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2017.03.03
商業登記【DES・社長借入金の一部を資本金にする方法】
はや~い気が付けば3月ですね。
2月はDES(Debt Equity Swap)のご依頼をお受けしました
DESとは、簡単に言うと会社への貸付金を現物出資にして、募集株式を発行し、資本金の額を増額させる手続きです。
DESを行う場合のポイントは次の通りです。
1.債権を特定する必要があります
社長貸付金の場合、細々した貸付けが積み重なって、大口の借入金になっているケースがほとんです。この細々とした貸付けの全てに契約書があればよいのですが、実際にはそんなものはなく、1つ1つの債権を特定する方法がありません
したがって、改めて「準消費貸借契約」を行うか、「債務承認契約」を行うなどして、契約日、債権の性質、債権額を特定してやる必要があります。
2.債権の一部だけを出資することもできます
税理士さんやほうじん経理の方が作ってくれた会計帳簿に記載されている債務の全額を前記1のようにして一つの債権にまとめた場合でも、そのうちの一部だけを出資することができます。
この場合、株主総会議事録や総数引受契約書に記載する現物出資財産の内容の記載方法については、「平成〇年〇月〇日付準消費貸借契約(債務承認契約)にもとづく金●●円の金銭債権のうち、金●●円に満つるまで」と記載すれば足ります。
3.全額を資本金に計上する必要があるか?!
DESを行う目的のひとつに、バランスシートの負債を減らしたいということがあると思うのですが、この目的を達成するには、全額を資本金に計上せず、出資を受けた価額の2分の1を資本準備金に計上するという方法を取ることでも代えられます。
登録免許税は増加する資本金の額に課税されますから、増加する資本金の額を抑えることで登記費用の節約になりますね
*ただし、法人市府民税は資本金・資本準備金の合計で算出されるので、法人市府民税の節約にはなりません。
4.弁済期が到来した債権である必要・・・?
現物出資の目的とすることができる債権は、弁済期が到来していることが必要ですが、この「弁済期が到来しているか否か」については添付書面の中で証明する必要はないため、特に会社が期限の利益を放棄していないことが会計帳簿の記載から明らかでない限りは受理されます(平18.3.31法務省民商782号民事局長通達第2部第2 3(2)ウ(エ)d)
*今回、準消費貸借契約と現物出資の日を同一日にしたのですが、この点、理論上は債務者が期限の利益を放棄することもできるため、契約日に即期限の利益放棄・喪失というのは違和感ですが、法務局からも何の指摘もなく登記が完了しました。
<みさき司法書士事務所>