相続財産管理人の選任
相続人なくして死亡した者について、利害関係人が申立を行うと、被相続人の相続財産管理人が選任され、相続財産の清算手続きが行われます。
特別縁故者への財産分与、不動産の共有者への財産の帰属、被相続人の債権者が債権回収を行う場合などに、これらの利害関係人から、相続財産管理人の選任申立を行うことが多いです。
選任の手続き
1.申立人
利害関係人(特別縁故者,不動産の共有者,被相続人の債権者など)
検察官
2.管轄裁判所相続人不存在の場合の手続きの概要
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
3.申立費用
□収入印紙800円
□予納郵券
□官報広告料3,775円
*申立後に申立費用とは別に予納金が必要です。相続財産の量にもよりますが、100万円程度かかることがあります。
4.必要書類
□申立書
□被相続人の出生から死亡までの除籍謄本(改製原戸籍謄本)
□生きていれば相続人となるべき者が全て死亡していることがわかる戸籍謄本の全て
□被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
□相続財産の資料(不動産なら登記簿謄本、預貯金なら通帳の写しなど)
<利害関係人からの申立の場合>
□利害関係を証する資料
<相続財産管理人の候補者がある場合>
□候補者の住民票又は戸籍の附票
選任と選任後の流れ
① 利害関係人又は検察官の請求による相続財産管理人選任の審判及び選任公告
誰かが申立をしなければ、手続きは当然には行われません。
被相続人の債権者、特別縁故者、不動産の共有者は利害関係人に該当します。
② 相続債権者及び受遺者に対する権利申出の催告を公告
相続財産管理人が公告を行います。2か月以上の待機期間があります。
③ 相続財産清算・弁済
ここで残余財産が残らなければ、手続きは終了となります。
④ 相続人捜索公告
ここで相続人がでてきた場合には相続人への財産分与が行われ、手続きは終了となります。
催告期間は6か月以上あります。
⑤ 特別縁故者への財産分与の審判
相続人が出てこなければ、特別縁故者が財産分与の申立を行うことができます。
その結果、裁判所が分与を認めてくれれば、相続財産の分与を受けることができます。
⑥ 不動産持分の共有者への帰属
相続人も特別縁故者もいない場合において、被相続人の相続財産の中に不動産の共有持分がある場合には、その不動産の共有持分は他の共有者に持分割合に応じて帰属します。
⑦ 国庫への帰属
残った相続財産は全て国庫に帰属します。
相続財産を国庫に帰属させて、相続財産管理人の仕事は終了となります。
よくあるご質問
- 誰が相続財産管理人となるのですか?
-
資格は必要ありませんので誰でもなることができます。
申立の際に候補者がいなければ、専門家の第三者(弁護士や司法書士など)が家庭裁判所によって職権で選任されています。
候補者がいても、場合によっては裁判所の裁量により、第三者が選任されることもあります。
- 相続財産管理人の選任から手続き終了までどれくらいの期間がかかりますか?
- 4回行う公告だけでも通算で13か月は必要となりますので、その他の手続きにかかる時間を含めると1年半から2年はかかるものだと思っていただけると良いと思います。