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2013.01.25
不動産登記【耕作権と底地を交換するメリット】
耕作権と底地の所有権の等価での交換、最近よく聞く話題なので続けて書きます
相談者の多くの場合は、地主さんから「交換しないか?」と相談を持ちかけられているみたいです。
一見、耕作権と交換に所有権をもらうなんて、地主さんからしたら損なのでは?と思ってしまいます。
耕作権と交換して、少しでも土地を減らしてしまいたい理由(交換したいメリット)はどこにあるのでしょうか。
そもそも、小作農地の地主さんには大きなデメリットがあります。
デメリット①相続が発生した場合の相続税の負担が大きい。
デメリット②普段は農業をしていないため、農業相続人が農地を相続した場合の納税猶予の特例が適用されない。
デメリット③農地の存在する場所によっては、地代より固定資産税の負担額が大きい。
デメリット④宅地等に転用して売却したくても、農地法の許可が下りず、なかなか一般の人には売れない。
パッと挙げてみても④つはあります。(他にもあったら教えてください。)
そのため、先祖代々の農地を持っていても、持て余しているケースが割と多いんです。
へたしたら、相続税破産とかになりかねませんから
ですから、地主さんが少しでも農地を手放したいというのはよくわかります。
メリットは、自ら使っていない、また、譲渡の自由もない農地に課税されずにすむというところでしょうか。
では、耕作権者が耕作権と所有権を交換してもらうことでどのようなメリットがあるでしょう?
耕作権者にはもともと次のようなデメリットがあります。
デメリット①耕作権も相続税の課税対象となる。
デメリット②転用や譲渡が自由にできない。
デメリット③相続税の納税猶予の特例は適用があるが、ずっと土地を耕作できる権利が存続する保証がない。
(特例を受けるには、後継者が20年間農業を継続しなければなりません。)
耕作権者だって、どうせ課税されるんだったら、
せめて将来存続が確実な物権である所有権に課税されたいですよね?
というわけで、両者の利害が一致することになるのです。
この交換についてはなかなか知っている司法書士自体が少なく、司法書士の業務分野としては、
今後、業界として知識の蓄えが必要な分野であると、私は感じています。
<みさき司法書士事務所>