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2012.11.16
成年後見【職業人講話】
こんばんは。
今日は、午前中、介護関係の仕事に就きたくて職業訓練を受けておられる生徒さんたちに、職業人からのお話として、成年後見制度についてのお話をさせていただきました。
皆さん成年後見制度については大変興味を持っておられて、真剣にお話を聞いてくださったので、話す側もとても気持ちよくお話することができました。
生徒さんから、『例えば独り身のお年寄りで、入院して植物状態になったときに、誰も成年後見の申立をしてくれなかった場合にはどうなるのですか?』というご質問をいただきました。
成年後見人の申立権者は、民法では本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官と、法定されています。
しかし、この他に、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により、市町村長による申立が法定されています。これにより、本人の権利保護のために成年後見人が必要なのに、誰も申立してくれる者がいないという場合には、市町村長が申立を行うことになります。
そして、後見人には裁判所により、弁護士や司法書士等が選任されることになります。
このようにして、一応、本人さんの権利は護られるというわけなのです。
親族がいない方の後見人をしていて一番問題なのは、①医療行為の同意をどうするか?②死後事務をどうするか?ということです。
医療行為の同意は成年後見人の代理できる行為ではありませんから、することはできません。
ましてや、本人の死後はもう成年後見人ではなくなってしまいますから(本人の死亡は成年後見終了事由です。)、最後の施設費等の支払や遺体の引き取りから火葬までは、権限がないためできないはずです。
でも、本当ならすることはできない(成年後見人の業務ではなない)のに、実務では要請があるのです。
本人の死後、遺体をどこへ埋葬すればよいのか?という希望さえもわからないので、成年後見人としては非常に苦労します。
このような自体に陥る前に、もし、独り身で、将来が不安だという方には任意後見制度の利用を検討していただきたいと思います。
任意後見制度を利用すれば、この2点について、本人の自己決定権を尊重し、本人の希望するライフプランに沿った後見事務を行うことができます。詳しくはこちらをご覧ください。
<みさき司法書士事務所>