2015.04.20.
商業登記【監査等委員会設置会社の設置】
以前から騒がれているので知らない人はいないと思いますが、会社法がこの5月から改正されます
司法書士の登記業務に大きく関係するのは監査等委員会設置会社への移行の登記なのではないでしょうか。
今回の改正では、コーポレート・ガバナンスの強化が図られています。
公開会社であり、大会社であり、かつ監査役会設置会社であって、有価証券報告書提出会社では、
社外取締役を置かない場合には「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務を負うということになりました。
(法327条の2、規124条2項、規74条の2第1項)
また、コーポレート・ガバナンスコード(原案)などによる上場会社に対する社外取締役設置の圧力を鑑みれば、
監査役会設置会社であれば、法律上の社外監査役の最低設置人数(監査役の過半数)2名に加え、
社外取締役を最低2名置くべきこととなり、結果として社外役員を計4名設置しなければならないという負担が生じます。
【コーポレート・ガバナンスコード(原案)】についての解説
政府の「『日本再興戦略』改訂2014」に基づく日本の成長戦略の一環として策定された、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものであり、東京証券取引所と金融庁により、本年3月5日に公表されました。
同コード(原案)の基本原則4-8第1文は、「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任するべきである。」としています。
また、第2文では、「業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記に関わらず、そのための取り組み方針を開示すべきである。」としています。
また、これをうけて平成27年2月24日、東京証券取引所は「コーポレート・ガバナンスコードの策定に伴う上場制度の整備について」を公表し、上場会社がコーポレート・ガバナンスコードを実施しない場合には、定時株主総会後遅滞なくコーポレート・ガバナンス報告書を提出して、その理由を説明することとして整備制度を行うものとしています。
これらに対し、監査等委員会設置会社であれば、法律上社外取締役を最低2名~(過半数)設置すれば足りることになるため、この負担を回避することができることになります。
他にも利点として、
①重要事項についての意思決定の迅速化が可能となる点
②監査等委員が取締役会の構成員であることによるガバナンス強化の期待
③監査役の法定任期4年に対し、監査等委員の任期は(取締役なので)2年と短く、2年の経過後に再任の可否を検討することが可能
④利益相反取引についての任務懈怠の推定規定を排除する特定の適用が可能となる点
が挙げられます。
が、やはり社外取締役設置の負担回避が一番の利点でしょう。
移行するためには、
1.株主総会において定款変更を行う
2.株主総会において、1に伴い任期満了する役員の選任を行う
3.登記
という流れになります。
登記そのものは、
□取締役・代表取締役の退任・就任
□監査役設置会社及び監査役会設置会社である旨の廃止
□監査役の退任
□監査等委員会設置会社である旨の登記
□監査等委員である取締役の登記
□社外取締役である旨の登記
を行うことになるようです。
きっちり勉強しないと、改正についていけそうにないですね。
<みさき司法書士事務所>
2015.04.17.
成年後見【後見監督事件等についての所感】
この半年間で、私が家庭裁判所からの事件配転で受任した後見監督事件は2件、
後見制度支援信託事件は1件です。
いずれも新規に後見申立のあった事案ではなく、係属中の事件について、
家庭裁判所の職権によって立件されているケースでした。
大阪には司法書士がたくさんいる中で私だけでほぼ2ヶ月に1件回ってきているということは、
相当な数の事件が裁判所で処理されているということになります。
最近は家庭裁判所の方でも親族が後見人をしているケースにおいて
監督人を選任することが増えている傾向が顕著ですね。
裁判所も人手不足なので、その人手不足による負担を少しでも減らすために
監督人に専門職を選任して、後見事務に不正がないように
目を行き届かせているという可能性もあるのでは…?と思いました。
実際に、大阪家庭裁判所では、何の問題もない成年後見開始の審判申立事件の場合でも
審判まで最短3ヶ月はかかっているようです。
(私が1月に申し立てた事件も、本日時点でまだ審判が下りていません。。。。)
家庭裁判所の人手不足、なんとか解消してもらいたいものです。
<みさき司法書士事務所>
2015.04.07.
不動産登記【QRコード付き登記識別情報】
最近、法務局で発行される登記識別情報通知に、QRコードが追加されました。
従来の登記識別情報通知は、シールの下に
12文字のアルファベットと数字を組み合わせたパスワードが書かれていましたが、
今回は、そのパスワードの横にQRコードが追加されました。
とはいえ、新しく発行された登記識別情報通知を使って
すぐに登記することはないだろうとタカをくくっていましたら、なんとさっそくご依頼が…
オンラインで登記申請する際に、機械でQRコードを読み込まないといけないとばかり思い込んでおり、
いざ登記申請となった際、どうやって読み込みするの~?!
読みとる機械買わないといけないの?…と思って調べたら(調べるの遅っ!)、
QRコードを読み取ると、入力が自動になるから早いですよっていうだけで、
手打ちで入力しても全く問題ないみたいでした
短縮できた時間は約1分…。
QRコードを追加した意味あんまりないじゃないかと思ったものの、
一度に100件とか申請するような場合には便利といえば便利かもしれませんね。
うちの事務所は女性しかいないので、電子機器の設定が伴うような改正がされると
機械オンチで設定ができないのではらはらします。。。。。
<みさき司法書士事務所>
2015.03.26.
債務整理【住宅ローン債権の譲渡について】
今日立ち会った不動産取引は、任意売却でした。
任意売却とは、住宅ローンの支払いがどうしてもしんどくなって、
競売にかけられる前に自分で売却することを、我々の間では任意売却とよびます。
家を売却して売買代金を返済に充てても、住宅ローンの債務が残ることも当然あります。
(というか、そっちの方が多いです。)
今日は住宅ローン債権者からの依頼で債権回収をしている債権回収会社の方も同席されており、
売主さんに今後の支払いについての説明をされていました。
その内容がなんともリアル…。
「今後も支払いを続けていただくことになると思いますが、
こちらもある一定期間経過しましたら、よそに債権譲渡することになるかもしれません。
その場合、返済先がまた変わるんですけど、
当然債権を買う側も額面で買うことはありませんから、
支払が厳しいようであれば、譲り受けた債権者と交渉して、
10万円なのか、50万円なのか、
少なくとも買い取った額以上の返済をして、あとは放棄してもらうなどしてください。
そうすれば、譲受けた会社も損はしないので、問題ないと思います。
うちもこのまま債権持ってても損金処理できないんでね~。
廉価でも、債権譲渡したら損金処理できるんで。」
と。。。。
横で聞いていた私は、
担当者正直すぎるやろ~と心の中でつっこんでしまいました
世の中ってうまいこと回ってるんですね~。
<みさき司法書士事務所>
2015.03.24.
商業登記【設立時定款の再認証・誤記証明】
先日、法人設立の登記のご依頼を受けて、
いつものように打ち合わせを行い、定款案を公証人にチェックしてもらい、
ご依頼主様にもチェックしてもらい、これでGO!ということでしたので、定款認証を行いました。
このブログをお読みの方はご存知の方も多いかと思いますが、
定款認証って5万円弱の公証人費用がかかるんです。
定款認証を終えて、後は設立の登記するだけの状態です
(法人設立の手順はコチラを参照してください。)
設立登記の申請書を作成中に、「あれ…????」
たいした間違いではないのですが、
定款の目的事項の中の、「○○する事を通じて、~~することを目的とし、~~」というように、
同じ文章の中に「事」と「こと」が混在していました
ご依頼時にいただいたヒアリングシートのままなので、
こちらのミスかと言われるとそうではないとも思うのですが、
正しい日本語はひらがなだと思いますので、このまま登記するのはプロとして気が引けます。
公証人のチェックも、ご依頼主のチェックもかいくぐり、最後の最後で気が付きました
どうして定款認証前に気づいてあげられなかったんだ~と自分を責めましたが、
とはいえ、認証を受けた定款の登記事項がそのまま登記されることになりますので、
このままこちらで勝手にひらがなに変更することもできません。
どうしよう…と思い、公証人の先生に相談しましたら、
「あ~。誤記だったら、誤記証明(無料)出せるんですけどね~。
でも、これは誤記ではないですからね~。
どうしましょう?再認証(多分もう一度費用がかかる。)しましょうかね??」
と言われ、おそるおそる再認証費用を尋ねましたら、
「あぁ、うちは再認証無料でやってますんでうちだけだと思いますけどね。」
との神対応でした
司法書士は言われたことをそのまま登記するのではなくて、
一般的にはこうですよ。と助言してあげられるようでなければ、
存在意義がありませんからね。
納得のいく仕事ができて、私自身も満足したのでよかったです。
公証人の先生ありがとうございます~。
<みさき司法書士事務所>