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2013.02.19
成年後見【売買の意思確認と成年後見申立】
司法書士は登記申請の代理をする際、申請人の本人確認と意思確認を行う義務があります。
万が一、後から「本人ではなかった」「売った(贈与した)つもりはない!」ということにでもなれば、
懲戒&損害賠償請求の問題になります
そのため、本人確認と意思確認は普段からとてもとても慎重に行っています。
高齢になって判断能力が衰えてきた方が不動産を売却する場合、又は、不動産を贈与する場合には
司法書士はさらに意思確認に慎重になります。
意思確認のできない場合は、登記のご依頼は受けられません。
重度の認知症で意思表示ができない方の行った売買契約は、
民法での明文の規定はありませんが無効となります(大判明38.5.11)。
法律行為が無効なら、権利の変動も生じません。
権利変動がなかったのに権利変動を登記してしまうと、私文書の偽造になってしまいます。
しかも、(本人は主張できないにしても)本人の親族等関係者から無効を主張されてしまうと、
不動産の購入者や受贈者は大損害を被ってしまいます。
なので、司法書士はそのようなことが起こらないよう、慎重になるのです。
では、意思能力がない方が不動産を売却したい場合にはどうするかといいますと、
ここで成年後見人の選任という話が出てきます。
(保佐・補助を選任する程度の方でしたら、意思無能力とはいいませんので、ここではタッチしません。
また、成年後見人が選任されると、原則として贈与は裁判所が認めてくれませんので、
以下は売買についてのみ書きます。)
成年後見人は本人の法定代理人として、本人に代わって不動産の売却を行うことができます。
もちろん、成年後見人の行った売買契約は有効に成立します。
成年後見人は売却によって得たお金を財産目録に計上し、裁判所に報告する義務がありますので、
使い込みの恐れも基本的にはないといってよいでしょう。
(時々使い込んで、横領罪で捕まっているケースもありますけど)
成年後見人は親族でもなることができますし、親族でなる者がいないときには、
裁判所の選任により、専門家が就任する場合もあります。
一度成年後見人を選任すると、本人が回復するか死亡するまでは
成年後見人による財産管理が続きますので、
本当に今、成年後見人を選任してまで不動産を売却する必要があるのか、
よ~く考えてから申立を行ってください。
<みさき司法書士事務所>