2021.01.22.
不動産登記【所有権抹消の登記原因】
遅ればせながら、明けましておめでとうございます
今年もよりスキル&知識UPを目指して精進していく次第です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします
さて、今日のタイトルである所有権抹消登記ですが、これは現在の所有権登記を抹消し、前所有者の名義にするという登記です。
(前所有者まで登記が戻ってしまうと困る場合や、抵当権などが設定されている場合には真正な登記名義の回復を利用します。)
所有権抹消登記の登記原因といえば「錯誤」や「合意解除」、「解除」などが挙げられますが、
この度「所有権移転無効」を原因として抹消登記の手続きを行いました。
(「質疑応答6205」登記研究423号126頁)
「所有権移転無効」と「錯誤」の使い分けは一体何か・・・
文献によりますと「錯誤」は抹消されるべき登記が登記手続きの当初から不適法である場合(原始的理由に基づく場合)に原因となり、「所有権移転無効」は実体上の理由に基づく場合、つまり、所有権移転登記の登記原因が当初から無効または不成立であったような場合(売買契約が無効であるような場合)に原因とするようです。
(登記研究817・38頁)
解釈が難しいですね。
<みさき司法書士事務所>
2020.10.12.
商業登記【株主総会での本店移転や支店設置決議】
毎回久しぶりの更新です・・・
さて、最近ふと気づいたことをつづります。
株式会社の本店移転につき、定款変更を要しない場合(定款で定めた市町村内での本店移転の場合)には、
取締役会を置いていない株式会社では、「取締役の決定」で行うというのが長年における私の中での常識となっていたのですが、
最近、ご依頼を受けた法人様から出てきたのは、「取締役の決定書」ではなく「株主総会議事録」でした。
でもよくよく考えてみると、本店移転決議は定款変更を要しない場合に「取締役の決定」で行うことができるというだけであって、
取締役の決定でしなければならないというわけではありません。
そして、取締役会を設置していない限り、下記条文の通り、株主総会は万能の権限を持つことになります。
取締役が何人もいる会社であれば、出席した取締役全員に押印してもらう必要があるので、
それなら株主総会を開いて(開いたことにして・・・)、代表取締役の押印1つでいけちゃう方が手っ取り早いじゃないか、と思いました。
もちろんそれが可能な規模の法人様に限るとは思いますが・・・。
上と同じ理屈で、支店設置の登記もできるのではないかと思い、
たまたま取締役会を置いていない株式会社様から支店設置の登記のご依頼をいただいたので、株主総会議事録でいってみたところ、
なんなく登記は完了し、自分の中で納得しました。
取締役複数いらっしゃる法人様でしたので(株主は社長のみ)、株主総会議事録に代表取締役の押印1つで申請できたのはスムーズで良かったです。
これからはもっと株主総会を利用していこうと思った一件でした。
<みさき司法書士事務所>
2020.09.23.
債務整理【アエル株式会社への受任通知】
最近珍しく依頼を受けた債務整理(時効の援用)の手続きの中で、
依頼者が昔借り入れをしていたという債権者にアエル株式会社がありました。
この会社は20年くらい前に民事再生をしており、今もあるのか、そして、どこに通知を送れば良いのかが謎でした。
HPもないので、とりあえず登記情報を取得してみたところ、今も法人格は存命しているようでした
そこで、登記簿上の本店所在地である「東京都港区西新橋一丁目5番10号」に宛てて受任通知を送付してみたところ、
2か月ほど経った今日、株式会社ティー・アンド・エスという会社から取り急ぎ最終取引日と最終取引の残高が記載された通知が届きました。
相手方への時効の援用の意思表示ができるので、とりあえず時効の援用はできそうでホッとしました
<みさき司法書士事務所>
2020.08.21.
商業登記【登記が効力発生要件となるもの備忘録】
組織再編,組織変更,商号変更による株式会社への移行手続きの際に、
効力発生日と登記の関係をまとめてみましたいつも忘れてしまうので
新設合併 | 登記申請日 |
吸収合併 | 吸収合併契約に定めた日 |
新設分割 | 登記申請日 |
吸収分割 | 吸収分割契約に定めた日 |
株式移転設立 | 登記申請日 |
株式交換 | 株式交換契約に定めた日 |
組織変更 | 組織変更契約に定めた日 |
商号変更による株式会社への移行 | 登記申請日 |
登記申請日が効力発生日となる登記については、法務局が開いている平日でないと効力発生日とすることができないため、
事前にカレンダーを確認しておく必要があります。
<みさき司法書士事務所>
2020.07.28.
商業登記【一般社団法人の解散】
先日、一般社団法人の解散手続きにつき、ご依頼をいただきました
一般社団法人が社員総会の決議により解散する際には、株式会社と同様に清算人を選任し、清算人から登記の申請を行うこととなります。
(定款であらかじめ清算人を定めている場合には選任をする必要はありません。)
解散登記を行うと、株式会社の場合、不要な機関は登記官により職権抹消されます(商業登記規則72条)。
例えば、取締役会設置会社である旨の登記並びに取締役、代表取締役、社外取締役に関する登記は職権抹消の対象です。
では、一般社団法人の場合には、どのような取り扱いになるのでしょうか。
調べてみたところ、一般社団法人等登記規則3条で商業登記規則72条(1項2号、3号、5号を除く)の読み替えがされておりました。
そこで、下記の通りとなるようです。
◆理事、代表理事 ⇒ 職権抹消
◆理事会 ⇒ 職権抹消
◆監事 ⇒ 当然には抹消されない
◆会計監査人 ⇒ 職権抹消
その他、登録免許税も株式会社と同様に、解散は3万円、清算人就任が9000円です。
清算手続きの流れもほぼ同じですが、一般社団法人の場合は定款により基金の定めや財産の帰属先の定めが
置いてあることもありますので、定款を確認することが必須です
<みさき司法書士事務所>