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2016.10.20

成年後見【任意後見契約を解除するには?】

先日、大阪青年司法書士会で公証人の先生を講師にお招きして、「公正証書作成のポイント」と称し、尊厳死宣言公正証書、任意後見契約公正証書、死後事務委任契約公正証書、遺言公正証書の作成についての実務をお話しいただきました

そこですごく興味深かったことなのですが、任意後見契約には「移行型」「将来型」「即効型」があり、司法書士業界としては、「即効型」について、契約を即発動させなければならないほどに判断能力が低下している人と契約を結ぶことが果たして良いのかと問題意識をもっているのですが、公証人の先生方はむしろ「即効型」よりも「移行型」「将来型」の方に問題があると考えておられるようでした。

なぜなら、任意後見契約を締結したものの、実際には発効されないままになっている事案の方が圧倒的に多く、「契約の中で委任者が判断能力が衰えたときに受任者が家庭裁判所に後見監督人を選任することを義務づけているものの、違反した場合の罰則規定はなく、契約が履行されるかどうかについて担保できない。」ためだそうです。

「即効型」については、「判断能力に衰えが見られるが、意思能力がないとまではいえない」ような場合であれば、民法上有効に契約を締結する能力はあるため、法律上は問題がないと考えておられるようでした。
(親族がいれば、親族ともめる可能性は否定できませんが・・・。)

そして、「移行型」「将来型」の場合、任意後見契約を締結した後になって、「受任者との信頼関係を失った」「他の親族に指摘された」「契約内容に納得できない」などの理由で(他にもあるかもしれませんが)、契約を解除したいという相談が案外多いそうです

その場合の方法は、「公証人の認証を受けた書面」により行います。
詳細は下記の通り。



(1)合意解除の場合
合意解除証書を当事者2人で公証役場に持参し、目の前で署名捺印の上、認証を受けることにより行います。
(2)一方的な解除の場合
内容証明を作成し、3通を公証役場に持参して、目の前で捺印の上、認証を受け、当事者の一方に内容証明郵便で通知することによって行います。

*(2)のケースが圧倒的に多いようですが、公証役場には本人が出頭する必要があります。



なお、任意後見契約の契約発効後(後見監督人選任後)は契約を解除することはできず、処置としては家庭裁判所において成年後見申立を行うことが考えられますが、今のところ他に手立てがありません。

契約は解除する方も、される方も、嫌な気持ちになりますよね。
任意後見契約に限らずですが、契約の前にはご本人家族含めしっかりと内容を理解しておいていただきたいところです。

 <みさき司法書士事務所>

コメント

*(2)のケースが圧倒的に多いようですが、公証役場には本人が出頭する必要があります。
→委任状による代理出頭可能です。

  • 2021.02.12 09:52

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