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2020.05.17
商業登記【登記事項錯誤による抹消】
昨年のことになりますが、登記事項錯誤による抹消登記を行いました
ある株式会社から「非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定」の登記のご依頼を受けたところ、
その株式会社には「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」が登記されていました。
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社においては非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限の定款の定めをすることはできませんから、矛盾する登記がされていることになります。
定款を見せていただいても、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の条項は見当たらず・・・
定款と登記簿が矛盾しており、一方を正とすれば、一方は登記ができない旨を説明したところ、
「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを置いた記憶はない」「そのような登記をした覚えはないし、言われて初めて気が付いた」とのこと
詳しく話を聞きますと、どうやら平成26年の法改正後の役員変更登記を入れた際に、
司法書士ではない者に登記の依頼をして、言われるがままに申請書類に捺印を押印したところ、このような登記が入ってしまったとのことでした。
(監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めに関する商業登記法の改正についてはコチラ)
恐らく、現行定款を確認せずに、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあると思い込みで申請を入れてしまったのでしょう・・・。
仕方がないので、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」の登記を抹消することに
このときに登記申請書に添付したのは委任状の他、「錯誤の事実を証する書面」なのですが、
これはお伺いした事情をもとに、なぜこのような登記が入ってしまったのか(まるで反省文)の経緯をつらつらと書き綴った書類(A4用紙1枚程度)に、株式会社の代表取締役から法人ご実印でご捺印をいただいて提出しました
錯誤の事実を証明するってなかなかどう証明していいか、難しいですよね。
<みさき司法書士事務所>