ブログ
2015.06.16
相続【受遺者が先に死亡した場合の遺言の効力】
最近、遺言書を作成するにあたり、検討した事項について綴ります。
遺言者よりも先に受遺者が死亡してしまった場合、遺言の効力は原則として生じません。
では例外は?と思うところですが、例外として、次のような判例があるようです。
「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である。
(最高裁判決平成23年2月22日)
つまり、「受遺者が先に死亡した場合には代襲者その他の者に遺産を相続させる旨」の意思が当時の事情及び状況などから推定できるという特段の事情があれば、代襲相続の効力が生じることもあるようです。
とはいえ、あくまでも「特段の事情」がある場合に限ります。
何が「特段の事情」に該当するのか明確な基準はありませんから、心配ですよね。
このような場合に備え、補充遺言を残しておくことができます。
例えば、
第1条(遺言)
遺言者は、遺言者の所有する全財産を次の者に相続させる。
第2条(補充遺言)
遺言者は前条に記載の者の中で、遺言者の死亡以前に死亡した者がいる場合には、前条によりその者に相続させるとした財産を、その者の子に(複数の場合は均等に)相続させ、又は遺贈する。
というような遺言の書き方をしておくこともひとつの方法です。
<みさき司法書士事務所>