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2012.11.29
相続【遺産分割と相続放棄】
最近、遺産分割と相続放棄について、混同されている方が多いように見受けられます。
ご相談者様「相続放棄が…」
私 「うんうん…」
と聞いていて、
「え?それ相続放棄する必要ないよ!?」 あるいは
「それ、相続放棄って言わないよ?」 みたいなことが結構あります。
民法上、相続放棄と呼ばれるものは、簡単にいうと、①相続財産のうち、積極財産(プラスの財産)より消極財産(負債)が多い場合、②被相続人の相続関係に巻き込まれたくない場合などに、家庭裁判所の手続きを踏んで、相続権を絶対的に放棄するものです。(こちらを参照してください。)
お金も時間もかかるし、めんどくさ~い手続きなんです。
なので、被相続人が多額の負債を残して亡くなった場合に、負債を相続してしまわないように、この手続きが多く利用されています。(この手続きを踏めば、債権者から相続人に対する督促もなくなります。)
みなさんが相続放棄とよく混同されているのは遺産分割です。
遺産分割というのは、相続人全員で、預貯金は誰が相続するか?不動産は誰が相続するか?など、相続財産を分けることをいいます。
(遺産分割についての話し合いを遺産分割協議といい、これを書面にしたものを遺産分割協議書と呼びます。)
相続財産の全てを特定の1人に相続させる協議をしてもよいし(もちろん全員が賛成していることが前提です。)、法定相続分とは異なる相続割合を自分たちで決めてもかまいません
単純に、相続権を他の相続人に譲るというだけなら、遺産分割です。
たとえば、相続人間で「この不動産は私たちはいらないから、長男であるお兄ちゃんの名義にしておいたら?」というような場合や、「預貯金は老後のためにお母さんが全部相続したらいいんじゃない?」というような場合には、相続しない他の相続人について、わざわざ相続放棄の手続きをさせなくても、遺産分割協議で話しあって、相続財産を分けたらよいのですよ
無料法律相談会で来られたご相談者様にご質問を受けたこともありますし、ご相談を受けた中には、不動産を長男名義にするために、既に相続放棄の手続済という人もいらっしゃって、「わざわざ長男以外に相続放棄の手続きさせたんですか!?!?!」と、本当に驚きました
相続って、誰にでも起こるものなのに、学校で習うことってありませんもんね。
たまたま民法を勉強できる機会があった方には、ぜひ、教養として民法を学んでいただきたいです。
<みさき司法書士事務所>