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2015.01.25
相続【生前の相続放棄】
被相続人の生前に、相続人のうちの一人に対して、
「相続権を放棄します、と一筆書いておいてもらう」と話す方が多いような気がします。
しかし残念ながら、民法では被相続人の生前に相続放棄をすることは認められておりません。
(生前の遺留分の放棄は認められています。)
当然、生前の遺産分割も、何の意味もありません。
もし「相続を放棄します。」と被相続人の生前に一筆書いてもらった場合において、
将来いざ相続が発生したときに、「あのとき書いてもらったでしょ?」ということで
素直に遺産分割で相続権を他の相続人に譲ってくれれば良いのですが、
「気が変わったから自分も相続したい。」と言われてしまうとアウトです。
だってそもそも生前の相続放棄の約束や遺産分割の約束は無効ですから。
遺産分割が調わず調停や裁判となったとき、
昔書いてもらった書面を武器に、当該相続人には相続分は与えないと主張できるか?と言われると、
主張できません…。
ですので、無効なのは承知の上で、一応書いておいてもらうということであれば良いのですが、
本気で相続対策ができると思っている人は要注意です。
このような場合には、遺言が一番です。
とはいえ、遺言を書いた場合でも、兄弟が相続人となる場合以外には相続人は遺留分を有しますので、
遺留分相当の金員は与える内容の遺言を作成するか、生前贈与を行うことによって、
生前に遺留分の放棄をさせておくことが望ましいでしょう。
(遺留分についてはコチラ)
また、相続人が非行をしたことにより、相続排除をしたいということであれば、
被相続人の生前に家庭裁判所に申し立てて相続排除の手続きを行えば(遺言でも可能。)、
相続人たる地位を排除することもできます。
(ただし、かなりの非行をしていない限り、認められないため、ハードルは高いです。)
<みさき司法書士事務所>