相続の限定承認
相続の限定承認とは、相続人が亡くなった方の財産を相続する際に、選択できる一つの方法です。
相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐことができます。
限定承認の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、
相続人全員で行う必要があり、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述して行います。
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手続きの流れ
1. 申立
相続人全員から、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、
相続の限定承認を申し立てます。
2. 相続財産管理人の選任
家庭裁判所は、相続の限定承認の受理と同時に、相続財産管理人を選任します。
3. 官報公告
債権者に対する債権申出催告の公告を2か月間行います。
4. 財産の換価&債権者への弁済
財産を換価し、知れている債権者や、公告期間内に申し出てきた債権者に対して返済を行います。
*財産が不動産の場合には、換価は原則として形式競売(民法932条)によって行う必要があります。
(予納金が約100万円程度必要となります。)
なお、不動産の場合、限定承認を行った相続人には先買権が認められ、裁判所の選任した鑑定人の時価鑑定の価格を対価として支払えば、相続人が優先的に不動産を買い受けることができます。
5. 手続きの終了
債権者への返済が全て終了すれば、手続きは終了です。
終了について、原則として裁判所への報告等は必要ありません。
よくあるご質問
- 誰が相続財産管理人となるのですか?
相続の限定承認の場合、その他の相続財産管理人の選任を必要とする事案と異なり、原則として相続人の中から財産管理人を選任することになります。
例外として、別途相続財産管理人を選任する申立を行えば、相続人以外の者(弁護士、司法書士など)が選任される場合がありますが、予納金が必要になる可能性があり、手続きにおける実益はあまりないと考えられます。
- 裁判所の監督の下で手続きを行うことになるのですか?
相続の限定承認の場合、裁判所は相続財産管理人を選任するまでは行ってくれますが、その後の官報公告手続や債権者への弁済などについては全て相続財産管理人が債権者との間で独自に行い、裁判所はノータッチです。
手続き終了の報告等も要しません。
実際の手続きの進行については、司法書士のアドバイスの下で行っていくことになりますのでご安心ください。