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2013.05.29.

その他【土地の所有権は地下何mまで及ぶか】

5月に入って、専門学校の授業も物権のところまできました。
所有権や地上権の話をしています。

タイトルの、「所有権は地下何mまで及ぶか」という件なのですが、
そもそも所有権というのは、使用・収益・処分をすることができる権利ですので、
常識的に考えて使用・収益・処分が可能な範囲でしょう?といえます。
民法では207条に、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」とあります。

平成12年に施行された、
大深度地下の公共的使用に関する特別措置法という法律をご存知でしょうか。
(通称、大深度地下使用法)

同法によれば、対象地域(主に都市部)において公共の利益となる事業をする場合には、
地下40m以深又は支持地盤上面から10m以深の利用をすることができるようです。
(事業者は認可を得る必要がありますが。)

ということは、都市部においては所有権はこれより先は及ばないということにもなりそうです。

民法だけ勉強しても、結局はいろんな法律で例外が定められているので、
知らないことって本当にたくさんありますね

ちなみに、直近でこの法律を利用して事業が行われた事例では、
神戸市の大容量送水管整備事業があるようです。
これは、阪神淡路大震災の際に水の確保が困難となった教訓を踏まえ、
耐震性の高い送水管線を整備したものだそうです。
この法律のおかげで、限りなく直線距離で工事を行うことができ、
工事費用が23億円くらい削減することが見込まれるようです。
考えた人、すごい!!

<みさき司法書士事務所>

2013.05.27.

不動産登記【本人限定受取郵便を利用した本人確認】

最近、本人限定受取郵便を利用した本人確認を行いました。
多くの場合はどんなに遠くても面談にて本人確認を行っているのですが、
今回は一度以前にもご家族と取引があったという経緯もあり、
本人限定受取郵便を利用して行うことにしました。

本人限定受取郵便を利用するのは初めてだったので、
どんなもんかと郵便局のHPで調べたんですが、
どうやら3種類あるようですね

中でも、「特定事項伝達型」と呼ばれる形式が一番厳重で、
『「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に規定する本人確認レベル』
だそうですので、ぜひともこれを利用したかったんですが、
郵便局に聞いてみたら、窓口担当者もよくわかっておらず、
なんとか上の人につないでもらって聞いた事実は、
「超大手の金融機関しか利用してませんよ。
事前登録制で、御社でバーコードの作成も行ってもらう必要があります。」
とのこと。
バーコードの作成?それは無理です

というわけで、「特例型」と呼ばれる、次に厳しいレベルの本人限定受取郵便で発送しました。

でも、司法書士の行う本人確認だって、
『「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に規定する本人確認レベル』の本人確認が
求められている以上、「特定事項伝達型」でやるべきなのではないかと思います。

もう少し利用者側に利用しやすくしてくれればいいのにな。

<みさき司法書士事務所>

2013.05.24.

司法書士【会長選挙】

明日、大阪司法書士会の総会が開催され、同時に大阪司法書士会の会長選挙が行われます。
私は明日は総会に出席できないため、今日は期日前投票へ行ってきました

以前いた兵庫県司法書士会では会長はずっと信任だったためか、
会長選挙が行われることはなかったので、今回が私にとって初めての選挙でした

さすがに司法書士制度に直接関係するかもしれない?と思うと、いろいろ考えて投票しました。

会長選挙、行方が気になります

みさき司法書士事務所>


2013.05.23.

相続【特別代理人は誰に依頼すればよいか】

遺産分割協議を行う際に、相続人の中に未成年者とその親権者が含まれる場合には、
未成年者と親権者との間で利害が対立してしまうため、親権者は未成年を代理できず、
家庭裁判所に申立を行って、未成年者のために特別代理人を選任する必要があります。

特別代理人というのは、その遺産分割のためだけに選任される者であって、
ずっと未成年者の代理人の地位が続くわけではありません。

では誰に特別代理人になってもらえばよいかというと、
未成年者と利害対立関係にない限り、別に誰でもかまわないのです。

だいたいみなさん祖父母や親戚にお願いすることが多いようなのですが、
弊事務所においては、司法書士が特別代理人になることをお勧めしています

なぜなら、書類や遺産分割協議書への署名捺印を集める際に、第三者が入っていると、
手続きに時間もかかりますし、手続きの途中で期限切れとなった印鑑証明書を
再度取得してもらう際などに何度も依頼しにくい…ということが懸念されるからです。
(そもそも頼みにくい人に依頼するのが間違っているんですけど

特別代理人に司法書士を選んだら別料金がかかるでしょ?と
思われるかもしれませんが、弊事務所ではいただいておりません。

なぜなら、弊事務所としましても、司法書士を特別代理人に選任してもらった方が、
手続きが迅速に進められるので、正直なところありがたいのです。

特別代理人の選任をお考えの場合、
特別代理人になってもらう人は、「頼みやすい」「協力的」「動きが早い」人に
お願いすることをお勧めします。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.21.

相続【ひとり遺産分割協議?】

1人で遺産分割協議をするって変な感じですが、以下の事例のような場合には有効です。

【事例】(数次相続が続いて、最終的に相続人が1名となったケース)
不動産の名義:被相続人A  Aの相続人は妻B、子C、子Dの3名
A死亡後にBが死亡し、続いてCが死亡。
Cには妻子がおらず、最終的にDが相続人となった場合。


このような場合に、A名義からD名義に1回の登記申請で名義変更するにはどうすればよいか?

ここで、ひとり遺産分割協議という話が出てきます。

以前、数次相続が発生している場合の遺産分割協議書の書き方についてブログで少しお話しました。
(過去記事はコチラ
それを、本事例においても利用するんですね

そうすると、最終的には相続人Dが一人で決議している状態になります。
このひとり遺産分割協議書を添付しない限り、1回の登記申請でDへ名義変更することはできません。

本来、
①A名義→B、C、D名義に変更
②B持分名義→C、D名義に変更
③C持分名義→D名義に変更
という順番で行うべき登記申請を、遺産分割協議を行うことにより直接Dの名義にすることができるのであって、
当然にD名義に変更できるわけではありません。

相続人(及び数次相続人)が1人しかいないのに、遺産分割協議というと、少し不思議な感じもしますが、
実務上はこのような取り扱いとなっております。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.20.

訴訟【裁判所から郵便が届いたら?】

昨日は大阪司法書士会館にて、全国青年司法書士協議会の役員会議が行われました。

その中で、最近、東京簡易裁判所や大阪簡易裁判所に対し、
貸金業者や債権回収業者が大量に貸金請求事件を起こしていることが
問題となっているという話が出ていました。

しかも、これらの事件について記録調査を行ったところ、
消滅時効期間が経過した後に提訴されているもの、
被告の住所地の管轄ではない簡易裁判所に提訴されているもの、
被告が答弁書を出しているにもかかわらず、裁判官から十分な訴訟指揮が行われていないもの、
が多く、また、その結果として全額を認容する判決に至っているものなどが多くみられているそうです。


専門家にすぐ相談していれば、支払いをせずに済むケースもあると考えられます。
減額の和解や分割払いの話し合いにもっていくことだってできるかもしれません。

また、答弁書を出してさえいれば、最初の期日に出席しなくても大丈夫なんだという事実を、
知らない人もたくさんいらっしゃることかと思います。

裁判所からの郵便が届いた場合は、出頭できないとあきらめず、
まずは専門家へアクセスすることが大切です。

今回は特に貸金請求訴訟について書かせていただきましたが、
その他の裁判についても同様です。

裁判所から郵便物が届いたら、あきらめる前にぜひ専門家に相談してください。

<みさき司法書士事務所> 

2013.05.17.

商業・法人登記【有限会社の代表取締役死亡】

有限会社の代表取締役が死亡した場合の登記申請についての論点なのですが、
久しぶりに事案として遭遇したので、ここに備忘録のつもりで書き残しておこうと思います。

【事案】
「A,Bが取締役、Aが代表取締役となっている有限会社において、Aが死亡した場合。」

有限会社では取締役が当然に代表権を有しているのですが、取締役が2名以上いる場合において、
代表取締役を選任すると、ただの取締役(平取締役)の人は代表権を制限されてしまいます。

したがって、【事案】のようなケースで代表取締役Aが死亡その他の事由により退任した場合には、
平取締役Bの代表権が当然に復活するのか?ということが問題となります。


なぜなら、Bの代表権が復活しないのであれば、
登記申請を行うためには改めて代表権をもつ取締役を選任しなければならなくなってしまうからです。

代表権が復活する場合としない場合は以下の通りです。


<代表権が復活する場合>
①「取締役2名以内を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究254号質疑応答)
*当該定数の定めは、取締役が2名いる場合に限って代表取締役を定め、
そうでない場合はその者が当然に会社を代表する趣旨と考えられるからです。

<代表権が復活しない場合>

①「取締役2名を置き、取締役の互選をもって1名を代表取締役とする。」旨の定款の規定がある場合。
(登記研究181号質疑応答)
*当該定数の定めは、定款上代表権を有しない取締役として選任された後に、
その者らの互選によって代表権を有する者を決める仕組みになっています。
したがって、代表権を有する者が欠けたからといって、
当然に代表権を有しない取締役が代表権を有することにはならないと考えられています。
②代表取締役を株主総会で選任していた場合
③代表取締役を定款で選任していた場合



なお、代表権の回復の有無を証明するため、申請の際には必ず定款を添付する必要があります。

ご注意くださいませ-

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.15.

訴訟【取立訴訟の管轄裁判所】

取立訴訟とは、債権者が債務者の債権を差し押さえた際に、
第三債務者(債務者の債務者)が任意に債務を債権者(差押債権者)に支払わない場合、
第三債務者を相手方として起こす裁判のことです。

その訴えを提起する管轄裁判所なのですが、以下の点に注意しなければなりません

通常、金員を請求する裁判を起こす場合は、
①民事訴訟法第4条の原則である「被告(債務者)の住所地」か、
②財産権上の訴えである場合は、民事訴訟法第5条により「原告(債権者)の住所地」になります。
上記のいずれかの競合となります。

しかし、取立訴訟の場合には、被告(第三債務者)の義務の履行地は原告(債権者)の住所地ではありませんので、
原告の住所地を管轄する裁判所は管轄の裁判所とはならないのです。

また、こんな判例を見つけました

「持参債務の債権を差押さえたことに基づくその債権の取立訴訟については、
民訴法第5条の義務履行地は差押債権者の住所地ではなく、差押債務者の住所地である。」
(大阪高裁昭和58(ヲ)第316号、移送決定に対する即時抗告申立事件、
大阪高裁昭58.10.7第7民事部決定、抗告棄却・確定、原審大阪地裁昭58(モ)第7644号、昭58.9.6決定)

というわけで、

取立訴訟の場合は「被告の住所地」の他に、
「差押債務者の住所地」も裁判所の管轄権があるという考え方もできるようです。
ですから、取立訴訟を行う場合の裁判所の管轄は、
原則通りの「被告(第三債務者)の住所地」
「差押債務者の住所地」を管轄する裁判所ということになります。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.14.

司法書士【みさき事務所の専門性】

よく、「何を専門にされていらっしゃいますか?」と質問を受けることがあります。

みさき司法書士事務所では登記が6割、成年後見2割、その他が2割くらいを占めています。
その他というのは相続や裁判業務、法律相談などです。

専門にしているというよりは、そういうご依頼が弊事務所ではたまたま多いというだけなのですが
でもやはりこうして事務所をやっていると、びっくりするようなレアな事案に遭遇することもあります。
そういう事案をいくつもいくつも乗り越えて、専門家として鍛えられていくんでしょうね。

司法書士は経験がものをいう職業ですから、とにかく経験が一番大事です。
日々研鑽に努めていく所存で仕事をしております。

 <みさき司法書士事務所>

2013.05.09.

訴訟【擁壁設置(妨害予防)請求事件】

司法書士は地方裁判所に提出する書類の作成をすることができます。
ただし、書類を作成&提出するだけで、期日には依頼者さんに裁判所に出頭してもらう必要があるため、
破産申立などの紛争性の少ない場合はともかくとして、紛争があって相手方がいる場合には、
基本的には弁護士さんに代理して裁判手続きを行ってもらう方が、依頼者さんの利益にはなるんです。
私自身も、本人訴訟になりそうな場合は弁護士さんを紹介することがほとんどです。

ところが、ときどき「当日自分が行くのでも大丈夫!」と勇敢な依頼者さんがいらっしゃいますので、その場合には精一杯の支援はさせていただいています。

そんな本人訴訟のうち、一番やりがいのあった訴訟が
「妨害予防請求事件」
です。

裁判で隣の土地を所有する被告に対して擁壁設置請求をしたという事案です。
所有権に基づく妨害予防請求を体現化したような訴訟でした。

事案の概要をざっくり説明しますと、
1.原告はA土地を所有している。
2.被告はB土地を所有している。
3.A土地とB土地は隣り合わせの土地で、土地はA土地を上側、B土地を下側に緩やかな斜面となっていた。
4.被告がB土地を平らな土地にして利用するため、自分の土地を削り、境界部分に1m前後の段差が生じた。
5.被告は段差部分を何の処置もなく放置し、地盤がむき出しのままとなっていた。
6.少しずつ土地が崩れてきている。このままではいつ災害等で原告の土地が崩れて、被告の土地に土が流れ込むかもわからず、その場合の責任の所在も不明であるし、社会通念上は上側の土地の所有者が擁壁等を設置する義務があることから、原告が今後A土地を売却する際に、査定額が下がる恐れもある。
7.これらの危険や法益の侵害を予防するため、擁壁の設置等を行ってほしい。

というものです。
不動産関係訴訟の文献を調べて、数少ない情報を頼りになんとか訴状を書きました。



<請求の趣旨>
1. 被告は原告に対し、別紙1物件目録第2記載の土地のうち、同目録第1記載の土地との境界付近の部分に存在する斜面部分に別紙2仕様書記載の通りの擁壁を設置せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

*よって書き
よって、原告は土地1の所有権に基づき、その崩壊の危険及び土地価格の下落を予防するため、土地2の所有者である被告に対し、請求の趣旨記載の通り、擁壁を設置させる旨の判決を求める。



被告は弁護士を代理人に立ててきたものの、抗弁があいまいだったため、
こちらの立証した崩壊の危険性が認められました。
(価格の下落可能性については立証のしようがなかったので、立証できていません。)

結果としては、判決までいかず裁判上の和解で終わりましたが、内容はこちらの請求が全面的に認められ、
擁壁の設置を行ってもらうことができました。

ちなみに訴額の算定については裁判所に相談の上、擁壁設置の見積もりを業者に依頼し、その価額を訴額としました。
その場合、訴額は90万円程だったので、簡易裁判所でもできたんですが、不動産に関する訴訟ですので、
地方裁判所に移送されてもややこしくなるため、上申書をつけて最初から地方裁判所に訴えを提起しました。

珍しい訴訟ですので、思い入れのある訴訟の1つです。

 <みさき司法書士事務所>

ご予約はお電話・フォームから 06-6940-4815

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