ブログ

2016.06.30

司法書士【司法書士の代理権の範囲に言及した最高裁判例について思ったこと】

6月27日、遂に司法書士の代理権の範囲について言及する最高裁判例が出ましたね
最高裁判所のHPにも掲載がありますが、コチラです。

もともと司法書士が債務整理を行うにあたって代理することができる範囲について、ア~ウ説があったようです。
ア、総債権額140万円以下
イ、個別債権額140万円以下
ウ、依頼者の受ける経済的利益の額が140万円以下

最高裁は、司法書士の代理できる範囲は、「個別債権額が140万円以下」と裁判官全員一致で判断しています。

私は当然に個別債権額が140万円以下の場合に限って代理できるものだと思っておりましたので、今回の裁判で総債権額140万円以下とする説や、(司法書士会が主張する)経済的利益140万円以下とする説があることを知り、逆にびっくりしました

ちなみに経済的利益140万円以下説の根拠は、簡易裁判所で行う「特定調停」の訴額の算定根拠が「依頼者の受ける経済的利益」であり、経済的利益が140万円以下であれば、総債務が140万円を超える場合でも司法書士が特定調停を代理できるからだそうです。

簡裁代理認定試験のときにも勉強したはずなのに、この論点は全く知りませんでした。

司法書士会、攻めてるなぁ~という感じです

さらにこの事件で注目を浴びたのは、代理権を超えて和解を締結し、その際依頼者から受け取った成功報酬について、不法行為による損害として、返還請求が認められている点です。

もしかして、過去、本件と同様に債務整理を行って報酬を受領してきた司法書士事務所は、今頃ヒヤヒヤしているのでは?

司法書士は裁判所に提出する書面の作成をすることはできますが、その書面作成を行う上で事実の整理はあっても、法判断はできず、その結果、書面作成について成功報酬という概念は認められていません(高松高裁昭和54.6.11)。

ましてや、訴外での和解については裁判所の書類作成業務にもあたらない(ハズ)ですからね。

債務整理(主に過払い請求)の全盛期を経験していない私にとっては、
そんな高額の和解をすることもなかったので、まるで他人事のようですが

 <みさき司法書士事務所>

コメント

コメントフォーム

(不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。
適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

カレンダー

«6月»
   1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   

ブログ内検索

モバイル・スマートフォン対応

ページの先頭へ