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2012.11.10

成年後見【平成23年度利用調査】

 こんにちは。
 土曜日ですが、今日も仕事です。

 実は2週間ほど前に、『介護関係の職業訓練を受けている方を対象に、外部からの実習講師?として、3時間程、成年後見制度について講義をして欲しい』と頼まれ、二つ返事、いや、三つ返事くらいで承諾しました(^_^;)
 来週いよいよその講義があるので、今日はレジュメを作るために事務所に来ております。
 せっかくなので、今日は成年後見人についての現状を少しご紹介できればと思います。




 平成23年度の成年後見等の申立件数について、最高裁の発表では、全国で31,402件。
 平成22年より約4.4%の増加となっております。
 そして、成年後見人等と本人との関係について、配偶者・親・子・兄弟姉妹・その他の親族が成年後見等に選任されたものが全体の約55.6%(平成22年は58.6%)、親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは、全体の約44.4%(平成22年は41.4%)と、専門職後見人が増加傾向にあります。

 これは、近年親族後見人による本人の財産の使い込み事例が多々発覚し、摘発されているケースが増えてきていることの影響もあると思います。
親族の立場からすれば、自己の財産と混同しがちになり、「少しくらい借りておいてもいいかな?」という安易な気持ちで本人の財産を使ってしまうのかもしれません。
しかし、ついうっかり…であったとしても、成年後見人等が本人の財産を自己のために消費することがあれば、「業務上横領罪」に相当し、刑罰の対象となります。なお、最高裁は「親族関係でも刑を免除しない」との判断を下しています(最判平24.10.9)。

 また、成年後見人等は裁判所に対して年に1度の報告義務がありますが、親族後見人の場合にはこの報告がきちんとできていないことが大変多いです。
 成年後見人等は、預貯金を解約する・不動産を売却する・施設入所契約をする際に、金融機関や不動産会社、施設側から必要だと言われて、とりあえず選任されるケースが多いですが、これらの事務が済んだあとも、本人が死亡又は成年後見人等が死亡・解任事由に該当しない限りは、ずっ~と続くんです。
 もちろん、毎年裁判所への報告義務も続きます。
 この報告がされていないということで、家庭裁判所が金融機関に職権調査をかけたところ、本人の財産が使い込まれており、ほとんど残っていなかった…というケースが多く、このような場合には、成年後見人は家庭裁判所から解任され、新たに専門職後見人が選任されることになります。
 ちなみに、選任される専門職後見人は弁護士や司法書士が多く、まずは前成年後見人に対して不当利得返還請求の訴えを提起して、お金を取り戻すところからスタートするんです…。
 (もちろん、訴えるまでに本人の財産が返ってくれば、和解になります。)
 こんないきなり親族と対立関係ができそうな後見、個人的にはあまりやりたくないのですが、まぁ、この話は置いておいて…。

 最近では預貯金等の財産が一定の額を超えるケースについては、親族が成年後見人等の候補者として申立されていても、第三者後見人が選任されたり、希望通り親族が成年後見人等に選任された場合であっても、監督人がつけられたりすることが多いと聞いています。

 もともと成年後見制度は本人保護のための制度ですから、本人の財産を守るためという趣旨のみを鑑みれば妥当な結果なのかもしれません。
ただ、「こんなに大変なことになると思わなかった」と思われるご親族もたくさんいらっしゃると思います。
 なので、申立の依頼を受けた専門家は、きちんと成年後見制度の趣旨について説明し、ご納得いただいた上で申立を行うべきですね。


  
 <みさき司法書士事務所>

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