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2018.03.26.
不動産登記【更正登記の抹消?と真正な登記名義の回復】
先日、更正登記の抹消ができないか?というご相談を受けました
いったんA名義で登記された不動産を、知人のアドバイス(?)により便宜上ABCDの共有として更正登記をしたが、
所有権の実態はAだけなので、Aの名義に正したい。
というご相談です
当初、付記1番でされている更正登記を抹消できないか?と相談を受けたのですが、
更正登記は「遡及して最初から正しい登記がされていた」ことになる登記ですから、
付記登記だけを抹消することはできず、抹消するとしたら所有権そのものを抹消することになってしまいます。
いったん更正登記がされたものを再更正を入れることができるという先例もあるようですが、
更正登記には、前所有者の協力が必要となるため、ご依頼を受けた物件は30年以上前に購入した不動産ですので、
前所有者の協力を今さら得ることもできなさそうです・・・
そこで、最後の手段として「真正な登記名義の回復」を行いました。
真正な登記名義の回復は、万能な移転登記である一方で、その登記原因証明情報の作成には、毎回頭を悩ませます・・・。
なぜなら、「売買」や「贈与」などのように、決まりきった定型があるわけではないからです。
特に本件に関しては、所有権を偽装していたという経緯があるため、堂々と登記原因を書くわけにもいかず、大変悩みました。
登記原因証明情報の概要としては、
1.昭和〇年〇月〇日、甲は××から本件不動産を購入し、所有権を取得した(昭和〇年〇月〇日第○○○号登記済)。
2.しかし、甲は後になって乙らと共有名義にすることで節税効果があるものを思い、甲及び乙らの共有名義にするべく、錯誤を原因とする更正登記を行い、共有であるかのように仮装した(平成●年●月●日第●●●号登記済)。
3.上記更正登記は無効な登記原因により所有権が更正されたものである。
4.よって、乙らは甲に対し、真正な登記名義の回復の回復を原因としてAを除く共有者全員持分全部移転登記を申請する。
という内容になりました
仮装したという言い回しがなんとも絶妙・・・。
法務局から何か指摘があったら嫌だな・・・と思いましたが、無事に登記の申請ができ、ほっとしました。
1月にも同様のブログを更新しましたが、全くの別事件ですので、案外このような事案は多いのかもしれませんね・・・。
<みさき司法書士事務所>