ブログ

2013.05.09

訴訟【擁壁設置(妨害予防)請求事件】

司法書士は地方裁判所に提出する書類の作成をすることができます。
ただし、書類を作成&提出するだけで、期日には依頼者さんに裁判所に出頭してもらう必要があるため、
破産申立などの紛争性の少ない場合はともかくとして、紛争があって相手方がいる場合には、
基本的には弁護士さんに代理して裁判手続きを行ってもらう方が、依頼者さんの利益にはなるんです。
私自身も、本人訴訟になりそうな場合は弁護士さんを紹介することがほとんどです。

ところが、ときどき「当日自分が行くのでも大丈夫!」と勇敢な依頼者さんがいらっしゃいますので、その場合には精一杯の支援はさせていただいています。

そんな本人訴訟のうち、一番やりがいのあった訴訟が
「妨害予防請求事件」
です。

裁判で隣の土地を所有する被告に対して擁壁設置請求をしたという事案です。
所有権に基づく妨害予防請求を体現化したような訴訟でした。

事案の概要をざっくり説明しますと、
1.原告はA土地を所有している。
2.被告はB土地を所有している。
3.A土地とB土地は隣り合わせの土地で、土地はA土地を上側、B土地を下側に緩やかな斜面となっていた。
4.被告がB土地を平らな土地にして利用するため、自分の土地を削り、境界部分に1m前後の段差が生じた。
5.被告は段差部分を何の処置もなく放置し、地盤がむき出しのままとなっていた。
6.少しずつ土地が崩れてきている。このままではいつ災害等で原告の土地が崩れて、被告の土地に土が流れ込むかもわからず、その場合の責任の所在も不明であるし、社会通念上は上側の土地の所有者が擁壁等を設置する義務があることから、原告が今後A土地を売却する際に、査定額が下がる恐れもある。
7.これらの危険や法益の侵害を予防するため、擁壁の設置等を行ってほしい。

というものです。
不動産関係訴訟の文献を調べて、数少ない情報を頼りになんとか訴状を書きました。



<請求の趣旨>
1. 被告は原告に対し、別紙1物件目録第2記載の土地のうち、同目録第1記載の土地との境界付近の部分に存在する斜面部分に別紙2仕様書記載の通りの擁壁を設置せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

*よって書き
よって、原告は土地1の所有権に基づき、その崩壊の危険及び土地価格の下落を予防するため、土地2の所有者である被告に対し、請求の趣旨記載の通り、擁壁を設置させる旨の判決を求める。



被告は弁護士を代理人に立ててきたものの、抗弁があいまいだったため、
こちらの立証した崩壊の危険性が認められました。
(価格の下落可能性については立証のしようがなかったので、立証できていません。)

結果としては、判決までいかず裁判上の和解で終わりましたが、内容はこちらの請求が全面的に認められ、
擁壁の設置を行ってもらうことができました。

ちなみに訴額の算定については裁判所に相談の上、擁壁設置の見積もりを業者に依頼し、その価額を訴額としました。
その場合、訴額は90万円程だったので、簡易裁判所でもできたんですが、不動産に関する訴訟ですので、
地方裁判所に移送されてもややこしくなるため、上申書をつけて最初から地方裁判所に訴えを提起しました。

珍しい訴訟ですので、思い入れのある訴訟の1つです。

 <みさき司法書士事務所>

コメント

 所有権に基づく「妨害予防請求」訴訟を提起します。是非、電話でお話させて頂きたくコメントさせて頂きました。こちらから掛け直しますので、お電話お願いいたします。当方の電話番号は 070-5554-7731 です。宜しくお願い致します。

  • 2021.04.29 07:04
  • 佐藤 潤

すごいレアな経験で、いい経験をされましたね!!。

  • 2013.05.15 09:57
  • やなぎもと

コメントフォーム

(不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。
適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

カレンダー

«5月»
   1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

ブログ内検索

モバイル・スマートフォン対応

ページの先頭へ