ブログ

2014.04.09

その他【死後事務委任契約と民法653条の強行法規性について】

最近は、なぜか一般の方よりも司法書士さんや税理士さんから、
「ブログ見てるよ」なんて言われることがあり、嬉しいような恥ずかしいような
書く内容にも気を遣わないとなぁなんて、思っています。

最近、知り合いから死後事務委任契約が民法653条(委任者の死亡による委任の終了)の条文との関係で
どちらが優先するの?と質問されました。

そもそも民法653条は強行法規なのか?
当事者の合意があれば民法の例外として、契約は有効なのか?という質問です。

これについて、いくつか判例があります。

最判平成4.9.22(原審:高松高判平成3.8.29)
委任者が、受任者に対し、入院中の諸費用の病院への支払い、自己の死後の葬式を含む法要の施行とその費用の支払い、入院中に世話になった家政婦や友人に対する応分の謝礼金の支払いを依頼する委任契約は、当然委任者の死亡によっても
契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものであり、民法653条の法意は右合意の効力を否定するものではない
その他に、
東京高判平成11.12.21(原審:前橋地裁高崎支部平成10.10.21)
東京高判平成21.12.21(原審:東京地裁平成21.4.22)


いずれのケースにおいても、判例は民法653条の趣旨は任意規定であると解釈されているようです。

もともと、日本の民法典はドイツ民法典の影響を大きくうけ、その流れを汲んでいます。
ドイツ民法には、受任者の死亡により委任が終了する規定はありますが、
委任者の死亡による契約終了について、規定がないようです。

いずれにしましても、本人の死亡後に死後事務を行ったことで相続人と争うことになれば、
亡くなった本人も浮かばれませんよね

死後事務委任契約(任意後見契約も同様です)の際には、親族や推定相続人に集まってもらい、
本人と、受任者と、相続人との間できちんと話し合いをした上で契約を行うことが
トラブル防止のため、また、死後事務を円滑に行うために有効であると私は考えます。
委任事務の執行は、委任者の相続人の利益と衝突する可能性があるからです。
(本人から、「この人に死後事務をお願いすることにしたから。」との一言があるだけで、全然違いますから。)

特に死後事務を依頼する方はある程度高齢である場合が多いので、
いくら本人に判断能力があっても、親族が契約を知らなかった場合には、
後からトラブルになりやすいと思います

そして、契約はできれば公正証書で行う方が良いですね。
別に契約の効力発生要件ではないのですが、
公正証書で結んでおいた方が、契約書が真正に作られたという事実が担保されるからです。

だらだら書いていたら長くなってしまいました。
長いブログは読みにくいのでダメですね。
あぁ…でもこの分野はもっともっと書くべきことがたくさんあるので、また次回。

 <みさき司法書士事務所>

コメント

コメントフォーム

(不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。
適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

カレンダー

«4月»
  1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30    

ブログ内検索

モバイル・スマートフォン対応

ページの先頭へ