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2015.09.26
不動産登記【養育費等を被担保債権とした抵当権設定】
離婚に伴って発生する給付債権等を担保するため、
債務者や保証人の所有する不動産に抵当権を設定することができます。
給付債権等には何が含まれるかというと、
一般的には①養育費、②慰謝料、③立替金(配偶者の婚姻前の債務の返済を立て替えたなど。)が考えられます
ありそうでなかったこの抵当権設定登記ですが、この度依頼を受けて登記を行いました。
立替金に関しては、そのままでは金額や返済等が確定できないため、
債務承認契約を行い、3つの債権をまとめて、
【(あ)年月日養育費債権(い)年月日慰謝料債権(う)年月日債務承認契約年月日設定】という登記原因としました。
この抵当権設定を行うにあたり、次の疑問について検討しています。
(私が勝手に疑問に思っただけかもしれませんが。)
1.将来に渡り発生する養育費の総額を被担保債権とした抵当権の設定が可能か。
⇒可能(最判昭33.5.9)。
「年月日養育費債権・慰謝料債権の年月日設定」との登記原因で登記できる(登記研究355号)。
2.養育費の債権者は、子ではなく母親なのか。母親として抵当権を設定し、母親に相続が発生した場合、母親の相続人として新しい配偶者や異父兄弟がいた場合、その者も養育費債権を相続することにはならないか。
⇒養育費は性質上、子供のための費用ですが、離婚給付契約と考えれば、やはり母親が債権者となりそうです。
(ただし、子供は子供で法定の扶養される権利がありますので、契約がなくても養育費の債権者にはなれます。)
今回は契約によって、母親が債権者となっているので、母親を抵当権者とした抵当権で問題ないということです
後者の問題については扶養義務も相続することを考えれば、養育費債権も相続するのは当然と考えてよいのかなと思い、処理しました。
3.債務承認契約を原因とした抵当権の設定は可能か。
⇒当該債務承認契約が単に残存の債務を承認し、その弁済方法を定めたものではなく、新たな債権契約と認められる場合は、受理される。(昭58.7.6民三3810号)
などです。
なお、全ての契約(抵当権設定契約含む)は公正証書により一括して行いました。
普段は住宅ローン等を被担保債権とした抵当権の設定が多いため、
被担保債権が特殊な抵当権設定の依頼があると、頭を使いますね。
<みさき司法書士事務所>