2018.12.26.
商業登記【合同会社の有限責任社員の役員報酬】
先日、知り合いが節税のための法人を作るということで、合同会社の設立を行いました。
知り合い自身が社員になるのはもちろんですが、スタッフさんにも役員報酬を出すため、社員に入れたいと相談を受けました。
合同会社は出資した者が全員「有限責任社員」となり、有限責任社員は定款記載事項となります。
その中でも業務を執行する社員については「業務執行社員」として登記事項となります。
さらに、業務執行社員の互選により定められた代表社員は「代表社員」として登記されます。
と、合同会社の社員の地位は3段階あるのですが、
登記されない「有限責任社員」でも、役員報酬はもらえるのかどうなのか・・・・?
登記しなくても良い「有限責任社員」でも役員報酬を出して良いのであれば、
もし将来スタッフが会社を辞めても、登記の変更をする必要がなく、コストがかからず済みます
気になって、仲の良い税理士さんに質問したところ、調べてくれました。
すると、
「法人税法では、役員については、取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものと規定されており、政令は、法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事している者と規定しています(法2十五、法令7)。この場合、持分会社については、業務執行社員が政令で規定する役員に該当します(会社法590、591)。それ以外の社員であっても、実際の経営に従事していれば、法人税法の役員として取り扱われることもあるようです(法基通9-2-1)。ただ、実際の経営に従事するわけでないのであれば、業務執行社員としてきちんと登記される役員に選任しておくのが安全ですよ。」との回答でした。
(もちろん、実際に労働している実態があれば、従業員としての給与を支払うことは問題ありません。)
危なかった・・・・
大変勉強になりました
<みさき司法書士事務所>
2018.12.12.
商業登記【NPO法人の解散・清算】
最近NPO法人の社員総会の決議による解散手続きを行いました。
NPO法人も株式会社の解散とほぼ同じ工程を踏みます。
①社員総会において解散決議を行うのと同時に清算人を選任(定款で清算人を定めている場合は不要)
↓
②解散と清算人就任の登記
↓
③官報公告に掲載
↓
④所轄庁に対して解散の届出(ここは株式会社と異なりますね)
↓
⑤清算人が清算結了に至るまでの間、残務の結了や資産の処分行為などを行う
↓
⑥清算結了登記
↓
⑦所轄庁に対して清算結了の届出(ここは株式会社と異なりますね)
株式会社ではその清算結了に至るまでの間の収支について、清算人は最終の株主総会で報告し、
承認を得たところで「清算結了」となるので、⑤と⑥の間に株主総会があるのですが、
どうやらNPO法人は最後の報告は清算結了の要件とはなっていない様子でした。
なぜなら、NPO法人の場合、残余財産があれば定款に従い、関連する団体へ寄付することが義務付けられているため、
清算結了の際に残余財産があるということがあり得ないからなのだと思います。
もし代表理事や関係者からの短期借入金の負債のみがあって解散するといったケースの場合には、
最終の清算結了登記の際に添付する清算事務報告書の中で、
債権者から債権の全額について放棄を受けた旨記載しておけば足ります。
(放棄を受けられないような負債がある場合には裁判所での倒産手続になります。)
また所轄庁に対して解散の届出をする前提として、
毎年の各種報告が出されていなかった場合であっても、合わせてこれまでの各種報告を行う必要はなさそうです
(大阪市に確認したところ、提出義務自体が免除されるわけではありませんが、もう解散する法人に対して、
提出を求めることはわざわざしていないとのことでした。)
<みさき司法書士事務所>
2018.11.14.
商業登記【一般社団法人と宗教法人】
一般社団法人は昔の社団法人と比較し、目的に制限もなく容易に設立することができ、
また、公益社団法人でなくとも非営利型の一般社団法人であれば、法人税が非課税となるため、
大変扱いやすく、任意団体の法人化として近年多く利用されているように思います
昨年の事となりますが、少しスピリチュアルな活動(?)を目的とした一般社団法人の設立のご依頼を受け、法人の設立を行
いました。
スピリチュアルな活動ですので、それが宗教かと言われるとそうでもないのかもしれませんが、
特定の対象について信仰しているということは、ほとんど紙一重なのではないかと思われます。
宗教法人はそのメリットも大きいですが、設立や設立後の維持が容易ではないため、
非課税で、共益的な(宗教)活動を中心に活動したいだけですということであれば、一般社団法人で充分です。
実際、宗教法人さんで学校や出版事業を行っている団体さんも、
学校は別に学校法人を作り、出版も別に株式会社を作って、法人格を分けているようですので、
非課税に大きなメリットがあると考えておられる方であれば、なおさら一般社団法人で良い気もします。
(なお、NPO法人は宗教活動や政治活動は禁止されています。)
そこで、ふと思いました。
一般社団法人で宗教活動が可能なのであれば、今後、宗教法人に代わる新たな形態として、
一般社団法人という選択肢を採る団体も増えるのではないか!?と。
一般社団法人の利用価値、無限大ですね!!
<みさき司法書士事務所>
2018.10.29.
商業登記【定時株主総会議事録での役員選任議事録】
もう10月も終わりですね
日が落ちるのがとても早くなってきましたね。
毎日があっという間に過ぎていくので、気づいたら年を取っているのではないかと恐ろしいです
さてさて、最近株式会社の役員の任期満了に伴う役員変更の登記を申請したときのこと・・・・
通常、任期満了に伴う役員変更の際には、定時株主総会議事録を添付して申請することとなります。
会社法上、定時株主総会では前年度の事業報告や決算書類の承認を行うこととなっており、
私も登記用に作成した議事録の中には、(実際には行われていなかったとしても)第1号議案として、「事業報告及び決算書類承認の件」を必ず入れさせていただいています。
ところが今回は依頼者様の希望で、「事業報告及び決算書類承認の件」は入れずに(実際に行っていないので・・・。)議事録を作って欲しいと言われ、「まぁ無理に議事録の中に入れなくても大丈夫でしょう」と考え、その通りに作成した議事録を法務局に提出したところ、補正の連絡が来てしまいました
担当登記官からのコメントは、
「決算書類の承認をしていない議事録を出されても、これでは定時株主総会の議事録として認められません!」と
やはりそこは必要的記載事項になるのだと再認識しました
(もしかしたら登記官によるのかもしれませんが。)
どこまでOKでどこからがNGなのか、基準がいつも不明瞭なので依頼者様の意向をどこまで採用するべきなのかとても悩みます。
こればっかりは失敗を重ねて(?)経験値を積んでいくしかありませんね。
<みさき司法書士事務所>
2018.10.12.
商業登記【定款認証の復代理委任状】
久しぶりの更新となりました
今日たまたま同期の司法書士とランチしていたときに話題になったのが、
公証役場で行う「定款認証」の際の復代理委任状です。
法人の設立を行う場合、本店所在地の都道府県内にある公証役場で定款認証を行う必要があるため、
遠方の地域に本店を置く法人を設立する場合には、日当交通費が別にかかるのはお客様に申し訳ないので、
現地の司法書士の友人に復代理人になってもらい、定款認証のため現地の公証役場に行ってもらうことがよくあります。
(故に、全国に司法書士の友人がいるというのはとても大事)
この時、私から復代理人の方に対して復代理委任状を出すことになるのですが、
原則として復代理委任状には個人の実印+個人の印鑑証明書が必要となります。
ただし、復代理委任状(PDF化したもの)に委任者として電子署名し、
事前に公証人にメールで送信することで、復代理委任状(印鑑証明書付)と同様に取り扱ってもらうことができます。
この方法によれば、個人の印鑑証明書を毎回提出する必要もないので、とても楽なのですが、
意外に知らない司法書士さんも多いようで友人も知らなかったようで驚いていました。
情報交換はとても大事ですね
<みさき司法書士事務所>