで、注意です。
差押債権者が抵当権者やその他の一般債権者であれば、裁判所からの登記嘱託になりますので、
債権者の持ってきた「取下書」を、不動産強制執行事件が継続している裁判所に持って行って、
裁判所から登記嘱託をしてもらうという流れになります。
ところが、差押債権者が官公庁(税金の滞納による差押等)である場合には、
裁判所からの嘱託によらず、直接法務局に「抹消登記申請書」を提出することになります。
ですから、司法書士はその他の登記申請書と合わせて、
債権者から受領した抹消申請書を法務局の窓口に提出すればよいのです。
差押ひとつとってみても、どこに取下の窓口があるのかがとてもややこしいです。
抹消書類の確認と、事前の打ち合わせを入念に行う必要があるため、
差押の入った不動産の売却は神経を使います。
<みさき司法書士事務所>
2013.04.09.
不動産登記【保証書?】
昨日のブログの続きで、広島法務局(福山支局)びっくり話です。
不動産の名義を贈与や売買などで変更する際に、現在の登記名義人の住所が登記簿上の住所から異動している場合には、
その前提として、住所変更の登記が必要です。
その申請を行うときには、戸籍の附票を添付するなどして、
登記簿上の住所から現在の住所までの沿革をつけるようにしています。
ところが、ときどき登記簿上の住所が古すぎて、戸籍の附票を取っても、原戸籍の附票を取っても、
登記簿上の住所までたどり着かない場合があります。
こんなとき通常は、申請者本人に「登記簿上の人物と申請者が同一人物である旨の上申書」に
ご署名ご捺印(実印で)いただき、印鑑証明書をつけて申請しているのですが、
なんと広島法務局福山支局では、「司法書士が保証書書いて添付してくれても大丈夫です」とのこと。
え、そんなんでいいんですか?と驚きました
本当に、法務局は地域によって取り扱いがいろいろ違いますね
<みさき司法書士事務所>
2013.04.08.
不動産登記【公衆用道路の登録免許税】
不動産登記の際の登録免許税の算定には、その土地や建物の固定資産評価額を基準とします。
ところが、地目が公衆用道路となっている土地は、固定資産評価証明書を取得しても「非課税」と書かれており、
固定資産評価額がわかりません。
このような場合には、「近傍宅地」の評価を基準として登録免許税を算出します。
しかし、「近傍宅地」はどの土地か??について、自分ではわからないので、
法務局か市役所に近傍地を指定してもらう必要があるのですが
(その上で、その指定された土地の評価証明書を取得する)、
このやりとりが、地域によって慣習があってさまざまに異なるんですよね…
大阪市では法務局で近傍地を指定してもらって、
市税事務所で(所有者が他人である場合には事情を説明して)その近傍地の評価証明書を取得します。
ところが、中には市役所で近傍地の評価を評価証明書の中に記載してくれるところもあります。
だいたいこの2パターンかなと思っておりましたら、
最近3パターン目に遭遇しました。
なんと広島の法務局の管轄の地域でしたら、
法務局に近傍地の指定の申請を行い(ちゃんと申請書のひな形も用意されています。)、
さらに法務局がその近傍地の評価を(無料で)書面で回答してくれるんです。
あ~びっくり!(広島の司法書士さんだったらこれが当たり前なのかもしれませんが。)
他にも広島びっくり慣習はあるんですけど…それは次回。
なんでも確認してみないといけませんね~。
<みさき司法書士事務所>
2013.03.29.
不動産登記【契印は必要か?】
法務局に上申書や委任状など提出する場合に、それが二葉(2枚)以上にわたる場合は、
紙と紙の間に契印が必要なんです。
ちなみに、裁判所提出書類(訴状や準備書面、申立書関係)については、2枚以上になっても、
通しのページ番号さえふってあれば、別に契印は必要ありません。
市役所に提出する委任状なんかも契印は必要ありません。
でも、法務局は絶対に必要なんです!!!
依頼者の方と郵送でやりとりすると、ときどき契印を忘れられる方がいらっしゃいます。
契印…皆様どうぞ契印をよろしくお願いいたします!!
契印
割印 *契約書を交わす際によく用います。
<みさき司法書士事務所>
2013.03.22.
不動産登記【真正な登記名義の回復】
最近、知り合いの社長様から、
「税理士から聞いたんだけど、真正な登記名義の回復って登記ってできるの?」という質問を受けました。
どうやら、A→Bに便宜上売買で移転していて、現在Bにある登記を、Aに戻したい…とのこと
真正な登記名義の回復、確かにあります。
が、とても判断の難しい登記です。
そもそも、真正な登記名義の回復というのは、どういう場合に使うのでしょうか?
「A名義の土地を、C名義に登記するはずだったのに、誤ってB名義で登記してしまった。
その後、Dがその土地に抵当権を設定した。」という場合において、
事実関係に沿った正しい登記をしようと思えば、
まずBへの所有権移転登記を錯誤抹消して、再度A→Cに移転する必要があります。
しかし、Bへの所有権移転登記を抹消するには、Dが登記上の利害関係人となりますので
(Dの抵当権も職権で抹消されるからです。)、Dの承諾書が必要となります。
Dの承諾書が得られないような場合には、抵当権を付けたままB→Cへ移転するしかありません。
そして、所有権が移転するにはB→Cへ何らかの物権変動の理由が必要です。
というわけで、こんなときのためになんとか無理やり物権変動の理由として作ったのが
「真正な登記名義の回復」と呼ばれる登記です。
そもそも司法書士は登記申請を物権変動に基づいて行いますので、
(意思・モノ・人の確認はきっちりと行います。)
司法書士が登記に関与している場合において、
誤った登記(誤ってBへ移転するなど)が起こることはない…はずなんですけどね。
<みさき司法書士事務所>
2013.03.05.
不動産登記【平成25年3月以降の登録免許税の減税措置について】
不動産登記を行う際には、「登録免許税」と呼ばれる税金がかかります。
(ちなみに依頼者の方で、登記費用の見積りを見て、「高いな~」とおっしゃられる方が
結構いらっしゃいますが、司法書士費用が高いのではなくて、税金が高いんですよ~)
それはさておき、
登録免許税には一定の場合に減税措置があって、
土地の売買による所有権移転の場合だと通常20/1000の税率が15/1000になったり、
居住用建物の売買による所有権移転の場合だと通常20/1000の税率が3/1000になったりと、
とても減税率が高かったのですが、いずれも減税措置が平成25年3月31日までとなっています。
そのため、4月以降はどうなっちゃうの????と思っていたのですが、
平成25年度税制改正大綱を確認したところ、
「土地
適用期限を2年延長する旨が
税制改正大綱はコチラ
税制改正大綱とは、与党が税制調査会を中心に翌年度以降にどのよ
大綱に従って
日本の国会では与党が過半数を占めているので、
ほぼ法案は通るものと思ってよい
つまり、延長される…?
このようにして国会に提出される前の議案が毎年公開されていることを知らなかったのですが、
今回調べてみて大変勉強になりました。
税金についてはいきなり変わることも多いので、毎年税制改正大綱をチェックすることは重要ですね。
<みさき司法書士事務所>
2013.02.18.
不動産登記【抵当権抹消及び信託登記の抹消】
以前、抵当権の抹消を依頼された際に、珍しいものを発見しました。
その抵当権とは…
A社が債権者である抵当権が、信託されて、B社に移転しているという抵当権だったのです。
抵当権が信託で別会社に移転しているなんて、近畿圏内では大変珍しいケースだと思うのですが、
金融機関に問い合わせてみたところ、「関東ではよくあることですよ~」と言われてしまいました。
本当かな。。。?関東にお住いの司法書士さんに聞く機会があれば、ぜひ聞いてみたいです
何はともあれ抵当権を抹消しなければなりません。
全額弁済による抹消でしたので、手続きはほぼ通常の抵当権抹消登記と同じなのですが、
登記の目的としては「抵当権抹消及び信託登記の抹消」とし、
原因欄には「抵当権抹消 年月日弁済(解除) / 信託登記抹消 信託終了」と記載します。
そして、登記の申請人となるのは、A社ではなくB社です。
もちろん委任状もB社からもらいます。
このあたりが少し違う部分でしたが、簡単にできました。
登記って、奥深いものなんです。
毎回初めて見るケースや難しいケースに出会うたびに、なんだかわくわくしちゃいます。
職業病でしょうか気持ち悪いですね
経験値を積んで、どんどんレベルアップしていきたいです
<みさき司法書士事務所>
2013.01.25.
不動産登記【耕作権と底地を交換するメリット】
耕作権と底地の所有権の等価での交換、最近よく聞く話題なので続けて書きます
相談者の多くの場合は、地主さんから「交換しないか?」と相談を持ちかけられているみたいです。
一見、耕作権と交換に所有権をもらうなんて、地主さんからしたら損なのでは?と思ってしまいます。
耕作権と交換して、少しでも土地を減らしてしまいたい理由(交換したいメリット)はどこにあるのでしょうか。
そもそも、小作農地の地主さんには大きなデメリットがあります。
デメリット①相続が発生した場合の相続税の負担が大きい。
デメリット②普段は農業をしていないため、農業相続人が農地を相続した場合の納税猶予の特例が適用されない。
デメリット③農地の存在する場所によっては、地代より固定資産税の負担額が大きい。
デメリット④宅地等に転用して売却したくても、農地法の許可が下りず、なかなか一般の人には売れない。
パッと挙げてみても④つはあります。(他にもあったら教えてください。)
そのため、先祖代々の農地を持っていても、持て余しているケースが割と多いんです。
へたしたら、相続税破産とかになりかねませんから
ですから、地主さんが少しでも農地を手放したいというのはよくわかります。
メリットは、自ら使っていない、また、譲渡の自由もない農地に課税されずにすむというところでしょうか。
では、耕作権者が耕作権と所有権を交換してもらうことでどのようなメリットがあるでしょう?
耕作権者にはもともと次のようなデメリットがあります。
デメリット①耕作権も相続税の課税対象となる。
デメリット②転用や譲渡が自由にできない。
デメリット③相続税の納税猶予の特例は適用があるが、ずっと土地を耕作できる権利が存続する保証がない。
(特例を受けるには、後継者が20年間農業を継続しなければなりません。)
耕作権者だって、どうせ課税されるんだったら、
せめて将来存続が確実な物権である所有権に課税されたいですよね?
というわけで、両者の利害が一致することになるのです。
この交換についてはなかなか知っている司法書士自体が少なく、司法書士の業務分野としては、
今後、業界として知識の蓄えが必要な分野であると、私は感じています。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.24.
不動産登記【事前通知】
所有権を譲渡する際には、登記の申請時に不動産の権利証が必要です。
しかし、不動産の権利証を紛失した場合に、所有権移転登記の際に権利証に代えて、
「司法書士作成の本人確認情報」又は「事前通知制度の利用」を使えば、名義変更ができます。
というお話を、以前のブログで書きました。
つい先日、権利証を紛失された方の登記の申請を、事前通知制度を利用して行いました
(実は、事前通知制度を利用するのは初めてでした)
事前通知は、所有権移転登記の申請が入ると、
法務局から登記義務者宛に、本人限定受取郵便で郵送されます。
登記義務者は、受け取った後、署名及び実印で書類に捺印し、2週間以内に法務局へ返送する必要があります。
(2週間以内に法務局に届かなければ登記申請は却下になります。)
ところが、所有権移転登記の申請から数日後、登記義務者の方から、
「これ、届いたんだけど、どこに送ったらいいの??」と連絡がありました
そのまま管轄の法務局に返送していただきたかったのですが、
万が一間違った法務局に返送してしまうと大変なことになりますので、
「法務局から返送用封筒ついてないのか!?」と内心ツッコミながら、
管轄の法務局宛の返送用封筒を登記義務者の方に宛てて、速達で郵送させていただきました。
事前通知の手続きをとる時は、法務局に登録免許税以外の手数料支払ってでもいいから、
登記義務者にもっと手厚く対応してもらえたら(具体的には、返送用封筒つけておいて欲しかった。)
良いのにな~っていうのが、私の所見です
2013.01.18.
不動産登記【耕作権と底地権を交換した場合の譲渡所得税】
前回ちらっと書いたブログが思いのほか好評だったので、今回もちらっと書いてみます。
耕作権と底地権の交換した場合の税金について
耕作権とは、そこの土地を耕作する権利(賃借権、永小作権、使用貸借など)のことでしたが、いわゆる底地権とは所有権のことを指しています。
通常、固定資産(耕作権も含まれます。)の交換を行う場合には、譲渡所得税の課税対象となりますが、
所得税法第58条では、
・お互いにその固定資産を1年以上有していること
・譲渡後も譲渡前と同一の用途に供すること
・交換する固定資産の差額が、これらの価額のうちの評価が高い方の2割を超えないこと
を条件に、譲渡がなかったものとみなすと定めています。
ただし、要注意なのは、この特例の適用を受けるためには、
確定申告をきちんと行い、確定申告書にその旨を記載する必要があります。
ですから、通常は等価での交換を行って、非課税となるように、うまいこと土地の一部分を分筆します
そして、農地法3条の許可を受けた上で、所有権移転の登記を行います。
(耕作権の評価割合は、国税庁の路線価図でお確かめください。)
なお、交換特例の対象となる耕作権は、農業委員会に届け出ている耕作権に限ります
(届けずに耕作をしていることをヤミ小作と呼び、この交換特例の対象になりません。)
弊事務所では、主に契約書(登記原因証明情報)の作成及び所有権移転登記申請を行いますが、譲渡所得税の事前調査、土地の分筆、農地法の許可取得は、それぞれ提携先の税理士、土地家屋調査士、行政書士と連携して業務を行っておりますので、安心してお尋ねください。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.15.
不動産登記【権利証を紛失した場合】
不動産の権利証はありますか?
権利証は、不動産の名義の変更時に必要となります。
どこのご家庭でも、大切に仏壇や金庫、貸金庫などに保管してあったりすると思います。
では、権利証を紛失してしまった場合は名義の変更ができないかというと、そうではありません。
権利証の提出に代わる方法が2つあります。
(なお、相続による名義変更の場合には権利証の提出は義務付けられておりません。)
1つ目は、事前通知制度の利用です。
権利証は、登記義務者が所有権を他人に移転するにあたり、その本人確認及び意思確認等の趣旨で添付が義務付けられています。紛失している場合には、法務局から登記簿上の住所地に宛てて、「こんな登記が申請されていますが、間違いないですか?」という旨の「事前通知」が本人限定受取郵便でなされます。
この通知を受け取ったら、義務者は2週間以内に署名捺印して法務局に返送します。
これで、権利証に代えることができます。
ただし、不動産売買などで、所有権の移転と代金の支払いが同時履行である必要がある場合には、この方法は避けるべきです。
なぜかといいますと、権利者が売買代金を支払ったのにも関わらず、義務者が登記に協力しなかった場合、トラブルになるからです。
同様の趣旨で、離婚の財産分与で不動産の名義を変更する場合にも、避けるべきかもしれません。。。。
2つ目は、司法書士の作成する本人確認情報の提出です。
司法書士が直接義務者本人に会い、面談をした上で作成する、本人確認情報と呼ばれる書類を法務局に提出することで、権利証に代えることができる制度です。
司法書士に与えられたこの権限は、登記の専門家としての信用があるからこそです。
司法書士の信用失墜となるようなことはしてはいけませんね。
誠実な仕事を心掛けます
ということで、権利証を紛失した場合でも、名義の変更は可能ですので、紛失したかもしれないと思っている方も、ご安心ください。
紛失した権利証を悪用されることが怖いという場合には、管轄の法務局に、権利証を紛失した旨を届け出ておくこともできます。ご不安な方は該当不動産の所在地を管轄する法務局まで相談してみてはいかがでしょうか?
<みさき司法書士事務所>
2013.01.10.
不動産登記【中間省略登記】
中間省略登記について、よく質問されることがあります。
中間省略登記というのは、売買によってA→B→Cと所有権が移転している場合に、
通常であれば登記はA→B→Cの順番で行う必要があるところ、
Bへの所有権移転登記を省略して、A→Cに直接所有権を移転する登記のことです。
間の登録免許税や司法書士費用が節約できるため、
中間省略登記をしたいという需要があるのです。
<実務上可能かどうかについて>
契約書さえしっかり作っていただければ可能です。
登記するには、無理やりな法律関係を築く必要があります
民法上は契約自由の原則ですので、無理やりに契約を結んでしまうのです。
なので、私は中間省略登記というより、無理やりに法律関係を発生させて、
中間省略「的」な登記をしているんだと認識しております。
司法書士は契約書に基づいて、申請書等を作成するため、
契約書がしっかりしていなければ、虚偽の申請を行うことはできないので、通常はお断りすることになります。
では、どういう契約書を作っていただきたいのかといいますと、
AB間、BC間の売買契約書の特約条項として、以下のような文言を入れていただきたいのです。
【AB間の売買契約書の特約条項】
(所有権の移転先及び移転時期)
買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む。)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定する者に対し買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として直接移転することとする。
(所有権留保)
売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先と指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとする。
(受益の意思表示の受領委託)
売主は、移転先に指定された者が本来売主に対して行うべき「所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与える。
(買主の移転債務の履行の引き受け)
買主以外の者に本物件の所有権を移転させるときは、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するために、その者に所有権を直接移転するものとする。
【BC間の売買契約書の特約条項】
(所有権移転の時期)
本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに、本物件の登記名義人から買主に直接移転する。
(第三者の弁済)
本物件は、未だ登記名義人が所有しているため、本物件の所有権を移転する売主の義務については、売主が売買代金全額を受領したときに、その履行を引き受けた本物件の登記名義人である所有者が、買主にその所有権を直接移転する方法で履行することとする。
詳しくは弊事務所までお問い合わせください。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.09.
不動産登記【耕作権(小作権)と農地の交換】
司法書士試験は、他の資格試験と比べて一番実務に近い試験と言われています。
特に不動産登記、商業登記に関しては受験勉強≒ほぼ実務の勉強ということになります。
ふと思い出したので書きますが、
私がまだ新人だった頃に受けた不動産登記の相談のうち、
教科書には載っていなかった!しかも年配の司法書士たちに聞いても誰も知らなかったレアケースの相談がありました。
それが、「耕作権(小作権)と農地の交換による所有権移転登記」です
耕作権というのは、昔でいうところの小作権、つまり、地主さんから農地や畑を借りて、
そこの土地を耕作することができる権利のことをいいます。
(民法の物権に永小作権というのがありますが、ここでは特に永小作権を指していません。
地主さんサイドの都合を考えると、賃貸借契約を結んでいることが多いと思われます。)
農業委員会に届け出ている耕作権には、権利としての評価があります。
(場所にもよりますが、関西ではだいたい所有権の評価額の40~50%程度です。
詳しく知りたい方は国税庁の路線価図・評価倍率表をご覧ください。)
耕作権と地主さんの所有権とを対当額相当で交換し、
小作人にそこの所有権を与えるというのがこの交換の趣旨です。
農地の移転になりますので、農地法の許可を要するということも忘れてはいけません。
不動産の所有権移転の登記申請には必ず所有権移転の「原因」が必要です。
この場合には「★年★月★日交換」という登記原因を申請書に記載することになります。
都会で仕事をしているとなかなか遭遇することのない相談なのですが、
最近は土地を手放す地主さんも増えていると聞きますし、
ちょっと郊外に行けば、よくある話なのかもしれませんね
<みさき司法書士事務所>