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2015.01.07
成年後見【申立権者・四親等以内の親族とは】
最近、にわかに成年後見の申立の相談が増えてきたなぁと実感しています。
多くはご家族からの相談ですが、ケアマネジャーさんからの相談等も多いです。
特に、ケアマネジャーさんからの相談に多いのは、
「身寄りがないから、申立人がいない。本人に財産管理ができないので、仕方なく自分がお世話している。」というケースです。
金銭管理だけでいえば、地域の社会福祉協議会(「社協」と呼ばれることが多いです。)に依頼すれば、やってもらえることも多いですが、
将来的な面で考えれば、やはりどこかのタイミングで成年後見人を選任しなければならないことは自明です。
さて、成年後見開始の審判申立ての申立人となることができるのは、
本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官が一般的です(民法7条)。
四親等内の親族について、どこまでが含まれるかですが、
民法上、親族の定義は六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族の範囲に属する者をいいます(民法725条)。
このうちの四親等内と範囲が限られていますので、
四親等内の血族と三親等内の姻族は、四親等内の親族として、成年後見の申立権者になれるということになります。
四親等内の血族というと、本人にとっての「両親」「祖父母」「子」「兄弟姉妹」「甥姪」「いとこ」「甥姪の子」などがその例ですが、
三親等内の姻族ともすれば、本人にとっての「配偶者の両親」「配偶者の祖父母」「配偶者の兄弟姉妹」「配偶者の甥・姪」などがこれにあたります。
正直・・・・他人です(めちゃくちゃ仲の良い親族であれば別ですが…。)
近くに住んでいて交流がある方なら別ですが、遠方に住んでいて、ほとんど連絡も取っていなかったような
三親等内の姻族の方に、成年後見の申立をお願いしても、快く承諾してくださる方はなかなか居てませんよね。
(しかも、相続権はないし。)
申立人となるべき親族がいない場合(又は親族があっても親族が申立を行おうとしない場合)には、老人福祉法32条、知的障害者福祉法第27条の3及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第51条の11の2により、市町村長も申立をすることができます。
市町村長による申立は、支援者や支援機関、関係者などからの発見・要請・相談によってスタートすることがほとんどですので、「申立人がいないが、成年後見人の選任が必要だ」という場合には、各自治体の窓口にてまずは相談をすることが必要です。
なお、民法7条によれば、本人も成年後見開始の審判の申立をすることもできます。
判断能力のない者に手続き行為能力が認められるのかという点については、家事事件手続法118条により、
特別に認められています。
もっとも、その場合でもあくまでも意思能力は必要ですので、その意思能力すらない場合には本条によっても自ら有効に手続きをすることはできないと考えられます。
<みさき司法書士事務所>