ブログ
2015.07.29.
商業登記【旧姓(婚姻前の氏)の登記】
今年から商業登記法が改正となり、取締役等の会社役員の氏名を登記する際に申し出れば、
旧姓も添えて登記できるようになりました(登記するかしないかは選択できます。)。
とはいえ、旧姓を登記することのメリットってなんなんだろう…。と考えておりましたが、
例えば婚姻後も旧姓を名乗って仕事をする場合なんかには
登記されている人物と同一人物であることがわかるので、
それがひとつのメリットだと思う一方、新しい姓で仕事をしている場合には
わざわざ旧姓をさらすことはプライバシーに関わることですので、敢えて登記する必要はないのかもしれません。
まぁ滅多にないだろうと考えていたところ、最近知り合いの女性社長がご結婚され、
「旧姓も登記してほしい」とのご依頼をいただきました
本を見ても、オンラインで登記申請を行う場合の記載方法は詳細には載っておらず、
法務局に確認して申請を行った結果、次のようになりました。
【登記の事由】
○○(←役職名)の氏変更
【登記するべき事項欄】
「役員に関する事項」
「資格」○○
「住所」○○
「氏名」○○(←新しい氏名)
「原因年月日」平成○年○月○日氏変更
【その他の申請書記載事項欄】
婚姻前の氏の記録の申出
取締役(及び代表取締役) ○○ ○○ (婚姻前の氏 ○○)
*添付書類は戸籍謄本と委任状です。
とっても簡単でした。
また、登記用委任状には、後に旧姓を登記すると言った言わないでトラブルとならないよう、
委任事項として、「○○は平成○年○月○日婚姻によりその氏名を○○に変更したため、その変更登記及び旧姓の登記を申請する件」と明確に入れています。
<みさき司法書士事務所>
2015.07.27.
不動産登記【様々な担保の形式】
こんにちは。
久しぶりの更新となってしまいました
25日は天神祭の奉納花火が打ち上げられ、西天満界隈もたくさんの人で賑わっていました。
昔から大阪に住んでいたこともあり、天神祭といえば、子供の頃から楽しみだった花火大会なのですが、
近く過ぎて最近はめっきり行かなくなってしまいました。
(大阪人が通天閣に行かないのと同じ感覚ですね)
去年も結局花火は見に行かずに夏が終わってしまったので、今年は花火大会に行きたいです。
さて、最近受けた相談の中で感じたことを綴りたいと思います。
【A社にお金を貸す代わりに不動産を担保にとる】場合、どのような担保設定の形式が良いか?
①抵当権
②代物弁済予約を原因とした所有権移転仮登記(仮登記担保)
③譲渡担保を原因とした所有権移転
④質権
どれでしょう?
いずれも、担保としてのメリットとデメリットがありますので、
どの担保を設定するのが一番有益かを考えなければなりません。
以下に上記①から④の特徴を挙げたいと思います。
①抵当権
債務者又は第三者が占有を移さずして、債権者が他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることのできる担保権です。住宅ローンなどによく見られます。
メリット⇒占有は移さないので、担保に入れている間も債務者はその不動産を自由に使用収益することができる。
デメリット⇒債務不履行が発生した場合、換価は競売によることとなるため、換価に時間も費用もかかる。
②代物弁済予約を原因とした所有権移転仮登記(仮登記担保)
「債務不履行があるときは、債権者に、債務者又は第三者に属する所有権の移転をすること」を目的とした代物弁済予約契約に基づいて仮登記をなし、実際に不履行があった際には本登記を行って、債権者が所有権を取得するという担保方法です。
メリット⇒本登記をするまでの所有権はあくまで債務者又は第三者に帰属しているため、③と異なり、所有者ならではの負担がない。①と同じく、担保に入れている間も債務者はその不動産を自由に使用収益することができる。
デメリット⇒そもそも債務者が本登記に協力しない場合には、本登記ができない。この場合、所有権移転本登記を求めた訴訟を別に行う必要があります。
③譲渡担保を原因とした所有権移転
担保の目的たる権利(所有権)を設定者が債権者に移転し、債務が弁済されると設定者に復帰するが、債務不履行が生ずると、権利は確定的に債権者に帰属するという形式をとる担保方法です。
メリット⇒債務不履行が生じた場合、即座に売却して売却代金で債権に充当することができる。
デメリット⇒所有権が完全に債権者に移転するため、物件管理や固定資産税の負担をする必要が出てくる。
④質権
債権者がその債権の担保として、債務者又は第三者の不動産を占有し、かつその不動産につき他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受けることができる担保権です。
メリット⇒所有権は債務者のまま、占有が債権者に移転するため、債権者は不動産を使用収益することができ、かつ③と異なり所有者ならではの負担がない。
デメリット⇒債務不履行が発生した場合、換価は競売によることとなるため、換価に時間も費用もかかる。
いずれの方法をとるのが一番有益かは、状況によって異なりますので、
悩む場合は専門家にご相談ください。
<みさき司法書士事務所>
2015.07.06.
その他【国民背番号制のメリット】
今、ちょうど話題になっているマイナンバー制度について勉強しています。
マイナンバー制度は国民背番号制と批判されることもありますが、諸外国では近年、制度として広く利用されており、むしろ近代国家である日本が利用していないのは珍しいみたいです。
諸外国の例を見てみると、良い面もそれなりにあるようです
例えば、デンマークなどでは国民ひとりひとりが個人のマイページにアクセスすることができ、
行政の各機関に保管されている個人に特定の情報が表示されます。
■自分や家族が必要な行政申請とその期限
■過去に行った申請内容
■自分はどのような助成金が申請可能か
■育児休暇があと何日取得可能か
■取得可能な年金額やその運用状況
といったプッシュ型の情報提供を受けることができます。
日本では自分で調べて申請しないと、税金の還付すら受けられませんもんね
また、アメリカでは養育費の履行確保にも役立っているようです。。。。(ここからがブログの本題)
日本では離婚後、母親が父親に養育費を請求するにあたって、父親と協議が調わない場合は、
裁判所で調停を行うなどして養育費の額面を決定してもらい、
更に履行されない場合は、強制執行をして給与を差し押さえるなどの手続きが必要になります。
そこまでしても、父親が会社を転職すれば、差押の効力が次の会社にまでは当然に及ばず、
強制執行の手続きを再度行う必要があるため、とても大変です。
ところが、アメリカにおいては
裁判所が養育費の問題を扱うと時間がかかるとして、行政が決定するという方針が採られ、
連邦政府の中に養育費庁が設けられ、各州政府と連携を保ってガイドラインに基づいて養育費を決定します。
父親が行方をくらませている場合でも、アメリカでは国民に社会保障番号が割り当てられているため、
州を越えて移動しても居所を突き止めることができ、また、使用者は新たに従業員を雇えば登録する義務があるため、転職しても勤め先を探すことができます。
その結果、給料から養育費を天引きすることが可能となり、その他にも所得税の還付金や失業給付の差押、各種免許の停止など、あらゆる手段を使っての履行確保が可能となっているようです。
(ある意味コワイですね)
これから日本でマイナンバー制度が始まると、生活上でどのような影響が生じるのでしょうか。
メリット、デメリット、いろいろとありますが、デメリットの方が大きくなるということだけは避けたいですよね。
<みさき司法書士事務所>
2015.07.01.
その他【神奈川での役員会】
6月27日、28日は全国青年司法書士協議会の役員会が神奈川県司法書士会館で行われました。
初めて神奈川県の会館に行ったのですが、
徒歩5分で中華街…という場所にあり、立地の良さに驚きました
役員会は基本的に承認・協議・報告事項がたんたんと進められるのですが、
今回は、憲法問題を少し勉強しましょうということで、
弁護士の先生にお越しいただいて、憲法違反の戦争法制の問題点についてお話を聞きました。
具体的には、①集団的自衛権行使、②外国軍隊に対する後方支援の拡大、③国際平和協力活動における活動領域の拡大、武器使用基準の緩和、④グレーゾーン事態への対応手続の簡略化についての問題です。
政治・宗教の話をするのはどうしても避けがちですが、
日本で暮らしている以上、また、法律を勉強している身である以上、
憲法の話は避けて通ってはいけない問題なのだと感じました。
今の20代~40代が、30年先の日本を決めるのですから、
若い世代はもっと政治に関心がないとだめですね。
夜は、みなとみらいへ。
横浜の夜景はとても綺麗でした!
ここからは同業者にしかわからないかも。
↓
役員会では、日本司法書士会連合会の総会の報告や、
公益社団法人リーガルサポート総会の報告がありました
日本司法書士会連合会は代議員制(間接選挙制のようなもの)なので、
総会において議決権が公正に行使されているものと考えられるのですが、
公益社団法人リーガルサポートの場合、社員(会員の司法書士)は1人1票制で、
東京で行われる総会に出席できない社員の票数は理事長に白紙委任されてしまうため、
理事長が4000票近くを有しており、過半数決議を理事長だけでできてしまうという総会に、
疑義があるということの報告を受けました。
今まで、自分の所属する団体の舵の取り方をあまり深く考えることはなく、
白紙の委任状を出していた自分が恥ずかしく思えました。
来年以降はちゃんと考えて議決権の行使をしなければいけないと深く反省しました。
<みさき司法書士事務所>