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2024.05.11

不動産登記【詐害信託の抹消について】

明らかな詐害信託を、和解の上、相手方と協力して抹消登記を行った件について

去年と一昨年で2回、いずれも破産管財人の弁護士さんからご相談を受けて手続きを行いました。

ケースとしては、破産者(破産会社)Aが信託及び所有権移転により不動産をB名義にした上で、AC間で信託受益権売買を行い、委託者をA→Cに変更登記、受益者をA→Cに変更登記が申請されているというまぁまぁ悪質なケースでした
さらに、委託者兼受益者をCに変更した後で、Dを債権者とする抵当権の設定もされていました。

それも該当物件はかなり高額の不動産なので、まともに所有権移転したら不動産取得税や登録免許税もかなりの額。
もちろん破産事件なので、できる限り余計な支払いは避けたいところです。
さて、どうしたらAの名義に戻した上で任意売却ができるか…。

全ての登記を錯誤抹消で抹消すれば良かったのですが、A→Bへの所有権移転の抹消には抵当権者Dの承諾書が必要です。当たり前に承諾してもらえるはずがありません

そこで、①委託者変更登記抹消、②受益者変更登記抹消、③信託終了による所有権移転(合意解除による)を行いました。

信託開始から信託終了まで一貫して委託者及び受益者が同じである場合には、信託終了による所有権移転登記をしても、
不動産取得税や登録免許税は移転については非課税です。(地方税法第73条の7の4項、登録免許税法第7条1項)
*登録免許税は信託目録の抹消費用だけ1物件につき1000円がかかります。

①②の登記については信託目録の変更ですから、抵当権者Dは利害関係人にあたらず、よって、抵当権者Dの同意は必要ありません。③の登記についても抵当権者Dの同意は必要ありません。

①②に使用した登記原因証明情報はオリジナルを作成しておりますので、気になる方は同業者さんでも遠慮なく個別にお問い合わせをいただければ、情報提供はさせていただきます。

抵当権者Dには最後の売却のときにのみ抵当権者抹消に協力してもらえれば良いので、この方法であればうまく解決できました。

本件は相手方と和解が成立したため、共同申請で登記を行い解決に至ったケースですが、
判決や和解調書で登記を行う場合は、同じスキームであったとしても、請求の主旨や和解条項を事前に申請先の法務局に相談し、よく検討する必要があると思います。

ちなみにこの詐害信託、堂々とやっている司法書士事務所があるみたいなので、今後も破産管財人の先生が頭を悩ますケースが増えるかもしれませんね

 <みさき司法書士事務所>

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