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2014.03.07
訴訟【富山地裁判例から考える本人訴訟支援の可能性】
司法書士は、司法書士法第3条1項4号を根拠として、
裁判所に提出する書類の作成権限があります
最近でこそ簡易裁判所の代理権を得て、簡易裁判所においては
弁護士のように訴訟を本人を代理して行うことができるようになりましたが、
地裁、高裁、最高裁や家庭裁判所においては代理権はありませんので、
司法書士法第3条1項4号の書類作成権限を根拠に、
多くの司法書士が書類を作成&提出し、送達先を司法書士事務所に指定するなどして、
実質の訴訟追行をしていることかと思います。
ただし、司法書士は代理人にはなれず、あくまで書類の作成及び提出&受領までしかできませんので、
本人に裁判所に出頭していただく必要がありますし、本人に代わって交渉などもすることはできません。
これを司法書士は本人訴訟支援と呼んでいたりするのですが、
その本人訴訟支援のあり方を根底から揺るがすような地裁判例があります。
平成25年9月10日富山地裁判決(確定)では、
司法書士が受任して作成した原告本人名義にかかる訴状等によって提起された
過払金返還請求訴訟について、弁護士法72条、民事訴訟法54条1項に違反し、
不適法であるとして訴えが却下されています。
(詳しくは判例時報2206号P.111~P.120)
弁護士法第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
民事訴訟法第54条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
この判決では、
本人にきちんと書面の中身を説明し、どういった主張をするのか、プロセスを説明した上で、
本人からハンコを押してもらって裁判所に提出しているかどうかが決め手になっているような気がします。
地裁判例なので、最高裁判例までの強力な力はないと思いますが、
今後、何かとこの判例が被告側の主張として引き合いにだされることになるのは間違いないでしょう。
あくまで司法書士は簡易裁判所以外では代理人になることはできないのですから、
本人との打ち合わせをしっかり行い、本人の納得の上で本人訴訟支援を行うべきでしょうね。
<みさき司法書士事務所>