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2016.07.06
相続【法定相続情報証明制度(仮称)の新設】
法務省が7月5日、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度(仮称)」を来年度に新設すると発表しました
現在は、相続の手続を行う場合、被相続人の出生~死亡までと、相続人の戸籍謄本書類一式を、法務局や各金融機関、各役所にその都度、原本の提出をする必要があります。戸籍の原本は確認後に還付されるとはいえ、1通しかない場合は一カ所ずつ順番に手続を行うことを余儀なくされますから、戸籍の提出先が多ければ、それだけ手続き完了までに時間がかかっているのが現状です
(全部の戸籍を複数枚ずつ用意すればよいだけの話なのですが、その分費用が高くつくので、戸籍を1通ずつ取って使いまわすことが一般的です。)
この法定相続情報証明制度は、最初に戸籍一式を法務局に提出すれば、法務局が法定相続人の証明書を発行してくれますそして、この証明書を戸籍謄本の原本一式に代えて各金融機関や役所などに提出することで、戸籍謄本の原本の提出が省略できます。証明書が数枚あれば、同時並行に各所での相続手続きを進めることができるようになりますから、今までよりも迅速な手続きの進行が可能になると考えられます
ところが、各金融機関では相続関係の確認が簡易になるため、大幅なコスト減になる一方で、各法務局では相続登記の申請に関して提出される戸籍謄本の他に、戸籍の確認業務が増えることで、通常の登記業務の方にも(登記の完了が今より遅くなる等)影響を及ぼさないかが心配です
また、現在の発表では、申請人側で作成した相続関係図を基に、法務局がそれを証明するカタチで証明書を発行するとのこと。どのような証明書として交付されるのかは謎ですが、簡単に偽造できないようにして欲しいですね。
ただ、この制度が新設されても、戸籍謄本の提出に代えて法定相続情報証明書を提出すれば、法定相続人を証明することができるに過ぎず、遺産分割を行う場合には遺産分割協議書の添付が必要となりますから、少し便利になったという程度でしょう。
今まで通り、戸籍を全て集めるという作業は軽減されません。
窓口に行けば、被相続人の出生~死亡までの戸籍と、被相続人の法定相続人の戸籍一式がポンっと出てくるようになれば、一般の方にとって、手続が容易になるので、いいと思うんですけどね~。
<みさき司法書士事務所>
コメント
dachshundさん
こんにちは。
司法書士試験お疲れさまでした。
現在の発表によれば、法務局は相続登記がある場合に限らず、証明書を発行することになりますので、間違いなく余分な戸籍の確認事務が増えることになると思います。
証明書がもし「承認する」内容のハンコで済むのであれば、ハンコを偽造すれば、証明書そのものを偽造できる恐れもあるため、心配に思っています。
便利な制度だとは思いますが、懸念事項もそれなりにあるので、慎重に進めていただきたいところですね。
- 2016.07.07 11:13
- 三輪
こんばんは、ご無沙汰しています。
これ、相当便利になると思いました。
親父が亡くなった時に、小口の銀行預金がたくさんあって、銀行回りだけで1日掛かりました。
戸籍一式を揃えて銀行に提出する訳ですが、銀行ごとに戸籍をチェックするのですから時間が掛かります。各銀行の預金を引き継ぐ相続人を遺産分割協議書で規定し、一緒に提出したのですが、銀行側では、遺産分割協議書に参加している相続人が全員である事を確認した訳ですよね。
それを法務局がやってくれる訳ですから、楽になると思いますよ。法務局としても不動産登記の時にやる作業ですから、特に仕事量が増える訳でもない様に思いますが。
証明書も、たぶん「承認する」という内容のハンコを押すだけではないでしょうか?
- 2016.07.06 21:23
- dachshund
お疲れ様です。
本試験は、択一はうまく行ったのですが、不動産登記の記述でミスをしてしまい、記述の基準点がクリアできるのかどうかと気を揉んでいます。
待つしか手がないですけど。
実務の面では、色々、難しいのですね。
法務局が発行する証明書の件、裁判上の担保供託の取戻請求の所で出て来た「書記官がする、供託原因消滅の奥書証明」の話が頭にありました。講義では「これは専用のハンコがあって、書記官は、ハンコを押すだけだ」と習ったものですから、今回の証明も、そんな物かなと安易に考えてしまった次第です。
失礼致しました。m(__)m