2023.11.11.

不動産登記【本人確認情報の作成と添付書類】

こんにちは
気が付けば今年もあと2か月程となりました。早い!

不動産登記の申請の際に、権利証(登記識別情報)を紛失・失念されているときは、
事前通知又は本人確認情報作成の方法によります。(法人が事前通知を利用する場合

今年は本人確認情報を作る機会が多かったなぁ…と振り返りつつ、
色んな小ネタがありましたので、備忘録を兼ねてここに少し書いておこうと思います。

①運転免許証とは
本人確認情報には、資格者代理人が申請人が登記名義人であることを確認する際に提示を受けるべき書面は、
不動産登記規則72条2項に記載があります。
1号書類に定めがあるものは「顔写真付き身分証明書」とよく言われているものです。
具体的には、
「運転免許証」、「個人番号カード」、「パスポート(氏名・生年月日の記載があるものに限る)」、「在留カード」、「特別永住者証明書」、「運転経歴証明書」です。

ある取引で、本人確認のため、顔写真付き身分証明書の提示を求めたところ、「小型船舶操縦免許証」を提示され、
「国土交通省発行の運転免許証だからこれでいけるでしょ?銀行とかいつもこれでいけてるよ。」と言われました

しかし、条文をよく見ると、運転免許証とは、「道路交通法92条1項に規定する運転免許証をいう」ときちんと書かれておりますので、
これは使えないということがわかりました。

官公庁発行の運転免許証と言っても、何でもいいわけではないのです
迷ったときは、条文をよく読むことはとても大事です。

②顔写真のない本人確認書類(2号書類)
さて、顔写真付き身分証明書がない場合によく聞く、「顔写真のない本人確認書類2種類の提示」の話です。
いわゆる2号書類というもので、具体的には、次の通りです。このうち2つを提示です。
「国民健康保険」、「健康保険」、「船員保険」、「後期高齢者医療被保険者証」、「介護保険の被保険者証」、「健康保険日雇特例被保険者手帳」、「国家公務員共済組合員証」、「地方公務員共済組合員証」、「私立学校教職員共済制度の加入者証」、「基礎年金番号通知書」、「児童扶養手当証書」、「特別児童扶養手当証書」、「母子健康手帳」、「身体障害者手帳」、「精神障碍者保健福祉手帳」、「療育手帳」、「戦傷病者手帳」です。(いずれも住所・氏名・生年月日の記載があることが必要です。)

いつの間にやら「年金手帳」は含まれなくなったのですね
2022年4月に年金手帳が廃止されたそうで、今の若い子は年金手帳を交付されていないのだそうです
(自分も年とったな…
過去に発行された年金手帳も、2号書類には含まないようですので、要注意ですね。

そして、よく業者さんが勘違いされているのは、「マイナンバー通知カード」も2号書類だと思われているケースです。

今年あったのは、権利書は紛失したけど「マイナンバーカード(1号書類)あるから大丈夫です!」とおっしゃっていた売主様が決済当日に持ってこられたのが、
「マイナンバー通知カード」…  他には何も1号書類及び2号書類を持ち歩いておらず…。 さすがにこの時は決済流れました…
業者さん、事前に一応確認しといてください

それ以降、「マイナンバーカード」持ってますという方には、通知カードのことじゃないかをちゃんと確認するようにしています

③ 1号書類がない!2号書類はあるけど1枚しか用意できない!という何にもない人の場合
いやいや、そんな人おらんやろ…と思っていても実際にはいらっしゃいます
「決済まで時間的に余裕があるならマイナンバーカード作っといてぇ~」と思いつつも、そういう人には次のように対応します。

不動産登記規則72条2項3号では
「前号に掲げる書類のうちいずれか一以上及び官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、
当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載がるもののうちいずれか一以上の提示を求める方法」
と書かれています。

一般的には「住民票」「戸籍の附票」「印鑑証明書」「国家資格の合格証書」などが考えられると思いますが、
印鑑証明書は登記義務者としてそもそも添付するものなので、ここでは使えず、選択肢から除外されます。

今年私が経験したケースでは、「相続による所有権移転」と「不動産の売買による所有権移転」を連件で同時に行うパターン。
もともと持っておられた持分について、権利証を紛失されており、本人確認情報の作成が必要だったのですが、
相続登記で戸籍の附票が必要で添付していたため、連件で出すなら戸籍の附票も選択肢から除外され、最終的に「住民票」で本人確認をしました

ただ、住民票というのは登記官からするとやはりその人が本人であることの担保としては弱いようで、
住民票を添付する場合は、その住民票上の住所地へ行って、本人から住民票の提示を受け(←職務上請求は使わない。)、
ご自宅において本人確認をしたという事実があって初めて本人確認情報となりえます。
自宅の表札も写真に撮って、本人確認情報に添付しました

その他、私は、「世帯全員の住民票」を取得してもらい、その他のご家族の本人確認書類(1号又は2号書面)の提示を受けた上で、
申請人が自分の家族であり、本人に間違いないということを聴取し、本人確認情報に記載するようにしています。

これは自分を守るためでもありますからね~

以上が本人確認情報作成にまつわる今年のネタでした。

 <みさき司法書士事務所>

2023.08.05.

その他【保育士資格を取りました】

久しぶりの更新となってしまいました
色々な場で同業者と名刺交換するたびに、よくブログ見ていますよ!なんて言われるのですが、最近は忙しくて更新できておらず・・・。
ネタはたくさんあるので、今年もあと半年切ってしまいましたが、ちょっとずつ更新していきたいと思います

昨日は令和5年度保育士試験の合否発表があり、無事に合格していました
なんで業界も全然違うのに保育士と自分でも思うのですが、たまたま何か資格の勉強をしたいなぁと思っていたところに、
保育士試験の試験科目の中に「社会的養護」「社会福祉」「子どもの家庭福祉」という科目があり、
普段自分がやっている成年後見業務は「高齢福祉」、「障害福祉」の分野に属する仕事ですから、
そこに「児童福祉」の知識があってもいいのではないかと、ピーンときたわけです

保育士さんと言えば、保育園で働くイメージしか無かったのですが、勉強するうちに、児童福祉に関わる専門職で、様々な活躍の場がある尊い資格なのだと知りました。
勉強する中で、子供の権利や人権、今の日本での児童虐待の実態、児童養護施設等の利用実態なども知ることができ、本当に勉強してみて良かったです。

成年後見業務の中には未成年後見というのもあります。
大阪の家庭裁判所からは、司法書士にはなかなか未成年後見の事案が回ってくることはないのですが、
いつか私が担当することがあれば、保育士の知識を活かすことができるといいなぁなんて思います

余談ですが、二次試験の実技試験はこれまでにないような緊張でした
私は音楽と言語を選択したのですが(造形というのもありますが、絵心が無さすぎるので却下!!)、
音楽はピアノを弾きながら課題曲を歌うというものですが、ミスタッチ(というか、弾くべき音符を弾かずに落とした)が1回と、グランドピアノの音に比較して声が小さめだった気がするけど途中で気づいて声を大きくしてみたという状態で、50点中の35点
ピアノ経験はあったけど、人前でピアノ弾きながら歌を歌うなんてしたこともないので、まずそこも緊張です

言語は、課題の作品(桃太郎とか、おおきなかぶとか)のお話を3分間で素話するというものです
こちらは間違えることなく、止まることなく、子供たち(に見立てた椅子)に視線を配りながらスラスラ~っとお話を続けたものの、他の部屋から聞こえてくる受験生の方のお話がやたらお上手(日本昔ばなしみたいな感じすごい演技力)だったのに比較して、私って可もなく不可もない感じのお話だった気がします
さらに、10秒くらい余ったので、ニコニコしながら微妙な沈黙を続けて終了って感じで50点中の37点でした。

一緒に受けた人とかもいないので、他の受験生の方のレベルがわからず、自分は6割以上の合格点が取れているのかと不安な1カ月を過ごしました

なお、実技対策は、筆記試験の合格を自己採点で確信した後、ピアノは1カ月くらい前から毎日10分~15分くらい練習して、
言語は1週間前からいろんな人が配信しているyoutubeを見て、自分の中で落とし込んで・・・という感じでした。
試験の時の服装は、黒パンツに白ブラウスという綺麗目スタイルにして、念の為ネイルはOFFしました


これから受験される方の参考になれば幸いです

<みさき司法書士事務所>

2022.03.22.

不動産登記【信託目録の登記】

信託による所有権移転及び信託の登記を申請した際に、引っかかったことです

不動産登記法97条では、信託の登記の登記事項として、
信託目録に次の事項を登記する必要があるとされています。

1.委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
2.受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
3.信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
4.受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
5.受益証券発行信託であるときは、その旨
6.受益者の定めのない信託であるときは、その旨
7.公益信託であるときは、その旨
8.信託の目的
9.信託財産の管理方法
10.信託の終了の事由
11.その他の信託の条項

このうち、家族間で行う家族信託の場合には、1,2,8,9,10,11あたりが登記されることが多いと思います
司法書士が登記の際に頭を悩ませるのは、11ではないでしょうか

11には内容に特に制限はないため、信託契約書の中から、「これは大事そうだから登記して公示しておいた方がいいかなぁ~」と思われる内容をPICK UPして、登記することになります。
例えば、「原契約の公正証書の特定」「受益権の処分禁止に関する事項」「信託の変更に関する事項」「委託者の地位の相続」「受託者の任務の終了」「清算受託者及び清算事務」「残余財産の帰属権利者」などです。

ここで問題となるのが、契約内容の秘匿性についてです。

家族信託の場合、信託契約そのものが遺言とほぼ同じ役割をもって作成されることが多いため、
契約書の中には委託者が亡くなった場合などの残余財産の帰属先として、ある特定の人物の住所氏名生年月日を記載していることも多いのですが、それをそのまま登記してしまっては、遺言丸見えの状態になってしまいます・・・。

じゃあどうしたらいいのか・・・というところで、「残余財産の帰属先は・・・・原契約書記載の通りとする」というようにぼかしておくことが多いのですが、先日たまたま登記をする前に申請先の法務局に事前照会をかけてみたところ、
「これでは公示する意味がなくなってしまうので、ちゃんと詳細に書いてもらわないと困る」というようなことを言われました

でも、詳細を書きすぎると、それも困る・・・
そこで、事前照会の内容は無視してそのまま申請を出してみて、
どうしてもその部位が指摘されるようであれば、そもそも、その他の信託の条項は任意記載なので、
補正で削ってしまおう(事前に預かっておいた別verの登記原因証明情報と差し替えよう)という作戦をたてて申請を行いました

結果、担当したのが別の登記官だったのか、補正もなく「原契約書記載の通りとする」で登記が完了しました

 <みさき司法書士事務所>

2022.01.13.

不動産登記【遺産分割協議書に委任代理人が押印して登記申請を行う場合】

明けましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
長年業務をしていると、新たな発見も徐々に減っているのですが、何か有益で面白いネタが見つかり次第、細々とブログは続けていきたいと思います

さて、先日、遺産分割の協議及び調印を委任代理人の弁護士さんが行った遺産分割協議書を添付して登記の申請を行いました。
事前に先例を調べたところ、
「遺産分割の協議を委任代理人に行わせ、その協議書を添付して登記の申請があった場合、
遺産分割協議書に代理権限を証する書面の他、署名押印した代理人の印鑑証明書を添付していれば受理して差し支えない。」
(昭和33年7月9日民事甲第1379号)

という先例がありました。

相続人から弁護士さんへの代理権限を証する書面(委任状)はどうすれば良いのか・・・・と悩みました。
そもそも、遺産分割協議に関する委任なのか、遺産分割協議書への調印に関する委任なのかも先例からは不透明です。
(書き方的に、遺産分割協議に関する委任とも捉えられる気がしますが・・・。)

そこで、無難に、
「私は、今般、上記の者に対し、被相続人○○(●●年●月●日生、死亡時本籍:~~~~)の遺産相続に関し、相続人との間で別紙の通りの遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に調印することを委任します。」と書いて、別紙に調印前の遺産分割協議書を合綴した委任状を作成しました
両方委任事項に入れて、さらに調印予定の遺産分割協議書を合綴しておけば文句のつけようがないだろうと

気を付けたいところは、代理人となった弁護士さんには個人の実印での調印と、個人の印鑑証明書の提出をお願いしないといけないところです。
弁護士会発行の職印証明書では、官公所発行の印鑑証明書とは言えないので、登記には使用できません
通常その時点でほとんどの先生は嫌煙されると思うのですが、今回はどうしても代理人として調印する必要があったという事案でしたので
(委任状に記載の代理人欄にも個人の自宅住所を書いていただく必要があります。)

特に法務局に事前の照会などはしませんでしたが、普通に登記が完了しましたので、ひと安心です。

 <みさき司法書士事務所>

2021.12.02.

不動産登記【買戻し期間の満了日】

久しぶりの買戻し特約の抹消
最近では年に1,2件見かけるくらいなので、期間満了日がいつになるのかの計算が、毎回悩みます

備忘録としてブログに残しておこう・・・。

例①
買戻し期間が 平成10年10月1日から10年間 となっている場合
⇒満了日は  平成20年10月2日満了 

例②
買戻し期間が 平成20年10月1日まで となっている場合
⇒満了日は  平成20年10月2日満了

いずれの場合でも翌日の0時をもって満了ということになります
ブログにまで書いたので、さすがに次は忘れないように思います

<みさき司法書士事務所>

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