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2014.06.30

成年後見【ギャンブル依存症と成年後見】

先週の土曜日のNHKのニュースで、日本のカジノリゾート参入の動きについて特集されていましたね。
日本にもマカオのようなカジノ施設を作れば、海外からの観光客が増え、
大きな経済効果が見込めるという政府の思惑があるようです。

しかし、プラスの効果がある一方で、マイナスの効果も視野に入れておかなければなりません。

NHKニュースでは、韓国を引き合いに出して、問題点を指摘していました。

韓国では、カジノは観光客しか利用できないのが原則なのですが、
14年前に韓国人が唯一入れるカジノがオープンしてから、韓国でギャンブル依存症の人が増えたというのです。

日本では既に成人の5.6%はギャンブル依存症だというデータもあるそうです。
(オーストラリア2.1%、アメリカ1.4%がこれに続きます。)
ダントツで世界一のギャンブル依存症を誇る(誇れませんけど…。)日本で、カジノが解禁になったら…?

また、ギャンブルで財産を失った人が財産目当ての凶悪犯罪を行う可能性、
自殺者が増える可能性などについても言及していました。

話は変わりますが、
現在私はギャンブル依存症の方の補助人をしています。

本人は生活費の全てをギャンブルにつぎ込んでしまい、
お金がなくなったら、そこらへんの人に声を掛けまくって、
数十人以上の一般人やサラ金、ヤミ金から借り入れをしている状況でした。
債務の全貌について全く把握できない中で就任しました。

一般人やヤミ金からの借り入れは全てにおいて契約書等が残っていないため、
督促が来るのを待っては、しらみつぶしに通知を送付するという方法で、少しずつ債務を確認しています。
現在は状況確認中ですが、あまりに債務総額が高額の場合は、破産するほかありません。

中には本人の判断能力のなさに付け込んで、
5000円貸して、1万円を返済させるということを恒常的にしている人もいたようです。
(本人は認識していないかもしれませんが、ヤミ金になりますし、
利息制限法違反、出資法違反となり、告発できる可能性があります。)

私が財産を管理したところで、本人が在宅である以上、常に見張っているわけにもいかず、
ギャンブルに出かけることを完全にやめさせることはできません。
借り入れも、消費者金融や銀行はともかく、
一般の方からの借り入れは防ぎようがありません。
その都度、借入を取り消しをするにしても、債権者の方から怒鳴られ、とても心苦しい仕事です。

私が財産管理をしても意味はあるのだろうか…?と悩んだこともありましたが、
本人は私が選任されたことで、できるだけ迷惑を掛けないように…と、
回復のため努力してくれているようですので、その心掛けだけを希望に、頑張りたいと思います。

ギャンブル依存症は、本当に恐ろしい病気です。
悩んでいるご家族の気持ちを考えると、本当に本当に心が苦しくなります。
少しでも多くの方に、この問題性について、認識してもらいたいと思います。

 <みさき司法書士事務所>

コメント

夫がギャンブル依存症で成人後継人制度について調べていました。ギャンブル依存でこの制度が適用されることもあるのですね。 病院で相談したら認知症や総合失調症など重度の精神疾患でないと適用されないと言われてましたので、とても参考になりました。

  • 2021.07.06 11:18
  • ニワ

ときどき訪れております。同業としての執務遂行で参考になることが多く感謝しております。
そして、このギャンブル依存症と後見制度の話もタイムリーで参考になりました。成年後見制度は前身の禁治産準禁治産制度と異なり「浪費家」は対象外とされていたと思いますが、ケースによっては対象になりうるということですね。ギャンブル依存症は社会問題ですし依存症患者の保護の観点からすると一律後見制度の対象外というのは疑問に感じておりました。
勉強になりました。ありがとうございます。

  • 2019.01.12 11:12
  • リーガルサポート会員です

こんにちは。
コメントありがとうございます。
気が付かずレスが遅くなってしまいました。
大変申し訳ありません。
成年後見は、悩むことの多い仕事ですよね。
お互い、頑張りましょうね。

  • 2014.09.28 14:12
  • 三輪 紗季子

同業の者です。大変な思いをされているようですね。私も違う意味で後見人をやっている意味があるのかと自問することが多いです。でも依存症の方に法律専門家が寄り添うことはきっと意味があることだと思います。

  • 2014.07.07 17:57
  • とおりすがり

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