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2013.12.19
相続【相続させる旨の遺言について】
遺言を書く際に、気を付けるべきなのは、その文言です。
多くの場合、遺言を書くときに思いつくのが「遺贈する」とか「贈与する」、「相続させる」などの言葉です。
いずれも遺言者の死亡により、ただちに受遺者に対して所有権移転の効果が生ずる点では同様です。
しかし、対象財産に不動産がある場合には、登記手続きの点において、
「相続させる」と記載する方が相続人にとって有利となることがあります。
判例では、
特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、特段の事情のない限り、遺産分割方法の指定をなしたものと解すべきであり、当該遺産は、特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡時に直ちに当該相続人に相続により承継される(最判平3.4.19)。
とあります。
これを受けて、不動産登記の手続きにおいては、
「遺贈する」と記載がある場合に、受遺者と全相続人(又は遺言執行者)との共同申請が必要であることに対して、
「相続させる」と記載がある場合には、受遺者から単独で申請することができることになります。
また、第三者に対する対抗要件の点では、
「遺贈する」と記載がある場合には、登記が対抗要件であることに対して、
「相続させる」と記載がある場合には、登記なくして第三者に対抗することができます。
以上の点から、遺言によってある特定の相続人に対して特定の財産を与えようとする場合、
「相続させる」との文言を用いた方がメリットの多いことがわかります。
このため、実務上はこの表現がもっぱら使用されています。
私も依頼を受けて遺言案を作成する際には、必ずこの表現を用います。
なお、相続人ではない人物に遺言で財産を残す場合には、「相続させる」との文言を用いたところで、
(遺言は無効ではありませんが)遺贈と同じ扱いを受けますので、前述のメリットはありません。
<みさき司法書士事務所>