2016.05.02.
商業登記【株主名簿等添付の義務化】
先日、商業登記規則が一部改正する省令が交付され、平成28年10月1日より、登記すべき事項について株主総会決議を要する場合には、決議の帰趨を左右しうる主要株主のリストの提出が必要となりました。
主な改正点は次の通りです
【決議を要する場合】
登記すべき事項について、株主総会の決議を要する場合には、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の上位株主であって、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名、住所、保有株式数及び議決権数を証する書面を添付しなければならない。
①10名
or
②その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数
【株主全員の同意を要する場合】
株主全員の氏名、住所、各株主が有する保有株式数及び議決権数を証する書面を添付しなければならない。
書面自体は株主名簿に手を加えたような書面の提出で良さそうです。
ここ最近の1年間で、商業・法人登記に関する本人確認・実体確認等の厳格化が進んだように思いますが、私見としては本人確認や実体確認を堂々とするための大義名分になりますので、ありがたい限りです
<みさき司法書士事務所>
2016.04.27.
商業登記【合名会社設立のメリット】
先日、自分の会社を作りました
司法書士の業務とは言えない業務に関しても、法人の方で積極的にご依頼をお受けできるようにとの趣旨です
で、法人を作る際に、法人格をどの形態でいくか(株式会社にするか、合同会社にするかなど。)悩んだ末、合名会社を作ることにしました
合名会社を選択する法人って滅多にないですよね。
その理由はおそらく合名会社の無限責任性だと思われます
株式会社や合同会社のように、間接有限責任を採る法人形態の方が、人の心理としては安心して仕事ができるものです。
じゃあなぜ、あなたは合名会社を作ったの?というところですが、私個人的な理由としては、次の通りです。
①珍しいし、作ったことがないから作ってみたかった!
(ほぼ毎月なにかしら法人の設立に関与しているにも関わらず、司法書士7年やってて過去一度も依頼を受けたことがありません。作ってみたいという単純な興味です。)
②設立時点での出資が不要
(合名会社の場合、出資する物やその額は定款で定めるのみで、設立後、出資はいつのタイミングでもよいため、設立時点で資本金の払い込みなどは必要なく、信用だけで法人を作ることができます。なお、一般社団法人なども出資不要ですが、一般社団法人は社員2名以上からでないと設立できません。)
③有限責任であれ、無限責任であれ、代表者は結局責任を取らないといけないという点で同じ。
(今時、中小企業の場合は株式会社であっても合同会社であっても、銀行融資の際は代表者の個人保証が入りますし、何かしらで損害賠償責任を負うとなった場合でも、そもそも損害を与えるようなコトしちゃだめでしょ!という個人的な倫理観があるので、どんな法人体系であっても代表者の責任は常に同じと考えています。)
④設立費用の実費は6万円で済む。
(この点は合同会社と同じですね。なお、株式会社の場合、実費だけで20万円くらいかかります。)
⑤設立後にやっぱり嫌だと思っても、手続を踏めばいつでも合同会社や株式会社に移行できる。
以上でしょうか。
理由は様々な理由があると思いますが、1人からでも信用だけで法人を作ることができるという点に非常にメリットを感じました。
合名会社という法人形態を採る法人は大変少ないですが、何かメリットがあるハズだと思い、そのメリットや実際に自分がこの法人形態を選択してみての体験を、今後の司法書士業務にも活かすことができればいいなぁと思っています。
<みさき司法書士事務所>
2016.04.08.
相続【戸籍訂正の申立】
以前、相続登記をするために戸籍を収集していた際に、
戸籍の記載事項に誤りを発見し、職権訂正をしてもらうという出来事がありました。
具体的には、相続人の父親欄に被相続人たる父親ではなくて、他人の名前が載っていたんです
(過去のブログ参照)
これでは、戸籍がつながらないですし、父親欄が異なったら、被相続人の相続人でないことになってしまうので困ります。
このときは役所が戸籍を転籍させる際に誤記があったということですので、すぐに訂正してもらうことができました。
こんなこともあるんだな~と思っていましたら、最近また、戸籍の記載事項に誤りを発見しました。
具体的には、
婚姻後の戸籍と、婚姻前の戸籍で被相続人の氏名と生年月日に微妙な違いがあるというものでした
いずれも戦災喪失後(沖縄県の戸籍)に、戸主の申出により再製された戸籍です。
父親欄、母親欄や、氏名の一部、生年月日の月日については同一性が見られましたので、「被相続人本人に間違いないはず」と考え、戸籍の記載事項を職権訂正してもらえないものか、市役所に相談してみました
その結果、「戸主の申出(仮戸籍申告書)に基づいて再製された戸籍なので、役所の間違いではないので、職権訂正はできません。本人や利害関係者から、『戸籍訂正の申立』を家庭裁判所にしてください。」と言われました
そんな家事手続きがあったこと自体を初めて知りました。
役所のミスなら職権訂正可、そうでなければ戸籍訂正の申立が必要ということだそうです
しかし、戸籍訂正の申立をしていれば、相続登記に1年以上かかってしまいます
法務局対応としては上申書でなんとかならないものだろうか…と考え、法務局にも相談してみました。
その結果、上申書で良いという返事が返ってきたので、ほっとしました。
今回、もう一つ勉強になったのですが、
沖縄県は昭和20年から昭和47年にかけてアメリカの占領下におかれていた関係で、昭和23年10月1日から昭和33年6月30日までの間、戸籍事務の管掌者たる沖縄県下の市町村長に代わって、福岡法務局沖縄関係戸籍事務所が沖縄県の戸籍事務を担当していたという歴史です。この間に作成された戸籍を「仮戸籍(臨時戸籍)」と呼び、「仮戸籍申告書」は事情があれば取り寄せることもできるということです。
そして、昭和33年6月30日以降、本土との戸籍の届出の相互交流が認められるようになったため、仮戸籍申告書に基づいて、沖縄県下で戸籍の再製事業が続々と始まり、現在に至っているということがわかりました。
歴史を知るということはとても大切ですね。
<みさき司法書士事務所>
2016.03.23.
その他【ライフ協会破産にみる高齢者の財産管理】
今朝のニュースで、ライフ協会が破産することになったと報道されていました。
ライフ協会、実は私の事務所も提携先として営業されたことがあります。
もちろん、即お断りしましたけど
最近は、高齢者の財産管理をしますよ、という法人や、民事信託の受け皿(受託者)になりますよ、という法人がやたらめったら設立されていますそのような法人が、士業(弁護士、司法書士、税理士向けが多い印象)に対して、クライアントを紹介してくださいという営業をして回っています
中には、取引が成立したら、謝礼を差し上げます…という法人も
私個人の感覚では、自分を信頼してご依頼してくださった依頼者様の財産の預託先として、設立したばかりのよくわからない法人を紹介して、万が一のことがあった場合に、依頼者様に申し訳ないと思うのです
例えば、「信託財産は、万が一法人が破産しても法人財産とは分離されます…」といくら法律で決まっていても、横領されてしまっては回収の余地がありません。訴訟しても何をしても、お金がない法人からは取り立てはできないので、結局泣き寝入りになってしまいます。
相手が刑事罰を受けたところで、被害者は何も保障されないですもんね
そんな素性の知れない法人と手を組む士業がいることに、驚きを隠せません。
ちょっとは疑いましょうよ
じゃあ独り身の者はどうしたらいいのというと、やはり100%安心な解決策がないのが現状です。
とにかく信頼できる人を自分で見つけることができる限りの最善策なのかもしれませんね。
<みさき司法書士事務所>
2016.03.09.
相続【特別縁故者への財産分与の審判と相続財産管理人の心証】
今日はとても嬉しいことがありました
約2年前にご依頼を受け、相続財産管理人の選任申立、特別縁故者への財産分与の申立を行っていた事件で、財産分与の審判が下りたようで、先ほど事務所に特別送達が届きました
審判の主文は、「相続財産の全部を分与する」となっており、依頼者様ともども、2年間の労が報われた気分になりました
特別な縁故が認められたからといって、全額の分与を受けることができるとは限らないのが、この手続きの難しさでもあります。(手続の詳細についてはこちらをご覧ください。)
書類作成代理人の司法書士として、これほど嬉しいことはないですね
審判書には、相続財産管理人の意見も記載されています。
裁判所は、この手続の中で、申立人から裁判所に提出される書類だけでなく、相続財産管理人が申立人から聞いた事情をまとめた「意見書」も参考にして審判をします。
つまり、相続財産管理人の心証も大切なんです
ちなみに、相続財産管理人はどうやって選ばれるかといいますと、家庭裁判所の職権による選任です。
実は、申立の際に、知り合いの弁護士さんを候補者として書いていたのですが、
やはり、利害関係人(特別縁故者の財産分与の申し立てを予定している者)からの申し立てにおいて、申立人の息のかかった弁護士を選任するわけにはいかなかったのでしょうか…。
全く知らない弁護士さんが選任されました
なお、成年後見人をしていた者からの、相続財産の国庫帰属のためにする申し立てであれば、成年後見人をしていた者がそのまま「先生が引き続き管理してください。」ということで、選任されることもあると聞いたことがあります。
ケースバイケースなんですね~。
<みさき司法書士事務所>