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2013.05.17
商業・法人登記【有限会社の代表取締役死亡】
有限会社の代表取締役が死亡した場合の登記申請についての論点なのですが、
久しぶりに事案として遭遇したので、ここに備忘録のつもりで書き残しておこうと思います。
【事案】
「A,Bが取締役、Aが代表取締役となっている有限会社において、Aが死亡した場合。」
有限会社では取締役が当然に代表権を有しているのですが、取締役が2名以上いる場合において、
代表取締役を選任すると、ただの取締役(平取締役)の人は代表権を制限されてしまいます。
したがって、【事案】のようなケースで代表取締役Aが死亡その他の事由により退任した場合には、
平取締役Bの代表権が当然に復活するのか?ということが問題となります。
なぜなら、Bの代表権が復活しないのであれば、
登記申請を行うためには改めて代表権をもつ取締役を選任しなければならなくなってしまうからです。
代表権が復活する場合としない場合は以下の通りです。
<代表権が復活する場合>
①「取締役2名以内を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究254号質疑応答)
*当該定数の定めは、取締役が2名いる場合に限って代表取締役を定め、
そうでない場合はその者が当然に会社を代表する趣旨と考えられるからです。
<代表権が復活しない場合>
①「取締役2名を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究181号質疑応答)
*当該定数の定めは、定款上代表権を有しない取締役として選任された後に、
その者らの互選によって代表権を有する者を決める仕組みになっています。
したがって、代表権を有する者が欠けたからといって、
当然に代表権を有しない取締役が代表権を有することにはならないと考えられています。
②代表取締役を株主総会で選任していた場合
③代表取締役を定款で選任していた場合
なお、代表権の回復の有無を証明するため、申請の際には必ず定款を添付する必要があります。
ご注意くださいませ-
<みさき司法書士事務所>