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2015.10.22
成年後見【遺産分割協議における成年後見人の利益相反】
成年後見人をしていて最近とても悩んだ事案があります
本人に、親族後見人と専門職後見人(私)の2人の成年後見人が選任されている事案で、
本人の父親に相続が発生し、遺産分割協議を行うことになりました。
遺産分割協議を行うにあたり、本人と、親族後見人の2名が相続人当事者になります。
この場合、専門職後見人(私)が本人を代理して、親族後見人との間で行った遺産分割協議は有効か否か
という問題です。
未成年者の場合、
親権者たる父母の一方に民法第826条第1項にいう利益相反関係があるときは、
利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである
(最判昭35.2.25)
という判例がありますから、一方とのみ利益が相反する場合であっても、特別代理人の選任を要します。
(特別代理人の選任の概要はコチラ)
では、
本人に成年後見人が2人いる場合(権限分掌なし。)において、
一方に利益相反があるときはその一方のために特別代理人を選任する必要があるのか…
と思い、家庭裁判所に上申書を出してみました。
すると、「特別代理人は選任せず、専門職後見人(私)が本人を代理して、親族後見人との間で遺産分割を行っていただいて結構です。」と言われました
あれ?そうなの?!と思って、その理由を考えてみました。
この違いは、民法上の条文に起因するのではないかと思われます。
未成年者の場合、
民法818条
1項 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
3項 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。
と規定されており、親権の場合は、父母が共同して行使する必要があります
これに対して、成年後見人の場合は、事務を共同して行使しないといけないという定めはありません
(なお、未成年後見人が複数人ある場合には、民法857条の2によれば、事務は共同して行使する必要があります。)
そのため、今回のケースでは特別代理人を選任する必要はないようです。
細かい話ですが、困ったときは条文に立ち戻って考えることは本当に大事ですね
<みさき司法書士事務所>
コメント
最近、読者になりました。
司法書士試験の受験生です。
大変、参考になります。
ありがとうございます。
- 2015.10.23 08:27
- ダックス
ダックスさん
初めまして。
コメントありがとうございます。
これからも実務・受験の参考になるようなブログが書ければ(といっても、面白い実務経験ができればですが。)と思っておりますので、ときどきHPを覗いていただければ嬉しく思います。