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2014.03.18
相続【遺留分の生前放棄】
困った息子、困った娘に絶対自分の財産を相続させたくないというご両親は結構多いかと思います
ところが、遺言を書いたところで、子供には遺留分という最低限保証された相続取り分はありますので、
全く相続分を残さないというわけにもいきません。
相続人の地位そのものを奪ってしまう相続排除という家庭裁判所の手続きもあるのですが、
判例で相続排除が認められたケースというのは限られています。
<相続廃除が認められた例>
■娘が暴力団員と結婚し、父母が婚姻に反対なのに父の名で披露宴の招待状を出した場合
(東京高裁決定平成4年12月11日)
■アルコール中毒症のため病気療療養中の夫である被相続人と子らをおいて使用人と駈け落ちし、そのため、これに痛憤しかつ悲嘆にくれた夫が自殺した場合
(新潟家裁高田支部審判昭和43年6月29日)
■長男が父の金員を無断で費消したり、多額の物品購入代金の支払いを父に負担させたうえ、これを注意した父に暴力をふるい、その後家出して行方不明になっている場合
(岡山家裁審判平成2年8月10日)
■夫が賭博行為を繰り返して作出した多額の借財をすべて被相続人に支払わせ、かつ、妻子を顕みず、愛人と同棲して同女との間に男児をもうけ、愛人との生活を清算する意思もない場合
(青森家裁八戸支部審判昭和63年9月7日)
そのため、相続排除を行うというのはあまり現実的ではありませんね。
(上記の判例のケースよりもっとひどいことをされたという人はぜひ相続排除をご相談ください!!!)
じゃあどうすればいいの!?という話ですが、ひとつの可能性として…生前の遺留分放棄があります。
あまり知られていないのですが、
遺留分というのは、被相続人の生前に、遺留分を有する推定相続人に放棄させることができます(民法1043条)。
(遺留分を有する推定相続人から家庭裁判所への申立が必要です。)
もちろん、遺留分を有する推定相続人が任意に申し立てることが必要ですので、
嫌がっているところを無理やり手続きすることはできませんが
しかし、いくらかお金を渡して(生前贈与)、生前に遺留分を任意に放棄させることもできますので、
ひとつの相続対策の手法として、遺言との組み合わせで考えられるのではないかと思います。
推定相続人との交渉は必要ですが。
相続って本当にややこしいですね。
<みさき司法書士事務所>