2018.06.19.
不動産【死因贈与の仮登記の本登記】
先日、死因贈与の仮登記(始期付所有権移転仮登記)の本登記を行いました
ただ、申請書や登記原因証明情報の記載方法についてはどの本でもネット情報でも拾うことができず・・・。
自己流で申請を行ったので、登記完了まではどきどきでした
無事に登記が完了いたしましたので、備忘録としてこちらに記載しておきます。
【死因贈与の仮登記の本登記申請書】
登記の目的 所有権移転(〇番仮登記の本登記)
原因 平成〇年〇月〇日贈与 *原因日付は死亡日です。原因は死因贈与ではなく贈与です。
権利者 受贈者
義務者 遺贈者の相続人全員又は執行者
添付書類 登記原因証明情報・相続関係を証する書面・権利書・印鑑証明書・住所証明情報・代理権限証明情報
登録免許税 10/1000
【登記原因証明情報】
(1)乙は、甲に対し、平成☆年☆月☆日、本件不動産について、乙の死亡の時を始期と定める贈与契約を締結した。
(2)甲及び乙は、平成●年●月●日、上記内容について所有権移転仮登記を申請することに同意し、所有権移転仮登記を経由した(平成●年●月●日○○法務局受付○○号)
(3)平成〇年〇月〇日、乙は死亡した。
(4)よって、同日、乙から甲に本件不動産の所有権が移転した。
*死因贈与契約にかかる契約書が残っているようであれば、その契約書、死亡記載のわかる戸籍、相続人全員の承諾書をもって登記原因証明情報となるのですが、残っていない場合には、上記のような報告形式の登記原因証明情報を作成する必要があります。
*上記登記原因証明情報は一例です。
相続人全員から登記の協力が得られない場合には、遺言の場合のような執行者を家庭裁判所で選任し、
執行者を登記義務者として登記の申請を行うこととなります。
今回は受遺者と相続人全員が親戚同士ということもあり、快く協力していただき、無事に登記ができました。
<みさき司法書士事務所>
2018.06.07.
相続【住民票の除票が取れない(住所に沿革がつかない)場合】
相続登記を行う場合の上申書の有無について、過去のブログ記事に下記のように記載をいたしましたが、
昨年以下の通達がありましたので、ここで訂正しておきます。
(過去のブログもこれまたその時点での情報ですので上書きしたり削除したりはせずに置いておこうと思います。)
過去ブログ→相続【住所の沿革と上申書】
【新しい通達】
相続による所有権移転登記の申請において、所有権登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が、戸籍謄本に記載された本籍と異なる場合、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報の一部として、住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所の記載あり)、戸籍の附票の 写し(登記記録上の住所の記載あり)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書等の提 供を求めることなく、被相続人の同一性を確認することができる。
(平29.3.23民二175)
つまり、権利書の添付があれば、上申書は不要となりました
住民票の除票、戸籍の附票は5年で廃棄されてしまうので、多くの場合は沿革がつきません。
権利書がない場合には従前どおりやはり上申書対応ということになるので、事実上やはり権利書は相続登記にも必要ですよね。
大事に保管しないといけませんね
<みさき司法書士事務所>
2018.05.29.
相続【相続させる旨の遺言により相続した者のみが遺産分割協議に参加する場合】
お久しぶりの業務ブログ更新です~
一週間さぼると、ついついさぼり癖がついてしまい、2か月近くも間が空いてしまいました
業務が忙しい日々が続いていたのですが、実は4月から司法書士が1名増え、少し落ち着いたので、
今日からまたブログを再開したいと思います
先日、昨年から依頼を受けて継続していた相続登記がようやく完了し、一息つきました
その相続登記を行うにあたり、ある論点にぶつかりましたので、ここに書き留めておきたいと思います。
長い前置きになってしまいましたが、本題です。
本事案では被相続人が30年前に亡くなられてから不動産の名義変更をずっと行っていなかったため、
相続人が次々と発生した数次相続で4世代に渡る遺産分割協議となりました。
その相続人のうちの1人に数次相続が発生しており、
なんと「自分の財産は数次相続人の1人に全て相続させる」旨の公正証書遺言を残しておられました。
このような遺言がある場合に、公正証書遺言を添付することで、相続人の1人から数次相続を受けた相続人だけが、本遺産分割協議に参加して所有権移転登記をすることができるか?ということが問題となりました。
(遺言を残してもらった相続人以外の相続人とは交流がなかったため、捺印の協力をお願いしにくいという背景もあり、ぜひともこの遺言を使用して、登記を進めたいところではありました。)
そこで、先例を調べていたところ、下記のような登記研究の質疑応答の記載を発見しました。
【要旨】
甲の相続人である乙と、甲のもう一人の相続人である丙から「相続させる」旨の遺言により相続財産全部を取得したAのみが遺産分割の協議に参加した遺産分割協議書等において、丙の他の相続人から遺留分減殺請求権の行使を受けていないことが判明すれば、登記を実行することができる。
(平成29.4登記研究830)
問(概要)
不動産の所有権登記名義人甲が死亡し、乙と丙が甲を相続したが、相続による所有権の移転の登記が未了のうちに丙が死亡し、その法定相続人がAとBである場合において、登記原因証明情報として①丙名義の「全ての相続財産をAに相続させる」旨の公正証書による遺言書及び②乙が当該土地を取得する旨に加え、Bによる遺留分減殺請求権の行使がない旨の記載のある乙とA名義の遺産分割協議書(その旨の記載がないときは上申書)を添付して、甲から乙への所有権移転登記が申請されたときは、これを実行して差し支えないと考えますがいかがでしょうか。
答 貴言の通り
そこで、遺産分割協議書の他、数次相続人から遺留分減殺請求権の行使がなかったことの上申書を遺産分割を行う相続人全員に書いてもらい、無事登記の申請を行うことができました。
もともと相続人がかなり多い事案でしたので、遺言の存在はありがたかったです・・・
<みさき司法書士事務所>
2018.05.26.
その他【第3回みさき杯を開催しました!】
今年もみさき杯を開催いたしました!
今年は7組28名で行いました
毎年準備に時間がかかるのですが、参加していただいた皆さんに「楽しかったよ!」と言っていただけるのが
とてもうれしいです
不慣れな幹事で、不行き届きな部分もたくさんあったはずなのに、
温かい目で見守ってくださり、感謝感謝です
<みさき司法書士事務所>
2018.03.26.
不動産登記【更正登記の抹消?と真正な登記名義の回復】
先日、更正登記の抹消ができないか?というご相談を受けました
いったんA名義で登記された不動産を、知人のアドバイス(?)により便宜上ABCDの共有として更正登記をしたが、
所有権の実態はAだけなので、Aの名義に正したい。
というご相談です
当初、付記1番でされている更正登記を抹消できないか?と相談を受けたのですが、
更正登記は「遡及して最初から正しい登記がされていた」ことになる登記ですから、
付記登記だけを抹消することはできず、抹消するとしたら所有権そのものを抹消することになってしまいます。
いったん更正登記がされたものを再更正を入れることができるという先例もあるようですが、
更正登記には、前所有者の協力が必要となるため、ご依頼を受けた物件は30年以上前に購入した不動産ですので、
前所有者の協力を今さら得ることもできなさそうです・・・
そこで、最後の手段として「真正な登記名義の回復」を行いました。
真正な登記名義の回復は、万能な移転登記である一方で、その登記原因証明情報の作成には、毎回頭を悩ませます・・・。
なぜなら、「売買」や「贈与」などのように、決まりきった定型があるわけではないからです。
特に本件に関しては、所有権を偽装していたという経緯があるため、堂々と登記原因を書くわけにもいかず、大変悩みました。
登記原因証明情報の概要としては、
1.昭和〇年〇月〇日、甲は××から本件不動産を購入し、所有権を取得した(昭和〇年〇月〇日第○○○号登記済)。
2.しかし、甲は後になって乙らと共有名義にすることで節税効果があるものを思い、甲及び乙らの共有名義にするべく、錯誤を原因とする更正登記を行い、共有であるかのように仮装した(平成●年●月●日第●●●号登記済)。
3.上記更正登記は無効な登記原因により所有権が更正されたものである。
4.よって、乙らは甲に対し、真正な登記名義の回復の回復を原因としてAを除く共有者全員持分全部移転登記を申請する。
という内容になりました
仮装したという言い回しがなんとも絶妙・・・。
法務局から何か指摘があったら嫌だな・・・と思いましたが、無事に登記の申請ができ、ほっとしました。
1月にも同様のブログを更新しましたが、全くの別事件ですので、案外このような事案は多いのかもしれませんね・・・。
<みさき司法書士事務所>