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2012.11.01
その他【特別養子縁組と戸籍】
某専門学校で学生さんを対象に民法の講師をしておりまして、今日は養子縁組について講義をしました。養子縁組には普通養子縁組と呼ばれるものと、特別養子縁組と呼ばれるものがあります。
普通養子縁組とは、一般的にいうところの養子縁組のことなのですが、特別養子縁組とは、普通養子縁組とは異なり、①原則として養親は25歳以上で、養子となる者は6歳未満でなければならない、②家庭裁判所の審判を要する、③特別養子縁組の効力が生じると、養子の実父母及びその親族との親子関係、親族関係が消滅するというのが特徴です。
そして、戸籍の記載で比べてみますと、普通養子縁組の場合、養子縁組の日付をもって、実父母の戸籍から除籍され、養親の戸籍に入籍するカタチになるのですが、特別養子縁組の場合には、養子縁組の日をもって、いったん養子は実親の戸籍から除籍となり、同じ本籍地に養子だけの新たな戸籍を編成します(戸籍法20条の3Ⅰ、30Ⅲ)。次に、その戸籍から、特別養親の戸籍に入籍するという段階を踏むのです(戸籍法18Ⅲ)。また、養親の戸籍に入籍した養子の父母欄には、実父母の名前ではなく、特別養親 の名前が記載され、特別養親との関係も「養子」ではなく「長男」や「長女」といったような記載となります。
これは戸籍をひとめ見たときに簡単に戸籍を追えないようにするため、そして、特別養子への配慮からこのような方法を採っているのだと思われます。もちろん、見る人が見れば、簡単に戸籍を遡ることができるわけなのですが…。
私自身、相続のご依頼があったときをはじめとして、日常的に戸籍をみる機会が多いのですが、それでもまだ特別養子縁組を行なっている戸籍の実物に未だ遭遇したことはありません。まだまだ認知度が低い特別養子縁組ですが、子どもへの福祉を目的としたこの特別養子縁組がもっと一般的に知られ、行われることになればいいなぁと思います。
<みさき司法書士事務所>