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2013.01.29.
相続【自死遺族支援】
こんにちは。
昨日も大阪司法書士会の研修を受けてきました
昨日は弁護士の先生をお招きして、
「法律専門職による自死遺族支援の取り組み」についてお話を聞かせていただきました。
自死遺族をとりまく法的問題には特殊性があり、
通常の相続のご相談をいただく場合に比べて、
例えば、自死の方法によっては損害賠償請求されるかもしれないという問題や、
労災請求や生命保険の請求ができるかどうか、
借金はなかったかどうか(連帯保証人はいるか)、
自死の原因によっては損害賠償請求ができるかどうか、、、など、
たくさんの法的問題が絡まりあっています。
そして、これらの問題に対処するにあたって、
遺族の方の体調や精神面に無理のないように配慮しながら取り組まなければならない点、
他の相続のご依頼の場合と比べて大変対応が困難となります。
この、メンタル面に配慮できるかどうかというところは、
法律専門職がどの程度、うつ病、自死問題や自死遺族支援について理解があるか、
対応スキルがあるかで変わると思います。
まだまだ私にはスキルが足りていないと思いますので、
もっと深く学んでいかないといけないな~と感じております。
ところで、私いままで知らなかったのですが、
生命保険は、自死の場合は支払われません(保険法第51条1号)。
(もちろんこれは知っていましたよ。)
生命保険約款でも、通常は保険者の責任開始の日から3年以内に自死した場合には
支払わないとしていることが多いのですが、実は、例外があります。
うつ病に罹患していたことにより自由な意思決定によって自己の生命を絶ったものとはいえない場合
には、免責期間内の自死でも生命保険が支払われることがあります。
(大分地裁平成17年9月8日判決、奈良地裁平成22年8月7日判決)
これは私も知らなかったです。
まぁ、生命保険の代理請求は司法書士の職域ではないのですが、
知識としてはへぇ~と思いましたので、忘れないようにここに残しておくことにします
<みさき司法書士事務所>
2013.01.27.
成年後見【行動障害への理解と対応】
こんばんは。
今日も昨日に引き続き、成年後見に関する研修を受けてきました。
今日は精神科医の先生をお迎えして、認知症や精神疾患の場合の、行動障害への理解と対応についてお話していただきました。
ひとえに認知症と言っても、認知症には種類があり、種類ごとに特徴があります。
普段私たち司法書士は成年後見のお仕事をする中で、当然認知症がある方等と接する機会が大変多いわけなのですが、その症状の特徴などをよく把握して対応できているかと言われると、微妙です。
しかし、本人を支えているご家族や、現場で本人を支援してくださっているケアマネさん、ヘルパーさんなどと情報を共有し、一緒に本人を支援していくには、これらの症状への理解がなくては話になりません。
これから、間違いなく成年後見の仕事はどんどん増えていくでしょう。
専門職後見人は、「財産管理」をすればそれだけでいいのか?というと、私はそうではないと思います。
私たち専門家が、どのようにしてご家族と本人さんに寄り添い支援していくか、専門家に何ができるかが問われる時代がきていると思います。
任意後見人ではない法定後見人は、専門職がなる場合には家庭裁判所の選任ですから、ご家族が自由に選べるわけではありません。ですから、どんな人が後見人に選任されるかは、選任されてみないとわかりません。
今私が後見人をしている方たちも、たまたまご縁があって出会ったわけです。
「あなたが後見人になってくれて良かった」と言っていただけるような、感動していただける仕事をしたいものです。
(もちろん、心がけております!)
常に最新の情報を仕入れるためにも、日頃からの勉強は欠かせませんね。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.26.
成年後見【成年後見申立の留意点】
今日は土曜日で事務所はお休みですが、大阪司法書士会での研修がありました。
研修の内容は、成年後見に関することです。
参与員(家庭裁判所で成年後見申立の審理に関与する人です。)の先生をお迎えしての研修でした。
家庭裁判所の親族後見人への風当たりは、やはり強い傾向にあるみたいです。
親族後見人となる方は、十分に注意して後見事務を行っていただきたいです。
参考になったのは、申立時の留意点です。
①財産目録について
親族であっても本人の財産の把握は難しいですし、金融機関も個人情報だと言って、後見人就任前は、親族であろうとなかなか教えてくれません。ですから、申立時に財産目録へ100%確実に記載できるとは限りません。
このような場合には、わかる範囲で財産目録は記載してもらい、本人の財産について知っている事項、心当たりのある事項については事情説明書のようなものを別紙でつけておけばよいとのことでした。
例えば、○○銀行○○支店に口座があったはず、遺産分割がまだ済んでいない…など。
そうすることで、就任した後見人が財産の調査を行いやすくなるからです。
②申立書が後見人候補者の判定基準となる!?
後見人候補者と申立人が同一人物である場合には、申立書がいかにきちんと作成されているかということが、後見人候補者を後見人とするかどうかの重要な判定基準となるようです。なぜなら、後見人となる人物は、本人の財産をきちんと管理し、裁判所に毎年報告書を提出する必要があるためです。
ですから、ずさんな申立書やその付属書類を提出するような人だと、裁判所は安心して任せられない…という内情があるようです。具体例は、収支目録では黒字なのに、実際に通帳などを確認すると赤字であったり、使途不明金が発生している場合などです。
ご親族が申立を行う場合、そして、ご親族が後見人となる場合には、ぜひこの点に注意されて、申立を試みてくださいね
弊事務所では申立書作成のお手伝いもさせていただきますので、ご自身で作成されるのが困難な方はぜひお問い合わせください。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.25.
不動産登記【耕作権と底地を交換するメリット】
耕作権と底地の所有権の等価での交換、最近よく聞く話題なので続けて書きます
相談者の多くの場合は、地主さんから「交換しないか?」と相談を持ちかけられているみたいです。
一見、耕作権と交換に所有権をもらうなんて、地主さんからしたら損なのでは?と思ってしまいます。
耕作権と交換して、少しでも土地を減らしてしまいたい理由(交換したいメリット)はどこにあるのでしょうか。
そもそも、小作農地の地主さんには大きなデメリットがあります。
デメリット①相続が発生した場合の相続税の負担が大きい。
デメリット②普段は農業をしていないため、農業相続人が農地を相続した場合の納税猶予の特例が適用されない。
デメリット③農地の存在する場所によっては、地代より固定資産税の負担額が大きい。
デメリット④宅地等に転用して売却したくても、農地法の許可が下りず、なかなか一般の人には売れない。
パッと挙げてみても④つはあります。(他にもあったら教えてください。)
そのため、先祖代々の農地を持っていても、持て余しているケースが割と多いんです。
へたしたら、相続税破産とかになりかねませんから
ですから、地主さんが少しでも農地を手放したいというのはよくわかります。
メリットは、自ら使っていない、また、譲渡の自由もない農地に課税されずにすむというところでしょうか。
では、耕作権者が耕作権と所有権を交換してもらうことでどのようなメリットがあるでしょう?
耕作権者にはもともと次のようなデメリットがあります。
デメリット①耕作権も相続税の課税対象となる。
デメリット②転用や譲渡が自由にできない。
デメリット③相続税の納税猶予の特例は適用があるが、ずっと土地を耕作できる権利が存続する保証がない。
(特例を受けるには、後継者が20年間農業を継続しなければなりません。)
耕作権者だって、どうせ課税されるんだったら、
せめて将来存続が確実な物権である所有権に課税されたいですよね?
というわけで、両者の利害が一致することになるのです。
この交換についてはなかなか知っている司法書士自体が少なく、司法書士の業務分野としては、
今後、業界として知識の蓄えが必要な分野であると、私は感じています。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.24.
不動産登記【事前通知】
所有権を譲渡する際には、登記の申請時に不動産の権利証が必要です。
しかし、不動産の権利証を紛失した場合に、所有権移転登記の際に権利証に代えて、
「司法書士作成の本人確認情報」又は「事前通知制度の利用」を使えば、名義変更ができます。
というお話を、以前のブログで書きました。
つい先日、権利証を紛失された方の登記の申請を、事前通知制度を利用して行いました
(実は、事前通知制度を利用するのは初めてでした)
事前通知は、所有権移転登記の申請が入ると、
法務局から登記義務者宛に、本人限定受取郵便で郵送されます。
登記義務者は、受け取った後、署名及び実印で書類に捺印し、2週間以内に法務局へ返送する必要があります。
(2週間以内に法務局に届かなければ登記申請は却下になります。)
ところが、所有権移転登記の申請から数日後、登記義務者の方から、
「これ、届いたんだけど、どこに送ったらいいの??」と連絡がありました
そのまま管轄の法務局に返送していただきたかったのですが、
万が一間違った法務局に返送してしまうと大変なことになりますので、
「法務局から返送用封筒ついてないのか!?」と内心ツッコミながら、
管轄の法務局宛の返送用封筒を登記義務者の方に宛てて、速達で郵送させていただきました。
事前通知の手続きをとる時は、法務局に登録免許税以外の手数料支払ってでもいいから、
登記義務者にもっと手厚く対応してもらえたら(具体的には、返送用封筒つけておいて欲しかった。)
良いのにな~っていうのが、私の所見です
2013.01.21.
相続【預貯金の相続】
預貯金の相続手続き(口座の名義変更や解約)は具体的にどう進めたらよいのでしょうか。
預貯金や株式等の口座は、名義人が死亡したことがわかると、すぐに口座が凍結してしまいます。
凍結後に預貯金を解約したり、現金を引き出そうとするときは、相続の手続きが必要になります。
不動産の名義変更を行う場合は、相手は法務局ですし、全国一律申請の様式はほぼ同じなのですが、金融機関の場合には、相続の手続きを行うにあたり、様式が金融機関によって様々です。
ですから、ご自身で手続きを行う場合には各金融機関の窓口へ行って、相続の手続き書類をもらってくる必要があります。
申請書は金融機関によって異なりますが、共通して必要な書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍、相続人の印鑑証明書です。
戸籍は相続人のうちの1人でも取得することができますが、印鑑証明書だけは他の相続人の協力が必要になりますから、できるだけ早めにお願いしておくとよいでしょう。
預貯金等の相続は、遺産分割をしない限りは、法定相続分での相続になります。
金融機関によっては、法定相続人ごとに、法定相続分のお金を振り込んで支払ってくれるところもありますが、代表相続人への全額支払によって対応する金融機関もあります。
この場合に誰を代表相続人とするかは、よく話し合っておきましょう。
ご自身で手続きをするのが困難な場合には、弊事務所でも手続きを行うことができます。
金融機関の書類収集から戸籍の収集まで全て弊事務所で行います。
お困りごとがございましたらぜひご相談ください。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.20.
相続【内縁配偶者の相続権】
内縁配偶者に相続権はありますか?
という質問について、
答えは、原則として相続権はありません。
民法では、相続人は被相続人の妻の他に、
第一順位子
第二順位子がいないときは親
第三順位親がいないときは、兄弟姉妹
が相続人になるという旨が定められています(法定相続人といいます。)。
(妻が離婚や他界でいない場合には、子、親、兄弟姉妹が順番に相続権を獲得します。)
そのため、被相続人に内縁の配偶者がいた場合でも、上記のように、
相続権は法定相続人にあるため、内縁配偶者は相続人になることができません。
ただし、例外があります。
法定相続人が誰もいない場合に限ってですが、
特別縁故者である旨を裁判所に申し出て、認めてもらうことができれば、
内縁の配偶者にも相続権が発生する場合があります。
手続きや判例にについてはコチラのページをご覧下さい。
いずれにしても、手続きは時間もお金もかかりますし、
相続人がいない場合にしか認められていない制度ですので、
一番有効なのは、遺言を書いておいてもらうということでしょう。
遺言についてはコチラのページをご覧下さい。
内縁の配偶者が亡くなって、その法定相続人たちから、
被相続人と一緒に住んでいた被相続人名義の家を追われる…なんて最悪のケースにならないように、
日頃から、よく相続のことを話し合っておくのもよいかもしれませんね
<みさき司法書士事務所>
2013.01.18.
不動産登記【耕作権と底地権を交換した場合の譲渡所得税】
前回ちらっと書いたブログが思いのほか好評だったので、今回もちらっと書いてみます。
耕作権と底地権の交換した場合の税金について
耕作権とは、そこの土地を耕作する権利(賃借権、永小作権、使用貸借など)のことでしたが、いわゆる底地権とは所有権のことを指しています。
通常、固定資産(耕作権も含まれます。)の交換を行う場合には、譲渡所得税の課税対象となりますが、
所得税法第58条では、
・お互いにその固定資産を1年以上有していること
・譲渡後も譲渡前と同一の用途に供すること
・交換する固定資産の差額が、これらの価額のうちの評価が高い方の2割を超えないこと
を条件に、譲渡がなかったものとみなすと定めています。
ただし、要注意なのは、この特例の適用を受けるためには、
確定申告をきちんと行い、確定申告書にその旨を記載する必要があります。
ですから、通常は等価での交換を行って、非課税となるように、うまいこと土地の一部分を分筆します
そして、農地法3条の許可を受けた上で、所有権移転の登記を行います。
(耕作権の評価割合は、国税庁の路線価図でお確かめください。)
なお、交換特例の対象となる耕作権は、農業委員会に届け出ている耕作権に限ります
(届けずに耕作をしていることをヤミ小作と呼び、この交換特例の対象になりません。)
弊事務所では、主に契約書(登記原因証明情報)の作成及び所有権移転登記申請を行いますが、譲渡所得税の事前調査、土地の分筆、農地法の許可取得は、それぞれ提携先の税理士、土地家屋調査士、行政書士と連携して業務を行っておりますので、安心してお尋ねください。
<みさき司法書士事務所>
2013.01.15.
不動産登記【権利証を紛失した場合】
不動産の権利証はありますか?
権利証は、不動産の名義の変更時に必要となります。
どこのご家庭でも、大切に仏壇や金庫、貸金庫などに保管してあったりすると思います。
では、権利証を紛失してしまった場合は名義の変更ができないかというと、そうではありません。
権利証の提出に代わる方法が2つあります。
(なお、相続による名義変更の場合には権利証の提出は義務付けられておりません。)
1つ目は、事前通知制度の利用です。
権利証は、登記義務者が所有権を他人に移転するにあたり、その本人確認及び意思確認等の趣旨で添付が義務付けられています。紛失している場合には、法務局から登記簿上の住所地に宛てて、「こんな登記が申請されていますが、間違いないですか?」という旨の「事前通知」が本人限定受取郵便でなされます。
この通知を受け取ったら、義務者は2週間以内に署名捺印して法務局に返送します。
これで、権利証に代えることができます。
ただし、不動産売買などで、所有権の移転と代金の支払いが同時履行である必要がある場合には、この方法は避けるべきです。
なぜかといいますと、権利者が売買代金を支払ったのにも関わらず、義務者が登記に協力しなかった場合、トラブルになるからです。
同様の趣旨で、離婚の財産分与で不動産の名義を変更する場合にも、避けるべきかもしれません。。。。
2つ目は、司法書士の作成する本人確認情報の提出です。
司法書士が直接義務者本人に会い、面談をした上で作成する、本人確認情報と呼ばれる書類を法務局に提出することで、権利証に代えることができる制度です。
司法書士に与えられたこの権限は、登記の専門家としての信用があるからこそです。
司法書士の信用失墜となるようなことはしてはいけませんね。
誠実な仕事を心掛けます
ということで、権利証を紛失した場合でも、名義の変更は可能ですので、紛失したかもしれないと思っている方も、ご安心ください。
紛失した権利証を悪用されることが怖いという場合には、管轄の法務局に、権利証を紛失した旨を届け出ておくこともできます。ご不安な方は該当不動産の所在地を管轄する法務局まで相談してみてはいかがでしょうか?
<みさき司法書士事務所>
2013.01.10.
不動産登記【中間省略登記】
中間省略登記について、よく質問されることがあります。
中間省略登記というのは、売買によってA→B→Cと所有権が移転している場合に、
通常であれば登記はA→B→Cの順番で行う必要があるところ、
Bへの所有権移転登記を省略して、A→Cに直接所有権を移転する登記のことです。
間の登録免許税や司法書士費用が節約できるため、
中間省略登記をしたいという需要があるのです。
<実務上可能かどうかについて>
契約書さえしっかり作っていただければ可能です。
登記するには、無理やりな法律関係を築く必要があります
民法上は契約自由の原則ですので、無理やりに契約を結んでしまうのです。
なので、私は中間省略登記というより、無理やりに法律関係を発生させて、
中間省略「的」な登記をしているんだと認識しております。
司法書士は契約書に基づいて、申請書等を作成するため、
契約書がしっかりしていなければ、虚偽の申請を行うことはできないので、通常はお断りすることになります。
では、どういう契約書を作っていただきたいのかといいますと、
AB間、BC間の売買契約書の特約条項として、以下のような文言を入れていただきたいのです。
【AB間の売買契約書の特約条項】
(所有権の移転先及び移転時期)
買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む。)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定する者に対し買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として直接移転することとする。
(所有権留保)
売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先と指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとする。
(受益の意思表示の受領委託)
売主は、移転先に指定された者が本来売主に対して行うべき「所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与える。
(買主の移転債務の履行の引き受け)
買主以外の者に本物件の所有権を移転させるときは、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するために、その者に所有権を直接移転するものとする。
【BC間の売買契約書の特約条項】
(所有権移転の時期)
本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに、本物件の登記名義人から買主に直接移転する。
(第三者の弁済)
本物件は、未だ登記名義人が所有しているため、本物件の所有権を移転する売主の義務については、売主が売買代金全額を受領したときに、その履行を引き受けた本物件の登記名義人である所有者が、買主にその所有権を直接移転する方法で履行することとする。
詳しくは弊事務所までお問い合わせください。
<みさき司法書士事務所>